中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問140 (経営法務 問5)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問140(経営法務 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

内部通報制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 公益通報者保護法の対象となる通報対象事実には、刑法上の犯罪行為(横領、背任など)や行政罰(過料など)の対象となる法令違反も含まれ、さらに、法令違反に該当しない単なる社内規定違反も同法の保護対象となる通報に含まれる。
  • 公益通報者保護法は、従業員数(アルバイト、派遣・契約社員などの非正規社員も含む)が50人以上の企業に対し、内部通報制度の整備を一律に義務付けている。
  • 消費者庁の指針の解説などでは、中小企業の場合には、何社かが共同して事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関など)に内部公益通報の受付窓口を委託することが、経営上のリスクにかかる情報を把握する機会を拡充するための措置の一例として推奨されている。
  • 内部通報制度の実効性を確保するため、内部通報の受付は実名によるものに限ることとし、調査の困難性や虚偽通報のリスクを回避する観点から、匿名による通報は受け付けない旨を社内規程に定めることが望ましい。

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この過去問の解説 (1件)

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「消費者庁の指針の解説などでは、中小企業の場合には、何社かが共同して事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関など)に内部公益通報の受付窓口を委託することが、経営上のリスクにかかる情報を把握する機会を拡充するための措置の一例として推奨されている。」が当てはまります。

内部通報制度とは、従業員などが会社の不正行為や法令違反を発見したときに、会社の内部などに設けられた窓口へ通報できる仕組みです。

公益通報者保護法では、公益通報をした人が、通報を理由に解雇などの不利益な扱いを受けないように保護することなどが定められています。

また、企業には、従業員が安心して通報できる仕組みを整えることが求められています。

特に中小企業では、複数の企業が共同で外部の専門機関に通報窓口を委託する方法も推奨されています。

選択肢1. 公益通報者保護法の対象となる通報対象事実には、刑法上の犯罪行為(横領、背任など)や行政罰(過料など)の対象となる法令違反も含まれ、さらに、法令違反に該当しない単なる社内規定違反も同法の保護対象となる通報に含まれる。

不適切です。

公益通報者保護法の保護対象となるのは、法律で定められた一定の法令違反に関する通報です。

例えば、横領や背任などの犯罪行為のほか、対象となる法律で過料の理由とされている行為なども含まれます。

過料とは、法律上の義務に違反した場合などに科される金銭的な制裁です。

しかし、法令違反に当たらない単なる社内規定違反は、原則として公益通報者保護法の保護対象には含まれません。

例えば、会社独自の服装ルールに違反したというだけでは、通常、この法律で定める通報対象事実には該当しません。

なお、法律上の保護対象ではなくても、企業が独自の内部通報制度で社内規定違反に関する通報を受け付けることは可能です。

選択肢2. 公益通報者保護法は、従業員数(アルバイト、派遣・契約社員などの非正規社員も含む)が50人以上の企業に対し、内部通報制度の整備を一律に義務付けている。

不適切です。

公益通報者保護法第11条では、内部公益通報に対応するための体制整備について、企業などの規模に応じたルールを定めています。

具体的には、常時使用する労働者が300人を超える事業者には、内部公益通報対応体制の整備などが義務付けられています。

一方、300人以下の事業者については努力義務とされています。

努力義務とは、法律上、実施するよう努めることが求められるものです。

なお、常時使用する労働者には、正社員だけでなく、一定のアルバイト、パート、派遣労働者なども含まれます。

したがって、「50人以上の企業に一律に義務付けている」という部分が誤りです。

選択肢3. 消費者庁の指針の解説などでは、中小企業の場合には、何社かが共同して事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関など)に内部公益通報の受付窓口を委託することが、経営上のリスクにかかる情報を把握する機会を拡充するための措置の一例として推奨されている。

適切です。

中小企業では、従業員数や資金、人員などに限りがあり、自社だけで内部通報の専門窓口を設置することが難しい場合があります。

そこで、複数の企業が共同で、法律事務所や民間の専門機関などに通報窓口を委託する方法があります。

例えば、複数の中小企業が共同で弁護士事務所に通報窓口を設ければ、それぞれの企業が専門の担当者を配置しなくても、通報を受け付ける仕組みを整えやすくなります。

また、会社の外部に通報窓口を設けることで、従業員が社内の人間関係などを気にせず、安心して通報しやすくなるという利点もあります。

消費者庁の指針の解説でも、このような共同委託が推奨される取組例として示されています。

選択肢4. 内部通報制度の実効性を確保するため、内部通報の受付は実名によるものに限ることとし、調査の困難性や虚偽通報のリスクを回避する観点から、匿名による通報は受け付けない旨を社内規程に定めることが望ましい。

不適切です。

公益通報者保護法では、匿名による通報も、法律で定められた要件を満たせば公益通報として保護されます。

そのため、内部公益通報の受付窓口では、匿名の通報も受け付ける必要があります。

匿名通報とは、通報する人が自分の名前を明かさずに不正行為などを知らせることです。

確かに、匿名の場合は通報者に詳しい事情を確認できず、調査が難しくなることもあります。

しかし、実名での通報しか認めないと、通報したことが会社に知られるのを恐れて、不正を報告できない人が出てくる可能性があります。

したがって、匿名通報を一律に受け付けないという対応は適切ではありません。

まとめ

内部通報制度では、次の点を押さえることが重要です。

<公益通報の対象>

横領、背任などの犯罪行為や、対象となる法律で過料の理由とされる行為などが含まれます。

ただし、法令違反に当たらない単なる社内規定違反は、原則として公益通報者保護法の対象外です。

<内部通報制度の整備義務>

常時使用する労働者が300人を超える事業者は義務、300人以下の事業者は努力義務です。

<中小企業の通報窓口>

複数の中小企業が共同して、法律事務所や民間の専門機関などに通報窓口を委託する方法が推奨されています。

<匿名通報の取扱い>

匿名の通報も法律上の公益通報に該当するため、内部公益通報受付窓口では匿名通報を受け付ける必要があります。

したがって、中小企業が共同で外部の専門機関に内部通報窓口を委託することを推奨しているという記述が最も適切です。

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