中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問202 (中小企業経営・中小企業政策 問15(設問2))

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問202(中小企業経営・中小企業政策 問15(設問2)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

財務省「年次別法人企業統計調査」等に基づき、① 大・中堅企業、中小企業それぞれについて、有形固定資産比率と現預金比率の推移を見ると、それぞれ特徴があることが分かる。
また、② 中小企業の手元流動性を製造業と非製造業に分けて見ると、その推移には特徴が見られる。
なお、ここでは、資本金1億円以上の企業を大・中堅企業、資本金1億円未満の企業を中小企業とする。
有形固定資産比率は、総資産に占める有形固定資産(除く土地)の比率とし、現預金比率は、総資産に占める現金・預金の比率とする。手元流動性は、流動資産である現金・預金及び有価証券の合計が売上高に占める比率とする。

文中の下線部②について、中小企業を製造業と非製造業に分けて、2003年度と2020年度の手元流動性をそれぞれ比較した場合の記述として、最も適切なものはどれか。
  • 製造業、非製造業ともに手元流動性が上昇している。
  • 製造業、非製造業ともに手元流動性が低下している。
  • 製造業では手元流動性が上昇し、非製造業では手元流動性が低下している。
  • 製造業では手元流動性が低下し、非製造業では手元流動性が上昇している。

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この過去問の解説 (1件)

01

「製造業、非製造業ともに手元流動性が上昇している。」が当てはまります。

財務省「年次別法人企業統計調査」等に基づき、2003年度と2020年度の中小企業の手元流動性を比較すると、製造業、非製造業のどちらも上昇しています。

手元流動性とは、企業が保有している現金・預金や有価証券など、すぐに支払いに使いやすい資金が、売上高に対してどれくらいあるかを示す指標です。

中小企業では、景気の悪化や売上の減少などに備えるため、手元に資金を確保する動きが進んできました。

この問題では、製造業と非製造業のどちらでも、2003年度より2020年度の方が手元流動性が高くなっていることが重要です。

選択肢1. 製造業、非製造業ともに手元流動性が上昇している。

適切です。

2003年度と2020年度を比較すると、中小企業の手元流動性は、製造業、非製造業のどちらも上昇しています。

製造業とは、原材料や部品などを加工して製品を作る産業です。例えば、自動車部品や食品、機械などを製造する企業が該当します。

非製造業とは、製造業以外の産業で、小売業や卸売業、建設業、運輸業、サービス業などが含まれます。

どちらの産業でも、経営環境が悪化した場合に備え、現金や預金などを手元に確保することが重要です。

例えば、売上が急に減少しても、十分な資金があれば、従業員への給与や仕入代金、家賃などの支払いを続けやすくなります。

特に、2008年のリーマンショックや2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大などを経験する中で、企業にとって資金を確保することの重要性が高まりました。

こうした背景もあり、中小企業では製造業・非製造業ともに、手元流動性が上昇しています。

選択肢2. 製造業、非製造業ともに手元流動性が低下している。

不適切です。

実際には、製造業と非製造業のどちらも手元流動性が上昇しています。

手元流動性が低下するとは、売上高に対して、現金・預金や有価証券などの割合が小さくなることです。

しかし、中小企業では、2003年度から2020年度にかけて、手元資金を厚く確保する動きが進みました。

そのため、両方の産業で手元流動性が低下しているという説明は誤りです。

選択肢3. 製造業では手元流動性が上昇し、非製造業では手元流動性が低下している。

不適切です。

製造業の手元流動性が上昇しているという部分は合っています。

しかし、非製造業の手元流動性も上昇しています。

非製造業には、小売業や飲食サービス業など、売上が景気や社会情勢の影響を受けやすい業種も含まれています。

例えば、売上が急に減少した場合でも、手元に現金や預金があれば、日常的な支払いに対応しやすくなります。

また、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少した企業もあり、売上高を基準とする手元流動性が高くなる要因の一つとなりました。

したがって、非製造業の手元流動性が低下しているという部分が誤りです。

選択肢4. 製造業では手元流動性が低下し、非製造業では手元流動性が上昇している。

不適切です。

非製造業の手元流動性が上昇しているという部分は合っています。

しかし、製造業の手元流動性も上昇しています。

製造業では、原材料の仕入れや機械設備の維持などに資金が必要です。

また、景気の悪化によって製品の注文が減少した場合でも、従業員への給与や借入金の返済など、支払いが続くことがあります。

そのため、経営を安定させるには、一定の手元資金を確保しておくことが重要です。

2003年度と2020年度を比較すると、製造業でも手元流動性が上昇しています。

したがって、製造業の手元流動性が低下しているという部分が誤りです。

まとめ

手元流動性とは、企業が保有する現金・預金や有価証券が、売上高に対してどれくらいあるかを示す指標です。

今回の問題では、次の計算式を使用します。

手元流動性=(現金・預金+有価証券)÷売上高×100

例えば、年間売上高が1億円で、現金・預金と有価証券の合計が2,000万円の場合、手元流動性は20%となります。

2,000万円÷1億円×100=20%

手元流動性が高いほど、売上高に対して多くの手元資金を確保していることになります。

ただし、手元流動性の上昇は、必ずしも現金や預金の金額そのものが増加したことを意味しません。

例えば、手元資金が2,000万円で変わらなくても、年間売上高が1億円から8,000万円に減少すれば、手元流動性は20%から25%に上昇します。

このように、手元流動性は、手元資金の増減だけでなく、売上高の増減によっても変化します。

<2003年度と2020年度の比較>

製造業:手元流動性が上昇

非製造業:手元流動性が上昇

なお、今回の問題では、資本金1億円未満の企業を中小企業としています。

また、手元流動性と現預金比率は異なる指標です。

現預金比率は、総資産に占める現金・預金の割合を示します。

一方、手元流動性は、現金・預金と有価証券の合計が、売上高に対してどれくらいあるかを示します。

両者は計算に使う数値が異なるため、混同しないようにしましょう。

今回の問題では、中小企業の手元流動性は、製造業と非製造業のどちらでも、2003年度より2020年度の方が高くなっていることを覚えておくことが重要です。

したがって、「製造業、非製造業ともに手元流動性が上昇している。」が最も適切です。

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