中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問157 (経営法務 問21)
問題文
不法行為に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
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中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問157(経営法務 問21) (訂正依頼・報告はこちら)
不法行為に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うが、被用者が損害の賠償を行うに足りる資力を有するときは、この限りでない。
- 土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その工作物の所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その工作物の占有者がその損害を賠償しなければならない。
- 判例によれば、生命を侵害された者が取得する慰謝料請求権は一身専属権であるため、相続の対象とならない。
- 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
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この過去問の解説 (1件)
01
「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」が当てはまります。
不法行為とは、故意や過失によって他人の権利や利益を侵害し、損害を与えることです。
民法では、本人が責任を負う場合だけでなく、使用者の責任、土地の工作物による責任、未成年者など責任能力がない人の取扱いについても定めています。
この問題では、誰が損害賠償責任を負うのかを正しく区別することがポイントです。
不適切です。
これは、民法第715条の使用者責任に関する記述です。
従業員などの被用者が、仕事の執行について第三者に損害を与えた場合、原則として使用者も損害賠償責任を負います。
使用者が責任を免れることができるのは、被用者の選任や事業の監督について相当の注意をした場合や、相当の注意をしても損害が生じた場合です。
被用者に十分な資力があるかどうかは、使用者責任を免れる条件ではありません。
したがって、「被用者が賠償できるだけの資力を持っていれば使用者は責任を負わない」という部分が誤りです。
不適切です。
これは、民法第717条の土地の工作物責任に関する記述です。
例えば、建物の壁が適切に管理されておらず、崩れて通行人にけがをさせた場合などが該当します。
この場合、まず工作物の占有者が損害賠償責任を負います。
ただし、占有者が損害の発生を防ぐために必要な注意をしていた場合には、工作物の所有者が責任を負います。
したがって、
占有者が必要な注意をしていなかった
→占有者が責任を負う
占有者が必要な注意をしていた
→所有者が責任を負う
という関係です。
問題文は、所有者が必要な注意をした場合に占有者が責任を負うとしており、条件が逆になっています。
不適切です。
慰謝料とは、精神的な苦痛に対して支払われる損害賠償です。
判例では、生命や身体を侵害された本人の慰謝料請求権について、被害者だけに認められる一身専属の権利として相続を否定するのではなく、相続の対象となるとされています。
被害者が死亡した場合、その被害者に生じた損害賠償請求権は、原則として相続人に承継されます。
したがって、「一身専属権であるため、相続の対象とならない」という説明は誤りです。
なお、被害者本人の慰謝料とは別に、一定の近親者が自分自身の精神的苦痛について慰謝料を請求できる場合もあります。
適切です。
民法第712条では、未成年者が他人に損害を与えた場合でも、自分の行為について責任を負うことを理解できるだけの知能を備えていなかったときは、本人は損害賠償責任を負わないと定めています。
このような能力を責任能力といいます。
重要なのは、未成年者だから必ず責任を負わないということではありません。
未成年者であっても、自分の行為の責任を理解できるだけの知能があれば、不法行為責任を負うことがあります。
反対に、責任能力がない場合には、本人は責任を負いません。
その場合には、一定の要件のもとで、親権者などの監督義務者が損害賠償責任を負うことがあります。
不法行為については、次のように整理すると分かりやすいです。
<使用者責任>
被用者が仕事に関連して第三者に損害を与えた場合、原則として使用者も責任を負います。
被用者に十分な資力があることは、使用者が責任を免れる理由にはなりません。
<土地の工作物責任>
まず占有者が責任を負います。
占有者が損害防止のために必要な注意をしていた場合には、所有者が責任を負います。
<慰謝料請求権>
被害者本人に発生した慰謝料請求権は、判例上、相続の対象となります。
<未成年者の責任能力>
未成年者が、自分の行為の責任を理解できるだけの知能を備えていなかった場合には、本人は損害賠償責任を負いません。
したがって、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」が最も適切です。
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