中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問171 (経営情報システム 問11)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問171(経営情報システム 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

IT投資対象には、基幹業務システムやIT基盤の整備、また、新事業創出に向けた情報システム構築のようにさまざまなものがある。そのため、IT投資評価の視点は、個別プロジェクトの評価、投資案件全体の評価、ならびにIT組織の成熟度評価など多岐にわたる。下記の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • BSCの4つの視点の因果関係を視覚化したフレームワークに戦略マップがあり、「財務→内部プロセス→顧客→学習と成長」の順にパスを描くことで、個別プロジェクトと財務成果の因果関係を視覚化できる。
  • CMMIに基づく組織成熟度の第4段階は、業務やプロジェクトを遂行する際のプロセスが最適化されてはいないものの、定量的な管理がなされている状態である。
  • COBITにおいて、EDM(Evaluate, Direct and Monitor)は個別プロジェクトのIT投資評価手法である。
  • ISMSは情報システムが企画・開発されてから、運用・保守を経て、最終的に廃棄されるまでのシステムライフサイクル全体における、IT投資の財務的評価を行うフレームワークである。

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この過去問の解説 (1件)

01

「CMMIに基づく組織成熟度の第4段階は、業務やプロジェクトを遂行する際のプロセスが最適化されてはいないものの、定量的な管理がなされている状態である。」が当てはまります。

IT投資評価とは、企業がITシステムの導入や開発にお金をかける際に、その投資がどのような効果を生むのかを評価することです。

IT投資の評価には、費用や利益だけでなく、業務の改善状況や、組織がシステムを適切に管理できる能力など、さまざまな視点があります。

この問題では、BSC、CMMI、COBIT、ISMSという4つの考え方や仕組みの違いを理解することが重要です。

選択肢1. BSCの4つの視点の因果関係を視覚化したフレームワークに戦略マップがあり、「財務→内部プロセス→顧客→学習と成長」の順にパスを描くことで、個別プロジェクトと財務成果の因果関係を視覚化できる。

不適切です。

BSC(Balanced Scorecard:バランスト・スコアカード)とは、財務面だけでなく、顧客や業務の改善など、複数の視点から企業の経営状況を評価する仕組みです。

BSCでは、次の4つの視点を使用します。

・財務の視点:売上や利益などの成果

・顧客の視点:顧客満足度や顧客からの評価

・内部プロセスの視点:業務の効率や品質

・学習と成長の視点:従業員の能力や組織の成長

戦略マップとは、これら4つの視点のつながりを図で表し、目標を達成するための流れを分かりやすくするものです。

一般的には、次の順番で因果関係を考えます。

選択肢2. CMMIに基づく組織成熟度の第4段階は、業務やプロジェクトを遂行する際のプロセスが最適化されてはいないものの、定量的な管理がなされている状態である。

例えば、従業員のITスキルを高めることで、業務の効率が上がり、顧客満足度が向上し、最終的に売上や利益の増加につながるという考え方です。

したがって、問題文では4つの視点の因果関係を示す順番が誤っています。

 

CMMIに基づく組織成熟度の第4段階は、業務やプロジェクトを遂行する際のプロセスが最適化されてはいないものの、定量的な管理がなされている状態である。

適切です。

CMMI(Capability Maturity Model Integration)とは、企業や組織が業務やプロジェクトをどれだけ適切に管理できているかを評価し、改善するためのモデルです。

CMMIでは、組織の成熟度を5つのレベルで評価します。

<レベル1:初期(Initial)>

業務の進め方が安定しておらず、個人の経験や能力に頼っている状態です。

<レベル2:管理された(Managed)>

業務やプロジェクトの計画を立て、進捗状況などを管理している状態です。

<レベル3:定義された(Defined)>

組織全体で業務の進め方が標準化され、共通のルールに基づいて管理されている状態です。

<レベル4:定量的に管理された(Quantitatively Managed)>

業務の品質や処理時間などを数値で測定し、その結果を使って管理している状態です。

例えば、システム開発で発生する不具合の件数や、作業にかかる時間を測定し、統計的な方法などを使って業務を管理します。

<レベル5:最適化している(Optimizing)>

測定したデータなどを活用し、業務の進め方を継続的に改善している状態です。

このように、第4段階は業務の進め方を数値で測定して管理する段階であり、第5段階が継続的な改善によって最適化を進める段階です。

したがって、問題文の説明と一致しています。

選択肢3. COBITにおいて、EDM(Evaluate, Direct and Monitor)は個別プロジェクトのIT投資評価手法である。

不適切です。

COBITとは、企業がITを適切に管理し、経営目標の達成に役立てるためのフレームワークです。

フレームワークとは、物事を整理したり管理したりするための基本的な考え方や仕組みのことです。

COBITでは、ITの管理を組織全体の経営と結び付けて考えます。

EDMは、次の3つの活動を表しています。

・Evaluate(評価):ITの方針や取り組みが適切かを評価する

・Direct(方向付け):ITをどの方向に進めるかを決め、指示する

・Monitor(監視):ITの取り組みが計画どおりに進んでいるかを確認する

つまり、EDMは企業全体のITガバナンス(ITを適切に統制する仕組み)に関する活動です。

個別のIT投資案件について、費用と利益を比較するだけの評価手法ではありません。

したがって、EDMを個別プロジェクトのIT投資評価手法としている部分が誤りです。

選択肢4. ISMSは情報システムが企画・開発されてから、運用・保守を経て、最終的に廃棄されるまでのシステムライフサイクル全体における、IT投資の財務的評価を行うフレームワークである。

不適切です。

ISMS(Information Security Management System)とは、情報セキュリティマネジメントシステムのことです。

企業が保有する情報を適切に守るために、組織としてセキュリティ対策を計画し、実施し、継続的に改善する仕組みです。

ISMSでは、特に次の3つの要素を重視します。

機密性(Confidentiality)

許可された人だけが情報を利用できることです。

例えば、顧客情報を担当者以外が閲覧できないようにすることです。

完全性(Integrity)

情報が正確で、不正な変更や破損がない状態を保つことです。

例えば、売上データが勝手に書き換えられないようにすることです。

可用性(Availability)

必要なときに情報やシステムを利用できることです。

例えば、障害に備えてバックアップを取り、システムを復旧できるようにすることです。

このように、ISMSは情報を安全に管理するための仕組みであり、IT投資の財務的な効果を評価するものではありません。

なお、IT投資の財務的な評価には、ROI(投資利益率)やNPV(正味現在価値)などの指標が利用されます。

まとめ

IT投資の評価や管理に関する代表的な仕組みは、次のように整理できます。

<BSC:バランスト・スコアカード>

財務、顧客、内部プロセス、学習と成長という4つの視点から、経営目標の達成状況を評価する仕組みです。

戦略マップでは、一般的に学習と成長 → 内部プロセス → 顧客 → 財務の順に因果関係を考えます。

<CMMI:能力成熟度モデル統合>

組織が業務やプロジェクトを管理する能力を、5つの成熟度レベルで評価するモデルです。

第4段階は定量的な管理、第5段階は最適化が特徴です。

<COBIT>

企業のITを、経営目標に合わせて適切に管理・統制するためのフレームワークです。

EDMは、評価・方向付け・監視というITガバナンスの活動を表します。

<ISMS:情報セキュリティマネジメントシステム>

情報セキュリティを組織として管理し、継続的に改善する仕組みです。

機密性・完全性・可用性の3つの要素を重視します。

この問題では、特にCMMIの成熟度レベル4は、業務やプロジェクトを数値に基づいて管理する段階であることがポイントです。

したがって、「CMMIに基づく組織成熟度の第4段階は、業務やプロジェクトを遂行する際のプロセスが最適化されてはいないものの、定量的な管理がなされている状態である。」が最も適切です。

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