中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問226 (中小企業経営・中小企業政策 問32(設問1))

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問226(中小企業経営・中小企業政策 問32(設問1)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、一定の要件を満たす事業計画(3~5年)を策定し実施する中小企業・小規模事業者等が行う、技術的革新性のある製品・サービスの開発や既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制の強化にかかる設備投資等を支援するものである。

文中の下線部「一定の要件」に含まれるものとして、最も適切なものはどれか。
  • 売上高を年平均4.0%以上増加させること。
  • 事業場内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金よりも5.0%以上高い水準とすること。
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表及び職場環境改善に向けて追加的な取り組みを行うこと。
  • 都道府県から経営革新の承認を受けていること。
  • 法人の場合は自己資本比率を5.0%以上増加させること。

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この過去問の解説 (2件)

01

正しい選択肢は「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表及び職場環境改善に向けて追加的な取り組みを行うこと。」です。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、中小企業や小規模事業者が、新しい製品・サービスの開発や新市場への進出、海外への輸出拡大などに取り組む際、設備投資などの費用を支援する制度です。

この補助金では、3~5年間の事業計画を策定し、付加価値額の増加や賃上げ、働きやすい職場環境づくりなどの要件を満たすことが求められます。

特に、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表と、子育てなどに関する職場環境の整備が要件に含まれていることが重要です。

選択肢1. 売上高を年平均4.0%以上増加させること。

この記述は誤りです。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、付加価値額の年平均成長率を4.0%以上増加させることが要件とされています。

「付加価値額」とは、企業が事業活動によって新しく生み出した価値を金額で表したものです。

この補助金では、次のように計算します。

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

例えば、新しい設備を導入して生産性を高めたり、付加価値の高い商品を開発したりすることで、付加価値額を増やすことが考えられます。

つまり、4.0%以上増加させる対象は、売上高ではなく付加価値額です。

そのため、この選択肢は誤りです。

選択肢2. 事業場内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金よりも5.0%以上高い水準とすること。

この記述は誤りです。

この補助金では、事業場内最低賃金を、事業を実施する都道府県の地域別最低賃金より30円以上高い水準にすることが要件とされています。

「事業場内最低賃金」とは、その事業場で働く従業員の中で、最も低い時間当たりの賃金のことです。

例えば、地域別最低賃金が時給1,100円の場合、事業場内最低賃金は1,130円以上である必要があります。

また、この条件は、原則として補助事業終了後の3~5年間の事業計画期間中、毎年満たすことが求められます。

したがって、最低賃金の基準は「5.0%以上」ではなく「30円以上」です。

選択肢3. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表及び職場環境改善に向けて追加的な取り組みを行うこと。

この記述は正しいです。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、一般事業主行動計画の策定・公表と、子育てなどに関する職場環境の整備が要件に含まれています。

「一般事業主行動計画」とは、企業が従業員の仕事と子育ての両立を支援するために、具体的な目標や取り組みをまとめた計画です。

例えば、育児休業を取得しやすい職場づくりや、残業時間の削減、柔軟な勤務制度の導入などが考えられます。

この補助金では、次のような取り組みが求められます。

一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」で公表すること

子育てなどに関する職場環境の整備に向けた取り組みを行うこと

「両立支援のひろば」とは、企業が仕事と家庭の両立支援に関する取り組みなどを公表できるウェブサイトです。

このように、企業の成長だけでなく、従業員が働きやすい環境を整えることも重視されているため、この選択肢が正しいです。

選択肢4. 都道府県から経営革新の承認を受けていること。

この記述は誤りです。

「経営革新」とは、新しい商品やサービスの開発、新しい販売方法の導入などによって、企業の経営を向上させる取り組みのことです。

中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画では、都道府県知事などの承認を受けることで、さまざまな支援措置を利用できる場合があります。

しかし、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、経営革新計画について都道府県の承認を受けていることは、必須の申請要件ではありません。

この補助金では、付加価値額の増加や賃上げなど、所定の条件を満たす事業計画を策定することが求められます。

したがって、経営革新の承認を受けていることを必須条件とする説明は誤りです。

選択肢5. 法人の場合は自己資本比率を5.0%以上増加させること。

この記述は誤りです。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、自己資本比率を5.0%以上増加させることは、基本要件として定められていません。

「自己資本比率」とは、企業が持っている資産のうち、返済する必要がない自己資本がどのくらいの割合を占めているかを示すものです。

自己資本比率が高い企業は、一般的に借入金などへの依存が少なく、経営が安定していると考えられます。

ただし、この補助金では、自己資本比率の引上げではなく、付加価値額の増加や従業員への賃上げなどが基本要件となっています。

そのため、自己資本比率を5.0%以上増加させるという説明は誤りです。

まとめ

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、中小企業や小規模事業者が新しい製品・サービスの開発や新市場への進出などに取り組み、企業の成長を目指すための制度です。

今回の問題では、3~5年間の事業計画に求められる基本要件を理解することが重要です。

主な要件は、次のとおりです。

<付加価値額要件>

付加価値額の年平均成長率を4.0%以上増加させる事業計画を策定することです。

<賃上げ要件>

従業員1人当たりの給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させることです。

<事業場内最低賃金の要件>

事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準にすることです。

<ワークライフバランス要件>

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」で公表することです。

<職場環境整備の要件>

子育てなどに関する職場環境の整備に向けた取り組みを行うことです。

<金融機関に関する要件>

金融機関などから補助事業に必要な資金の提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関などから事業計画の確認を受けることが必要です。

なお、補助金には「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」があり、それぞれ対象となる事業や補助上限額などが異なります。

今回の問題では、「付加価値額は年平均4.0%以上」「給与支給総額は1人当たり年平均3.5%以上」「事業場内最低賃金は地域別最低賃金より30円以上」「一般事業主行動計画の公表と職場環境の整備が必要」という点を覚えておくことが大切です。

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02

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金に関する問題です。本補助金は、従来の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」と「新事業進出補助金」を統合・再編する形で令和8年度から新設されました。

 

過去問題を確認すると分かりますが、補助金の問題では数値部分が問われることが多いです。本問は消去法で正答できた可能性はありますが、対応が難しい内容といえます。

 

出所:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは」

(https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/overview)

 

・補助対象事業の要件

中小企業等が、以下の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むことが必要です。

 

(1)付加価値額要件    

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。
 

(2)賃上げ要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること。【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】    


(3)事業場内最賃水準要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること。【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】    


(4)ワークライフバランス要件    

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」で公表していること。
 

(5)子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件    

「子育て等に関する職場環境整備」に向けた取り組みを行うこと。
 

(6)金融機関要件    

補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること。

選択肢1. 売上高を年平均4.0%以上増加させること。

冒頭の解説より、付加価値額を年平均4.0%以上増加させることが要件であるため不適切な選択肢となります。

選択肢2. 事業場内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金よりも5.0%以上高い水準とすること。

冒頭の解説より、事業場内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金よりも30円以上高い水準とすることが要件であるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表及び職場環境改善に向けて追加的な取り組みを行うこと。

冒頭の解説より、(4)ワークライフバランス要件に該当するため正解の選択肢となります。  

選択肢4. 都道府県から経営革新の承認を受けていること。

冒頭の解説より、経営革新の承認という要件はないため不適切な選択肢となります。

選択肢5. 法人の場合は自己資本比率を5.0%以上増加させること。

冒頭の解説より、自己資本比率の要件はないため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

令和8年度から新設されたばかりの補助金の問題が出題されたのは、以下のような理由があると推測します。(厳密には、完全に新設という内容ではありませんが)

 

・ものづくり補助金については過去に何度も出題履歴があり、過去問題で復習していれば消去法で対応できる可能性があった(新事業進出補助金については、令和7年度に新設されたばかりでした)

 

・補助上限が大きく、非常に注目されている補助金のため、作問者が出題したかった(情報収集していれば対応できるだろう、と考えた可能性がある)

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