中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問217 (中小企業経営・中小企業政策 問27(設問1))

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問217(中小企業経営・中小企業政策 問27(設問1)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

下請代金支払遅延等防止法(下請法)が改正され、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)として令和8年1月1日に施行された。この法律は、製造委託等に関し、中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等を防止することによって、委託事業者の中小受託事業者に対する取引を公正にするとともに、中小受託事業者の利益を保護し、国民経済の健全な発達に寄与することを目的としている。今回の改正では、委託事業者の義務や禁止行為が変更されるとともに、適用対象が拡大された。

文中の下線部「委託事業者の義務や禁止行為が変更される」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 委託代金の支払期日については、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から90日以内で、できる限り短い期間内に定めなければならない。
  • 委託代金を支払期日までに支払わなかった場合は、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から支払を行った日までの日数に、年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払わなければならない。
  • 委託代金を手形で支払う場合には、サイトが60日以内の手形でなければならない。
  • 中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、その協議に応じず、またはその協議において必要な説明や情報提供をせず、一方的に代金の額を決定することは禁止されている。
  • 発注内容は書面により明示することが求められており、電子メールにより明示することは禁止されている。

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この過去問の解説 (2件)

01

正しい選択肢は「中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、その協議に応じず、またはその協議において必要な説明や情報提供をせず、一方的に代金の額を決定することは禁止されている。」です。

中小受託取引適正化法(取適法)は、発注する企業と仕事を受注する中小企業との取引を公正にし、中小企業の利益を守るための法律です。

令和8年(2026年)1月1日に、従来の下請法が改正されて施行されました。

今回の改正では、協議に応じない一方的な代金決定や、手形による代金の支払が禁止されたことが重要なポイントです。

また、委託代金の支払期限は、原則として給付を受領した日から60日以内と定められています。

選択肢1. 委託代金の支払期日については、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から90日以内で、できる限り短い期間内に定めなければならない。

この記述は誤りです。

中小受託取引適正化法第3条では、委託代金の支払期日について、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に定めなければならないとされています。

「給付を受領した日」とは、発注した商品や部品などを受け取った日のことです。

例えば、発注した部品が納品された場合、その受領日を基準として、原則60日以内に代金を支払う必要があります。

また、役務提供委託の場合は、役務の提供を受けた日が基準となります。

したがって、支払期日を90日以内とする説明は誤りです。

選択肢2. 委託代金を支払期日までに支払わなかった場合は、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から支払を行った日までの日数に、年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払わなければならない。

この記述は誤りです。

中小受託取引適正化法第6条では、委託代金の支払が遅れた場合、年率14.6%の遅延利息を支払う義務が定められています。

ただし、遅延利息を計算する期間が誤っています。

遅延利息は、給付を受領した日から計算するのではなく、給付を受領した日から60日を経過した日から、実際に代金を支払った日までの期間について計算します。

例えば、商品を受け取ってから80日後に代金を支払った場合、受領日から80日間すべてについて遅延利息が発生するわけではありません。

受領日から60日を経過した日以降の期間について、未払金額と遅延日数に応じて計算します。

したがって、年率14.6%という利率は正しいものの、計算期間が誤っています。

選択肢3. 委託代金を手形で支払う場合には、サイトが60日以内の手形でなければならない。

この記述は誤りです。

令和8年1月1日に施行された中小受託取引適正化法では、委託代金を手形で支払うこと自体が禁止されました。

手形とは、決められた期日にお金を支払うことを約束する証書です。

「サイト」とは、手形を受け取ってから、実際に現金化できるまでの期間を指します。

従来の下請法では、サイトが長い手形による支払が問題とされていました。

しかし、改正後は、サイトが60日以内であっても、手形による支払は認められません。

また、電子記録債権などについても、支払期日までに代金の満額を現金で受け取ることが困難な支払方法は禁止されています。

そのため、サイトが60日以内なら手形で支払えるという説明は誤りです。

選択肢4. 中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、その協議に応じず、またはその協議において必要な説明や情報提供をせず、一方的に代金の額を決定することは禁止されている。

この記述は正しいです。

中小受託取引適正化法第5条第2項第4号では、協議に応じない一方的な代金決定が禁止されています。

これは、発注する企業が自分たちの都合だけで代金を決め、仕事を受注する中小企業に不利益を与えることを防ぐための決まりです。

例えば、原材料の価格が上がったため、中小受託事業者が委託代金の引上げを求めたとします。

このとき、委託事業者が話し合いを拒否したり、必要な説明をしないまま従来の価格に据え置いたりすると、法律違反となる場合があります。

また、形式的に話し合いの場を設けるだけで、必要な説明や情報提供をせず、一方的に代金を決めることも問題となります。

重要なのは、中小受託事業者から協議を求められた場合、委託事業者は実質的な話し合いを行い、必要な説明や情報提供をすることです。

なお、中小受託事業者が希望した金額を必ず受け入れなければならないわけではありません。

双方が十分に話し合い、合理的な理由を説明したうえで代金を決めることが求められています。

選択肢5. 発注内容は書面により明示することが求められており、電子メールにより明示することは禁止されている。

この記述は誤りです。

中小受託取引適正化法第4条では、委託事業者に対して、発注内容などを明示する義務が定められています。

ただし、発注内容の明示は、書面だけでなく電子メールなどの電磁的方法でも行うことができます。

例えば、発注する商品の内容、数量、代金、納期、支払期日などを記載した電子メールを送る方法も認められています。

また、令和8年1月1日の改正によって、中小受託事業者の事前の承諾がなくても、電子メールなどによる明示が可能になりました。

そのため、電子メールによる明示が禁止されているという説明は誤りです。

まとめ

中小受託取引適正化法(取適法)は、令和8年1月1日に施行された法律で、従来の下請法を改正したものです。

今回の問題では、次の内容を理解することが重要です。

<支払期日の設定>

委託代金の支払期日は、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に定めなければなりません。

<遅延利息の支払>

支払が遅れた場合、給付を受領した日から60日を経過した日以降の期間について、年率14.6%の遅延利息を支払う義務があります。

<手形による支払の禁止>

令和8年1月1日の改正により、委託代金の手形による支払は、サイトの長さにかかわらず禁止されました。

<協議に応じない一方的な代金決定の禁止>

中小受託事業者が代金について協議を求めた場合、協議に応じなかったり、必要な説明や情報提供をせずに一方的に代金を決定して、中小受託事業者の利益を不当に害したりすることは禁止されています。

<発注内容の明示>

発注内容は、書面だけでなく、電子メールなどの電磁的方法でも明示できます。

今回の改正では、これらの取引ルールの見直しに加え、法律の適用対象を判断する基準に従業員数が追加され、特定運送委託も対象取引に加わりました。

試験では、「支払期限は60日以内」「遅延利息は年率14.6%」「手形払いは禁止」「一方的な代金決定は禁止」「電子メールでの発注明示は可能」というポイントを覚えておくことが大切です。

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02

中小受託取引適正化法(旧下請法)に関する問題です。名称が変わるほどの大きな改正のため本年度の出題可能性が高いと思われていましたが、予想通りに出題されました。

 

中小受託取引適正化法については以下のサイトに図表やイラストで紹介されていますが、ボリュームが多いため選択肢に関係のある内容のみ抜粋いたします。

 

出所:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」(https://www.gov-online.go.jp/article/202511/entry-9983.html)

 

・製造委託等代金の支払遅延
発注した物品等の受領日から60日以内で定めた支払期日までに代金を支払わない行為。

 

・遅延利息の支払い

支払期日までに代金を支払わなかった場合は、物品等の受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの日数に応じ、中小受託事業者に年率14.6%の遅延利息を支払う義務。

 

・製造委託等代金の支払遅延
「手形の交付」や「電子記録債権や一括決済方式のうち、中小受託事業者が支払期日までに代金相当額の金銭と引き換え困難なもの」の禁止。

 

・協議に応じない一方的な代金決定
中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明を行わなかったりして、一方的に代金を決定する行為。

 

・発注内容等の明示

中小受託事業者に発注内容(給付の内容、代金額、支払期日、支払方法)等を書面又は電子メールなどで明示する義務。電子メールなどによる明示は中小受託事業者の承諾がなくても可能。

選択肢1. 委託代金の支払期日については、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から90日以内で、できる限り短い期間内に定めなければならない。

冒頭の解説より、支払期日は受領日から60日以内のため不適切な選択肢となります。

選択肢2. 委託代金を支払期日までに支払わなかった場合は、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から支払を行った日までの日数に、年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払わなければならない。

冒頭の解説より、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から60日を経過した日から支払を行った日までの日数に、年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払わなければならないため不適切な選択肢となります。

 

※今回、利息の利率は正しい記述でしたが、利率も併せて押さえておきましょう。

選択肢3. 委託代金を手形で支払う場合には、サイトが60日以内の手形でなければならない。

冒頭の解説より、手形の交付そのものが禁止されたため不適切な選択肢となります。

選択肢4. 中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、その協議に応じず、またはその協議において必要な説明や情報提供をせず、一方的に代金の額を決定することは禁止されている。

冒頭の解説より、中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、その協議に応じず、またはその協議において必要な説明や情報提供をせず、一方的に代金の額を決定することは禁止されているため正解の選択肢となります。

選択肢5. 発注内容は書面により明示することが求められており、電子メールにより明示することは禁止されている。

冒頭の解説より、発注内容は書面又は電子メールなどで明示することが求められているため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

出題されるであろう論点が、まだ多数残されています。来年度以降も継続的に出題されるという前提で、優先的に学習を進めてください。

 

※旧下請法の内容で、中小受託取引適正化法に引き継がれているものは引き続き有効です。

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