中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問156 (経営法務 問20)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問156(経営法務 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

不当利得に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 債務が存在しないにもかかわらず、その事実を過失により知らないで債務の弁済として給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。
  • 不当利得における善意の受益者は、その利益の存する限度において返還義務を負う。
  • 不法な原因のために給付をした者は、不当利得に基づく返還請求をすることができないが、不法な原因を受益者が認識していた場合は、この限りでない。
  • 弁済期が到来したものと誤信して、弁済期にない債務の弁済として給付をした債務者は、その給付したものの返還を請求することができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

「不当利得における善意の受益者は、その利益の存する限度において返還義務を負う。」が当てはまります。

不当利得とは、法律上の理由がないのに他人の財産などによって利益を得て、そのために他人に損失を与えた場合に、その利益を返還する制度です。

返還する範囲は、利益を受けた人が、その利益に法律上の理由がないことを知っていたかどうかなどによって異なります。

この問題では、善意の受益者、存在しない債務の弁済、不法原因給付、期限前の弁済について区別することがポイントです。

選択肢1. 債務が存在しないにもかかわらず、その事実を過失により知らないで債務の弁済として給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。

不適切です。

民法では、債務が存在しないことを知りながら弁済した場合には、原則として返還を請求できないとされています。

例えば、借金がないことを分かっていながら、あえて相手に「借金の返済」として100万円を支払った場合です。

一方、問題文のように、債務が存在しないことを知らずに弁済した場合には、単にそのことを知らなかった点に過失があったというだけで、返還請求が一律に禁止されるわけではありません。

したがって、「過失により知らなかった場合も返還を請求できない」という部分が誤りです。

選択肢2. 不当利得における善意の受益者は、その利益の存する限度において返還義務を負う。

適切です。

民法第703条では、法律上の原因がないのに他人の財産や労務によって利益を受け、他人に損失を与えた人は、その利益が残っている範囲で返還する義務を負うとされています。

これが、善意の受益者についての基本的なルールです。

ここでいう「善意」とは、自分がその利益を受ける法律上の理由がないことを知らないことです。

例えば、間違って10万円が振り込まれ、そのことに気付いていない人が受け取った場合などが考えられます。

善意の受益者は、原則として現に残っている利益の範囲で返還すればよいことになります。

一方、法律上の原因がないことを知っていた悪意の受益者は、受けた利益に利息を付けて返還し、さらに損害があれば賠償する責任を負います。

選択肢3. 不法な原因のために給付をした者は、不当利得に基づく返還請求をすることができないが、不法な原因を受益者が認識していた場合は、この限りでない。

不適切です。

民法では、不法な原因のために給付したものは、原則として返還を請求できないとされています。

これを「不法原因給付」といいます。

例えば、違法な目的のために金銭を渡した場合などです。

ただし、例外として、不法な原因が受益者の側だけにある場合には、返還を請求できることがあります。

重要なのは、受益者が不法な原因を「知っていたかどうか」ではありません。

したがって、「受益者が認識していた場合は返還請求できる」という説明は誤りです。

選択肢4. 弁済期が到来したものと誤信して、弁済期にない債務の弁済として給付をした債務者は、その給付したものの返還を請求することができる。

不適切です。

まだ弁済期が来ていない債務を先に支払った場合でも、債務そのものは実際に存在しています。

そのため、原則として、支払ったもの自体の返還を請求することはできません。

ただし、債務者が「もう支払期限が来ている」と勘違いして期限前に支払った場合には、債権者は、期限前に受け取ったことによって得た利益を返還する必要があります。

例えば、本来もっと後に受け取るはずだったお金を早く受け取ったことで利息相当の利益を得た場合、その利益を返還することになります。

したがって、誤って期限前に弁済したからといって、給付したものそのものを返還請求できるわけではありません。

まとめ

不当利得については、次のように整理すると分かりやすいです。

<善意の受益者>

法律上の原因がないことを知らなかった受益者は、原則として利益が残っている範囲で返還義務を負います。

<存在しない債務の弁済>

債務が存在しないことを知りながら弁済した場合は、原則として返還を請求できません。

知らなかった場合まで、一律に返還請求が禁止されるわけではありません。

<不法原因給付>

不法な原因のために給付したものは、原則として返還を請求できません。

ただし、不法な原因が受益者の側だけにある場合は例外です。

<期限前の弁済>

期限前に支払ったもの自体を返してもらうことは原則としてできません。

勘違いによって期限前に弁済した場合には、債権者がそれによって得た利益を返還します。

したがって、「不当利得における善意の受益者は、その利益の存する限度において返還義務を負う。」が最も適切です。

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