中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問137 (経営法務 問2)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問137(経営法務 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

株式会社と合同会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、定款に特別の定めはないものとする。
  • 株式会社においては、株主は原則としてその有する株式を自由に譲渡することができる。合同会社においては、社員はその持分の全部または一部を他人に譲渡するには、他の社員全員の承諾を得なければならないが、業務を執行しない有限責任社員は、業務執行社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部または一部を他人に譲渡することができる。
  • 株式会社においては、株主平等原則の下、剰余金の配当は株主の有する株式の数に応じて行われるのが原則である。合同会社においては、人的関係を重視する観点から、定款に定めがない場合でも、業務執行社員の裁量によって出資の価額とは異なる割合で損益の分配を行うことができるとされている。
  • 株式会社においては、所有と経営の分離の観点から、取締役会を設置した場合には取締役会が業務執行を担い、株主が直接業務執行を行うことは想定されていない。合同会社においては、社員が2人以上ある場合、業務の執行は、出資の価額の過半数をもって決定することとされている。
  • 株式会社の取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされている。合同会社の業務執行社員の任期についても、業務執行の適正化を図る観点から、会社法上、原則として選任後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する社員総会の終結の時までとされている。

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この過去問の解説 (1件)

01

「株式会社においては、株主は原則としてその有する株式を自由に譲渡することができる。合同会社においては、社員はその持分の全部または一部を他人に譲渡するには、他の社員全員の承諾を得なければならないが、業務を執行しない有限責任社員は、業務執行社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部または一部を他人に譲渡することができる。」が当てはまります。

株式会社と合同会社では、出資者の権利、利益の分配方法、業務執行の決め方、役員の任期などに違いがあります。

特に、株式会社の株式は原則として自由に譲渡できますが、合同会社の持分を譲渡するには、原則として他の社員の承諾が必要です。

なお、合同会社の「社員」とは、従業員ではなく、会社に出資している人を指します。

選択肢1. 株式会社においては、株主は原則としてその有する株式を自由に譲渡することができる。合同会社においては、社員はその持分の全部または一部を他人に譲渡するには、他の社員全員の承諾を得なければならないが、業務を執行しない有限責任社員は、業務執行社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部または一部を他人に譲渡することができる。

適切です。

株式会社では、会社法第127条により、株主は原則として自分の株式を自由に譲渡できます。

ただし、譲渡制限株式については、原則として会社の承認が必要です。

一方、合同会社では、会社法第585条により、社員が持分を他人に譲渡する場合、原則として他の社員全員の承諾が必要です。

ただし、業務を執行しない有限責任社員については、業務執行社員全員の承諾があれば、持分を譲渡できます。

つまり、合同会社では、社員同士の人的なつながりを重視しているため、株式会社よりも持分の譲渡が制限されています。

選択肢2. 株式会社においては、株主平等原則の下、剰余金の配当は株主の有する株式の数に応じて行われるのが原則である。合同会社においては、人的関係を重視する観点から、定款に定めがない場合でも、業務執行社員の裁量によって出資の価額とは異なる割合で損益の分配を行うことができるとされている。

不適切です。

株式会社では、原則として、株主が保有する株式数に応じて剰余金の配当が行われます。

一方、合同会社では、定款によって出資比率とは異なる損益分配の割合を定めることができます。

しかし、定款に特別の定めがない場合は、各社員の出資の価額に応じて損益を分配することとされています。

これは会社法第622条に定められています。

例えば、出資額がAさん300万円、Bさん100万円なら、原則として損益分配の割合は3:1になります。

業務執行社員が自由に分配割合を決められるわけではありません。

選択肢3. 株式会社においては、所有と経営の分離の観点から、取締役会を設置した場合には取締役会が業務執行を担い、株主が直接業務執行を行うことは想定されていない。合同会社においては、社員が2人以上ある場合、業務の執行は、出資の価額の過半数をもって決定することとされている。

不適切です。

株式会社では、株主が出資者となり、取締役などが経営を担う仕組みが基本です。

取締役会設置会社では、取締役会が重要な業務執行の決定などを行い、代表取締役などが実際の業務を執行します。

一方、合同会社では、原則として社員自身が業務を執行します。

社員が2人以上いる場合、会社法第590条第2項により、業務に関する決定は、原則として社員の人数の過半数で行います。

例えば、出資額がAさん500万円、Bさん100万円、Cさん100万円の場合でも、Aさんが出資額の過半数を持っているという理由だけで、業務を決定できるわけではありません。

出資額ではなく、社員の人数を基準にすることがポイントです。

なお、日常的な業務については、各社員が単独で行える場合もあります。

選択肢4. 株式会社の取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされている。合同会社の業務執行社員の任期についても、業務執行の適正化を図る観点から、会社法上、原則として選任後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する社員総会の終結の時までとされている。

不適切です。

株式会社の取締役の任期は、会社法第332条により、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最後の事業年度に関する定時株主総会の終結時までとされています。

なお、非公開会社では、定款によって最長10年まで延長できる場合があります。

一方、合同会社の業務執行社員には、会社法上の一律の任期は定められていません。

そのため、「原則として3年」という説明は誤りです。

また、合同会社には、株式会社の株主総会に当たる「社員総会」を必ず設置しなければならないという規定もありません。

まとめ

株式会社と合同会社の主な違いは、次のとおりです。

<持分の譲渡>

株式会社:株式は原則として自由に譲渡できます。

合同会社:原則として他の社員全員の承諾が必要です。ただし、業務を執行しない有限責任社員については、業務執行社員全員の承諾で譲渡できます。

<損益の分配>

株式会社:原則として株式数に応じて配当します。

合同会社:定款に定めがなければ、出資の価額に応じて損益を分配します。

<業務執行の決定>

株式会社:取締役会設置会社では、取締役会が重要な業務執行の決定などを行います。

合同会社:原則として社員が業務を執行し、社員が複数いる場合は人数の過半数で決定します。

<任期>

株式会社:取締役の任期は原則として2年です。

合同会社:業務執行社員について、会社法上の一律の任期はありません。

したがって、株式会社の株式譲渡の原則と、合同会社の持分譲渡に必要な承諾について述べた記述が最も適切です。

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