中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問152 (経営法務 問16)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問152(経営法務 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

消滅時効に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 債権者が債務者に対して内容証明郵便で催告をした場合、債権の消滅時効は、内容証明郵便が債務者に到達した時から新たに進行を始める。
  • 債務者が消滅時効の完成後に債務の承認をした場合、原則として消滅時効の援用は許されないが、承認の時点において時効完成の事実を知らなかったときは、消滅時効を援用することができる。
  • 債務不履行に基づく損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。
  • 人の身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しない場合、時効によって消滅する。

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この過去問の解説 (1件)

01

「債務不履行に基づく損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。」が当てはまります。

消滅時効とは、一定の期間、権利を行使しない状態が続いた場合に、その権利を消滅させる制度です。

現在の民法では、一般的な債権について、原則として権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間行使しないと、時効によって消滅します。

この問題では、催告、時効完成後の債務承認、債務不履行、人の身体を害する不法行為について、それぞれの時効のルールを区別することがポイントです。

選択肢1. 債権者が債務者に対して内容証明郵便で催告をした場合、債権の消滅時効は、内容証明郵便が債務者に到達した時から新たに進行を始める。

不適切です。

債権者が債務者に支払いを求めるなどの催告をした場合、時効が最初からやり直しになるわけではありません。

催告があると、その時から6カ月を経過するまで時効の完成が猶予されます。

例えば、あと1カ月で消滅時効が完成する時点で催告をした場合、催告によって時効期間がゼロに戻って再スタートするのではなく、6カ月間は時効が完成しないという扱いになります。

このように、催告の効果は時効の「更新」ではなく「完成猶予」です。

したがって、「到達した時から新たに進行を始める」という部分が誤りです。

選択肢2. 債務者が消滅時効の完成後に債務の承認をした場合、原則として消滅時効の援用は許されないが、承認の時点において時効完成の事実を知らなかったときは、消滅時効を援用することができる。

不適切です。

消滅時効が完成した後に、債務者が「この借金は自分が支払います」などと債務の存在を認めた場合、原則として、その後に完成済みの時効を援用することはできません。

この場合、債務を承認した時点で時効が完成していることを債務者が知らなかったとしても、原則として時効の援用は許されないとするのが判例です。

これは、いったん債務の存在を認めて相手に支払いを期待させた後で、「実は時効が完成していたので支払いません」と主張することは、信義に反すると考えられるためです。

したがって、「時効完成の事実を知らなかったときは援用できる」という部分が誤りです。

選択肢3. 債務不履行に基づく損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。

適切です。

債務不履行とは、契約などによって負っている義務を、約束どおりに果たさないことです。

例えば、商品を引き渡す約束をしたのに引き渡さなかった場合などが考えられます。

このような債務不履行によって損害が発生すると、債権者は損害賠償を請求できる場合があります。

債務不履行に基づく損害賠償請求権も通常の債権に当たるため、原則として、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しない場合には、消滅時効が完成します。

なお、債権者が権利を行使できることを知らなかった場合でも、原則として権利を行使できる時から10年間行使しなければ時効によって消滅します。

選択肢4. 人の身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しない場合、時効によって消滅する。

不適切です。

通常の不法行為による損害賠償請求権は、原則として、被害者またはその法定代理人が損害と加害者を知った時から3年間行使しない場合に時効によって消滅します。

しかし、交通事故によるけがなど、人の生命または身体を害する不法行為については特別なルールがあります。

この場合は3年間ではなく、損害および加害者を知った時から5年間です。

人の生命や身体に関する損害は特に重大であるため、通常の不法行為より長い期間が設けられています。

したがって、「3年間」という部分が誤りです。

まとめ

消滅時効については、次の違いを整理しておくことが重要です。

<催告>

催告をしても、時効期間が最初からやり直しになるわけではありません。

催告から6カ月間、時効の完成が猶予されます。

<時効完成後の債務承認>

債務者が時効完成後に債務を承認すると、時効が完成していたことを知らなかった場合でも、原則として完成した時効を援用できません。

<一般的な債権>

原則として、権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間で消滅時効が完成します。

債務不履行に基づく損害賠償請求権にも、このルールが適用されます。

<人の生命・身体を害する不法行為>

損害と加害者を知った時からの時効期間は、通常の3年間ではなく5年間です。

したがって、「債務不履行に基づく損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。」が最も適切です。

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