中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問182 (経営情報システム 問22)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問182(経営情報システム 問22) (訂正依頼・報告はこちら)

企業はさまざまなサイバー攻撃の脅威にさらされている。サイバー攻撃に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • DDoS攻撃とは、標的のサーバやネットワークに対して、複数のコンピュータから大量のリクエストを集中させて過負荷状態にし、正常なサービスの継続を妨害する攻撃である。
  • 中間者攻撃とは、悪意のあるコードがソフトウェア内に埋め込まれ、通常の認証手順を迂回してシステムやネットワークにアクセスできるようにする攻撃である。
  • バックドアとは、標的とする企業ではなく取引先などを狙い、そこを踏み台にして攻撃を行うことである。
  • バッファオーバーランとは、修正パッチが存在しない未知の脆弱(ぜいじゃく)性を突く攻撃である。
  • フィッシングとは、他人のコンピュータのファイルを暗号化することで正常にアクセスできない状態にし、元に戻すために身代金の支払いが要求される攻撃である。

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この過去問の解説 (2件)

01

「DDoS攻撃とは、標的のサーバやネットワークに対して、複数のコンピュータから大量のリクエストを集中させて過負荷状態にし、正常なサービスの継続を妨害する攻撃である。」が当てはまります。

サイバー攻撃とは、コンピュータやネットワークの弱点などを悪用して、情報を盗んだり、システムの正常な動作を妨害したりする行為です。

サイバー攻撃にはさまざまな種類があり、それぞれ攻撃の方法や目的が異なります。

この問題では、DDoS攻撃、中間者攻撃、バックドア、バッファオーバーラン、フィッシングの特徴を理解することが重要です。

選択肢1. DDoS攻撃とは、標的のサーバやネットワークに対して、複数のコンピュータから大量のリクエストを集中させて過負荷状態にし、正常なサービスの継続を妨害する攻撃である。

適切です。

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)とは、複数のコンピュータなどから標的のサーバに大量の通信を送り、正常なサービスを利用できなくする攻撃です。

例えば、ネットショップのWebサイトに対して、攻撃者が大量のアクセスを集中させる場合です。

サーバが処理できる量を超えるアクセスを受けると、画面の表示が遅くなったり、サイトに接続できなくなったりします。

この攻撃では、マルウェア(不正なプログラム)に感染して乗っ取られた多数のコンピュータやIoT機器などが利用されることもあります。

なお、DoS攻撃とDDoS攻撃には、次のような違いがあります。

DoS攻撃:標的に大量の通信などを送り、サービスの提供を妨害する攻撃

DDoS攻撃:複数の機器から分散して大量の通信などを送り、サービスの提供を妨害する攻撃

DDoS攻撃は、複数の機器から攻撃が行われるため、攻撃元の特定や通信の遮断が難しくなる場合があります。

選択肢2. 中間者攻撃とは、悪意のあるコードがソフトウェア内に埋め込まれ、通常の認証手順を迂回してシステムやネットワークにアクセスできるようにする攻撃である。

不適切です。

これは、主にバックドアに関する説明です。

バックドアとは、通常の認証やセキュリティ対策を通らずに、システムへアクセスできるようにする裏口のような仕組みです。

悪意のあるプログラムによって、利用者に気付かれないようにバックドアが設置される場合があります。

一方、中間者攻撃(Man-in-the-Middle Attack)とは、通信している2者の間に攻撃者が入り込み、通信内容を盗み見たり、書き換えたりする攻撃です。

例えば、利用者がWebサイトにログインするときに、攻撃者が通信の途中に入り込み、送受信される情報を盗み取る場合などです。

このように、中間者攻撃は通信への割り込み、バックドアは不正にアクセスするための裏口という違いがあります。

選択肢3. バックドアとは、標的とする企業ではなく取引先などを狙い、そこを踏み台にして攻撃を行うことである。

不適切です。

これは、サプライチェーン攻撃の説明です。

サプライチェーン攻撃とは、標的とする企業を直接攻撃するのではなく、取引先や委託先などを経由して攻撃する手法です。

例えば、大企業のシステムに直接侵入することが難しい場合に、セキュリティ対策が比較的弱い取引先のシステムに侵入し、そこから大企業のネットワークへのアクセスを試みる場合です。

また、企業が利用しているソフトウェアの開発元や提供元を攻撃し、不正なプログラムを混入させる手法もあります。

一方、バックドアとは、システムへ不正にアクセスするために設けられた裏口のような仕組みです。

したがって、サプライチェーン攻撃は取引先などを経由する攻撃、バックドアは不正な侵入経路という違いがあります。

選択肢4. バッファオーバーランとは、修正パッチが存在しない未知の脆弱(ぜいじゃく)性を突く攻撃である。

不適切です。

これは、ゼロデイ攻撃の説明です。

ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアなどの脆弱性に対する修正プログラムが提供される前に、その弱点を悪用して行われる攻撃です。

脆弱性とは、コンピュータやソフトウェアに存在する、セキュリティ上の弱点のことです。

例えば、ソフトウェアに未知の欠陥があり、開発元が修正する前に攻撃者がその欠陥を悪用する場合です。

一方、バッファオーバーラン(バッファオーバーフロー)とは、データを一時的に保存するメモリ領域に、容量を超えるデータを書き込んでしまう現象です。

このような弱点を悪用すると、プログラムを異常終了させたり、不正なプログラムを実行させたりできる場合があります。

例えば、100文字分しか保存できない領域に、想定を超える大量のデータを入力し、周囲のメモリの内容を壊す場合などです。

したがって、ゼロデイ攻撃は修正前の脆弱性を悪用する攻撃、バッファオーバーランはメモリ領域の容量を超える書き込みに関する問題です。

選択肢5. フィッシングとは、他人のコンピュータのファイルを暗号化することで正常にアクセスできない状態にし、元に戻すために身代金の支払いが要求される攻撃である。

不適切です。

これは、ランサムウェアによる攻撃の説明です。

ランサムウェアとは、コンピュータ内のファイルを暗号化するなどして利用できなくし、元に戻すことなどと引き換えに金銭を要求する不正なプログラムです。

例えば、企業の重要な業務データが暗号化され、攻撃者から「元に戻したければお金を支払うように」と要求される場合です。

一方、フィッシングとは、実在する企業や金融機関などを装った偽のメールやWebサイトを利用して、IDやパスワード、クレジットカード情報などを盗み取る攻撃です。

例えば、銀行からの連絡を装って「口座の確認が必要です」と記載した偽メールを送り、偽のログイン画面へ誘導する場合です。

利用者が偽の画面にIDやパスワードを入力すると、その情報が攻撃者に盗まれるおそれがあります。

したがって、フィッシングは偽の連絡やWebサイトを使った情報の詐取、ランサムウェアはデータなどを利用できなくして金銭を要求する攻撃という違いがあります。

まとめ

代表的なサイバー攻撃の特徴は、次のように整理できます。

<DDoS攻撃>

複数のコンピュータなどから大量の通信を送り、サーバやネットワークに負荷をかけて、正常なサービスの提供を妨害する攻撃です。

<中間者攻撃>

通信している2者の間に攻撃者が入り込み、通信内容を盗み見たり、書き換えたりする攻撃です。

<バックドア>

通常の認証などを迂回して、システムへ不正にアクセスできるようにする裏口のような仕組みです。

<サプライチェーン攻撃>

標的とする企業の取引先や委託先、ソフトウェアの提供元などを経由して行う攻撃です。

<バッファオーバーラン>

メモリの保存領域を超えてデータを書き込んでしまう現象です。

この弱点が悪用されると、プログラムの異常終了や不正な処理につながる場合があります。

<ゼロデイ攻撃>

ソフトウェアなどの脆弱性について、修正プログラムが提供される前に、その弱点を悪用する攻撃です。

<フィッシング>

偽のメールやWebサイトなどを使って、利用者のIDやパスワードなどを盗み取る攻撃です。

<ランサムウェア>

ファイルの暗号化などによってデータを利用できなくし、復旧などと引き換えに金銭を要求する不正なプログラムです。

この問題では、DDoS攻撃は複数の機器から大量の通信を集中させ、サービスの正常な提供を妨害する攻撃であることがポイントです。

したがって、「DDoS攻撃とは、標的のサーバやネットワークに対して、複数のコンピュータから大量のリクエストを集中させて過負荷状態にし、正常なサービスの継続を妨害する攻撃である。」が最も適切です。

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02

サイバー攻撃の用語を問う問題です。サイバー攻撃に対するセキュリティ対策を問う内容も含めて、毎年1問は必ず出題される領域です。本問は、過去問題で復習していれば正答できる内容です。

 

また、用語を入れ替えて誤りの選択肢を作っている出題パターンが見られます。過去問題を見ていると必ず出てくる典型的な方法なので、各選択肢を比較することで選択肢を絞り込むことができます。

選択肢1. DDoS攻撃とは、標的のサーバやネットワークに対して、複数のコンピュータから大量のリクエストを集中させて過負荷状態にし、正常なサービスの継続を妨害する攻撃である。

標的のサーバやネットワークに対して、複数のコンピュータから大量のリクエストを集中させて過負荷状態にし、正常なサービスの継続を妨害する攻撃をDDoS攻撃(Distributed Denial of Service:分散型サービス妨害攻撃)というため、正解の選択肢となります。

 

※Denial of Serviceが「サービスの拒否」、Distributeは「配布」という意味があるため、英語に抵抗がない方はイメージしやすいと思います。

選択肢2. 中間者攻撃とは、悪意のあるコードがソフトウェア内に埋め込まれ、通常の認証手順を迂回してシステムやネットワークにアクセスできるようにする攻撃である。

悪意のあるコードがソフトウェア内に埋め込まれ、通常の認証手順を迂回してシステムやネットワークにアクセスできるようにする攻撃はバックドアであるため、不適切な選択肢となります。

選択肢3. バックドアとは、標的とする企業ではなく取引先などを狙い、そこを踏み台にして攻撃を行うことである。

標的とする企業ではなく取引先などを狙い、そこを踏み台にして攻撃を行うのはサプライチェーン攻撃であるため、不適切な選択肢となります。

 

※サプライチェーンは、川上の「メーカー」から「卸売」→「小売」→川下の「消費者」へと商品が供給(サプライ)される商活動の連鎖(チェーン)のことです。運営管理の店舗・販売管理分野で出題されるため、理解しやすいと思います。

選択肢4. バッファオーバーランとは、修正パッチが存在しない未知の脆弱(ぜいじゃく)性を突く攻撃である。

修正パッチが存在しない未知の脆弱(ぜいじゃく)性を突く攻撃はゼロデイ攻撃であるため、不適切な選択肢となります。

 

※ゼロデイ攻撃は令和6年度に出題されたため、正誤判断はしやすかったと思います。

選択肢5. フィッシングとは、他人のコンピュータのファイルを暗号化することで正常にアクセスできない状態にし、元に戻すために身代金の支払いが要求される攻撃である。

他人のコンピュータのファイルを暗号化することで正常にアクセスできない状態にし、元に戻すために身代金の支払いが要求される攻撃はランサムウェアであるため、不適切な選択肢となります。

 

※ランサムウェアは令和7年度に出題されたため、正誤判断はしやすかったと思います。

まとめ

【補足】

 

本解説を執筆時点(2026年10月)の現在進行形の事象として、大規模な個人情報の漏洩や身代金を要求されるケースが続出しています。また、オープンソース言語のPHP(PHP:Hypertext Preprocessor)に重大な脆弱性が見つかり、緊急メンテナンスのために企業のウェブサイトが閉鎖されるケースも相次いでいます。

 

令和9年度の出題では、この分野から2問あるいはより深い詳細な知識が問われる可能性があります。日頃からニュースをチェックすることで知識の補完ができるので、意識的にこの分野のニュースをチェックすることも試験対策として有効です。

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