中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問180 (経営情報システム 問20)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問180(経営情報システム 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と経済産業省は、DX推進における人材育成の重要性を踏まえて2026年4月に「デジタルスキル標準」(ver.2.0)を公表し、その中で6つの人材類型を定義している。本類型の1つである「ビジネスアーキテクト」がDX推進において担う役割に含まれるものとして、最も適切なものはどれか。
  • 情報システムの構築に際し、求められる品質・コスト・納期で必要となる機能を実現するために、リソースや進捗の管理、また、プロジェクト推進上の問題への対応を行う。
  • 情報システムのユーザから業務内容や要望を確認し、情報システムの機能設計を担う。
  • データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データ解析やAIシステムに関する仕組みの設計・実装・運用を担う。
  • ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義したうえで、経営視点で最適なビジネスモデルなどを設計し、関係者をコーディネートしプロセス全体を牽引して成果を創出する。
  • ユーザの課題や行動から顧客価値を定義し、製品・サービスのありかたのデザインを担う。

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この過去問の解説 (2件)

01

「ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義したうえで、経営視点で最適なビジネスモデルなどを設計し、関係者をコーディネートしプロセス全体を牽引して成果を創出する。」が当てはまります。

ビジネスアーキテクトとは、デジタル技術を活用して企業のビジネスや業務を変革するために、目標の設定から実現までを中心となって進める人材です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を活用して、企業のビジネスや業務の仕組みなどを変革することです。

2026年4月に公表された「デジタルスキル標準」ver.2.0では、DXを推進する人材を6つの類型に分けています。

この問題では、ビジネスアーキテクトは、経営の視点から変革の目的や仕組みを考え、関係者をまとめて成果につなげる役割を担うことが重要です。

選択肢1. 情報システムの構築に際し、求められる品質・コスト・納期で必要となる機能を実現するために、リソースや進捗の管理、また、プロジェクト推進上の問題への対応を行う。

不適切です。

これは、主にプロジェクトマネージャーの役割を説明しています。

プロジェクトマネージャーとは、システム開発などのプロジェクトが計画どおりに進むように、全体を管理する人材です。

具体的には、次のような仕事を担当します。

・開発スケジュールを管理する。

・必要な人員や予算を確保する。

・システムの品質を確認する。

・開発中に発生した問題に対応する。

例えば、新しい販売管理システムを開発する場合、決められた予算と納期の中で完成させるために、作業の進み具合や開発上の問題を管理します。

一方、ビジネスアーキテクトは、システムを計画どおりに完成させることだけでなく、企業のビジネスや業務をどのように変革するかを考え、その実現を主導する役割です。

選択肢2. 情報システムのユーザから業務内容や要望を確認し、情報システムの機能設計を担う。

不適切です。

これは、主にシステムエンジニア(SE)が担当する仕事です。

システムエンジニアは、利用者の要望を確認し、それを実現するために必要なシステムの機能や構成を設計します。

例えば、店舗の従業員から「在庫数を自動で確認できるようにしたい」という要望を聞き、在庫管理システムに必要な機能を設計する場合です。

なお、2026年4月の改訂では、ビジネスアーキテクト類型の中に、業務上の課題や必要な要件を明らかにするビジネスアナリストという役割も定義されています。

ただし、問題文は、利用者の要望を確認して情報システムの機能を設計することに重点を置いています。

ビジネスアーキテクト類型全体の中心的な役割は、経営の視点からビジネスや業務の変革を設計し、関係者と協力して実現することです。

選択肢3. データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データ解析やAIシステムに関する仕組みの設計・実装・運用を担う。

不適切です。

これは、データサイエンティストの役割を説明しています。

データサイエンティストとは、データの分析やAI技術などを活用して、企業の課題解決や新しい価値の創出を支援する人材です。

例えば、店舗の売上データや顧客の購買履歴を分析し、売れやすい商品や需要の変化を予測する場合などです。

また、AIを活用した予測システムの設計や開発、運用などにも関わります。

このように、データの分析やAIの活用を技術面から支えることがデータサイエンティストの特徴です。

一方、ビジネスアーキテクトは、分析結果なども活用しながら、経営や業務の変革を進める役割を担います。

選択肢4. ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義したうえで、経営視点で最適なビジネスモデルなどを設計し、関係者をコーディネートしプロセス全体を牽引して成果を創出する。

適切です。

これは、ビジネスアーキテクトの役割を説明しています。

ビジネスアーキテクトは、企業がDXによって何を実現したいのかを明確にし、そのために必要なビジネスモデルや業務の仕組みを考えます。

さらに、経営者や従業員、システム開発担当者などと協力し、変革を実現するまでの取り組みを進めます。

例えば、小売企業が、店舗販売だけでなくインターネット販売にも力を入れたい場合を考えます。

ビジネスアーキテクトは、次のような役割を担います。

・売上拡大や顧客満足度の向上など、実現したい目標を決める。

・店舗とネットショップを連携させる販売の仕組みを考える。

・営業、物流、システム開発などの担当者と協力する。

・取り組みの成果を確認し、必要に応じて改善する。

このように、経営の視点から変革の方向性を考え、関係者をまとめながら、目標の実現まで取り組みを進めることが特徴です。

したがって、問題文の説明と一致しています。

選択肢5. ユーザの課題や行動から顧客価値を定義し、製品・サービスのありかたのデザインを担う。

不適切です。

これは、主にデザイナーの役割を説明しています。

DXにおけるデザイナーは、利用者の行動や困りごとを理解し、使いやすく、価値のある製品やサービスを設計する人材です。

例えば、スマートフォンの予約アプリを開発する場合、利用者がどのような操作で困っているのかを調べ、予約しやすい画面や操作の流れを考えます。

デザイナーには、利用者が製品やサービスを使うときの体験を設計するUX/UIデザイナーなどが含まれます。

UXとは利用者が得る体験、UIとは画面やボタンなど、利用者が操作する部分のことです。

一方、ビジネスアーキテクトは、製品やサービスの使いやすさだけでなく、企業全体のビジネスモデルや業務の変革を考え、実現を主導する役割を担います。

まとめ

2026年4月に公表された「デジタルスキル標準」ver.2.0では、DX推進に必要な人材を次の6つの類型に分けています。

<ビジネスアーキテクト>

ビジネスや業務の変革で実現したい目的を決め、経営の視点から仕組みを設計し、関係者をまとめて成果につなげる人材です。

<デザイナー>

顧客や利用者の視点から、製品・サービスの方針や使いやすさ、利用体験などを設計する人材です。

<データサイエンティスト>

データ分析やAI技術などを活用して、業務の改善や新しいビジネスの実現を支える人材です。

<データマネジメント>

データの品質や信頼性を確保し、組織全体でデータを適切に管理・活用できる仕組みを整える人材です。

この類型は、2026年4月のver.2.0で新設されました。

<ソフトウェアエンジニア>

デジタル技術を利用したシステムやソフトウェアの設計・開発・運用を担う人材です。

<サイバーセキュリティ>

情報システムへの不正アクセスやサイバー攻撃などの危険性を減らし、企業の情報やシステムを守る人材です。

この問題では、特にビジネスアーキテクトは、単にシステムを開発・管理する人材ではなく、ビジネスや業務の変革を経営の視点から設計し、実現までを主導する人材であることがポイントです。

したがって、「ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義したうえで、経営視点で最適なビジネスモデルなどを設計し、関係者をコーディネートしプロセス全体を牽引して成果を創出する。」が最も適切です。

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02

デジタルスキル標準(ver.2.0)で規定されている6つの人材類型を問う問題です。本問では6つの人材類型のうち「ビジネスアーキテクト」の役割が問われています。

 

出所:独立行政法人 情報処理推進機構「デジタルスキル標準(ver.2.0)」

https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/rcu1hd000000j76k-att/dss_ver2.0.pdf

 

本問で問われている6つの人材類型については、上記資料60ページ目に記載されています。

 

・デザイナー

ビジネスの視点、顧客・ユーザー視点、コミュニケーション視点等を総合的にとらえ、製品・サービスの方針や開発のプロセスを策定するとともに、ブランドメッセージやタッチポイントを含むコミュニケーション設計を担い、それらに沿った製品・サービスのありかたのデザインを担う役割

 

・ソフトウェアエンジニア

DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う役割


・サイバーセキュリティ
業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う役割


・ビジネスアーキテクト
ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義したうえで、経営視点で最適なビジネスモデルと業務プロセスを設計し、戦略を行動に落とし込み、成長サイクルを生み出しながら、関係者をコーディネートしプロセス全体を牽引して成果を創出する役割


・データサイエンティスト
DXの推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データ解析やAIシステムに関する仕組みの設計・実装・運用を担う役割

 

・データマネジメント
データの安全性・信頼性の確保と継続的な流通の仕組みの設計・実装・運用を行い、組織全体の人材を巻き込んだデータの利活用、データによる価値創出を促進する役割

 

※それぞれの人材類型の特長を示している箇所に、赤字ハイライトを付けています。(キーワードとして、紐づけて理解すると良いでしょう)

選択肢1. 情報システムの構築に際し、求められる品質・コスト・納期で必要となる機能を実現するために、リソースや進捗の管理、また、プロジェクト推進上の問題への対応を行う。

冒頭の解説より、「リソースや進捗の管理、また、プロジェクト推進上の問題への対応を行う」役割は6つの人材類型の中には存在しないため不適切な選択肢となります。

 

※最も近い類型としては、データマネジメントになると思われます。

選択肢2. 情報システムのユーザから業務内容や要望を確認し、情報システムの機能設計を担う。

冒頭の解説より、「機能設計を担う」役割はソフトウェアエンジニアに該当するため不適切な選択肢となります。

選択肢3. データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データ解析やAIシステムに関する仕組みの設計・実装・運用を担う。

冒頭の解説より、「データ解析やAIシステムに関する仕組みの設計・実装・運用を担う」役割はデータサイエンティストに該当するため不適切な選択肢となります。

選択肢4. ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義したうえで、経営視点で最適なビジネスモデルなどを設計し、関係者をコーディネートしプロセス全体を牽引して成果を創出する。

冒頭の解説より、「関係者をコーディネートしプロセス全体を牽引して成果を創出する」役割はビジネスアーキテクトに該当するため正解の選択肢となります。

選択肢5. ユーザの課題や行動から顧客価値を定義し、製品・サービスのありかたのデザインを担う。

冒頭の解説より、「製品・サービスのありかたのデザインを担う」役割はデザイナーに該当するために該当するため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

アーキテクトが英語で「建築」「設計者」を意味することを知っていれば、ある程度推測して正答することも可能ですが、実務者でもない限り人材の類型を問われても何のことかさっぱり分からないと思います。

 

そのため、試験対策上は「アーキテクトとは違う・違和感がある」という観点から正誤判断するのが無難です。(消去法で対応できれば十分です)

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