中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問138 (経営法務 問3)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問138(経営法務 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

株主による各種書類の閲覧・謄写請求に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 会計帳簿の閲覧等の請求は、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主であること、およびその権利を行使するため必要があることが要件であり、裁判所の許可を得て行うことができる。
  • 株主総会議事録の閲覧等の請求について、請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営む者であることや、不当な目的によるものであることなどを理由として、株式会社がこれを拒むことができる旨の明文の規定は会社法上存在しない。
  • 株主名簿の閲覧等の請求について、請求者が閲覧等によって知り得た事実を第三者に提供する目的を有している場合には、当該提供によって請求者が利益を得る目的を有しているか否かにかかわらず、会社はその請求を拒むことができる。
  • 取締役会議事録の閲覧等の請求については、株主がその権利を行使するために必要があるときは、株式会社の営業時間内であればいつでも請求することができるとされており、監査役会設置会社であれば、裁判所の許可は要しない。

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この過去問の解説 (1件)

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「株主総会議事録の閲覧等の請求について、請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営む者であることや、不当な目的によるものであることなどを理由として、株式会社がこれを拒むことができる旨の明文の規定は会社法上存在しない。」が当てはまります。

会社法では、株主が会社の経営状況などを確認できるように、会計帳簿、株主総会議事録、株主名簿、取締役会議事録などの閲覧・謄写を請求する権利が定められています。

閲覧とは書類を見ること、謄写とは書類の内容を書き写したり、コピーしたりすることです。

ただし、書類の種類によって、請求できる条件や、会社が請求を拒める場合、裁判所の許可が必要かどうかが異なります。

選択肢1. 会計帳簿の閲覧等の請求は、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主であること、およびその権利を行使するため必要があることが要件であり、裁判所の許可を得て行うことができる。

不適切です。

会社法第433条では、会計帳簿の閲覧・謄写を請求できる株主について、原則として次のいずれかの条件を定めています。

・総株主の議決権の3%以上を持っていること。

・発行済株式(自己株式を除く)の3%以上を持っていること。

なお、定款でこれより低い割合を定めることもできます。

また、請求する際には理由を明らかにする必要がありますが、通常の株主による請求に裁判所の許可は必要ありません。

したがって、「5%以上」「裁判所の許可を得て」という部分が誤りです。

選択肢2. 株主総会議事録の閲覧等の請求について、請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営む者であることや、不当な目的によるものであることなどを理由として、株式会社がこれを拒むことができる旨の明文の規定は会社法上存在しない。

適切です。

会社法第318条第4項では、株主や会社の債権者は、会社の営業時間内であれば、いつでも株主総会議事録の閲覧・謄写を請求できるとされています。

会計帳簿や株主名簿とは異なり、株主総会議事録については、会社が請求を拒むことのできる理由を具体的に列挙した規定がありません。

そのため、請求者が競争関係にある事業を営んでいることなどを理由として、会社が閲覧を拒めるという明文の規定は存在しません。

ただし、権利の濫用に当たるような例外的な場合まで、必ず閲覧を認めなければならないという意味ではありません。

この記述は、あくまで会社法に明文の拒絶事由が定められていないという点で適切です。

選択肢3. 株主名簿の閲覧等の請求について、請求者が閲覧等によって知り得た事実を第三者に提供する目的を有している場合には、当該提供によって請求者が利益を得る目的を有しているか否かにかかわらず、会社はその請求を拒むことができる。

不適切です。

会社法第125条第3項では、株主名簿の閲覧・謄写について、会社が請求を拒むことのできる場合を定めています。

その1つが、株主名簿から知った情報を、利益を得て第三者に提供する目的で請求する場合です。

例えば、株主名簿の情報を名簿業者に売って利益を得ようとする場合などが該当します。

しかし、第三者へ情報を提供する目的があるというだけで、必ず請求を拒めるわけではありません。

この拒絶事由では、利益を得る目的があることが重要です。

したがって、「利益を得る目的を有しているか否かにかかわらず」という部分が誤りです。

なお、会社の業務を妨害する目的など、別の拒絶事由に該当する場合には、請求を拒めることがあります。

選択肢4. 取締役会議事録の閲覧等の請求については、株主がその権利を行使するために必要があるときは、株式会社の営業時間内であればいつでも請求することができるとされており、監査役会設置会社であれば、裁判所の許可は要しない。

不適切です。

会社法第371条では、株主が自分の権利を行使するために必要な場合、取締役会議事録の閲覧・謄写を請求できるとされています。

ただし、監査役設置会社では、裁判所の許可が必要です。

監査役会設置会社は監査役設置会社に含まれるため、同じく裁判所の許可が必要になります。

したがって、「監査役会設置会社であれば、裁判所の許可は要しない」という部分が誤りです。

まとめ

株主による書類の閲覧・謄写については、書類ごとに条件が異なります。

会計帳簿

原則として、議決権または発行済株式の3%以上を持つ株主が、理由を明らかにして請求できます。

通常の請求に裁判所の許可は必要ありません。

株主総会議事録

株主は、会社の営業時間内であれば、いつでも閲覧・謄写を請求できます。

会社法には、競争関係や不当な目的などを理由として会社が拒めるという具体的な拒絶事由の規定はありません。

株主名簿

株主は理由を明らかにして閲覧・謄写を請求できますが、情報を売って利益を得る目的がある場合など、法定の拒絶事由に該当すれば会社は拒むことができます。

取締役会議事録

株主の権利行使に必要な場合に請求できますが、監査役設置会社では裁判所の許可が必要です。

したがって、株主総会議事録について、競争関係や不当な目的などを理由とする拒絶事由を定めた明文の規定が会社法上存在しないとする記述が最も適切です。

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