中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問86 (企業経営理論 問36)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問86(企業経営理論 問36) (訂正依頼・報告はこちら)

ソーシャル・マーケティングおよびソサイエタル・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • M.ポーターが提唱したCSVという概念は、競争優位の確立には株主価値の向上がとりわけ重要であることを意味している。
  • P.コトラーが提唱したソーシャル・マーケティングは、マーケティング概念を拡張し、その諸技法を営利企業だけではなく、教会、病院、大学、政府などの非営利組織にも適用するという考えに基づいている。
  • 「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の三方よしの精神は、寄付などの社会貢献をする際にも営利優先の前提があったため、ソサイエタル・マーケティングの発想とは大きく異なるものと言える。
  • アメリカのあるクレジットカード会社による自由の女神修復キャンペーンのように、売上の一部を社会的大義のもとで寄付を行うプロモーション活動は、コーズリレーテッド・マーケティングと呼ばれている。これは、企業利益よりも社会的利益と顧客満足を優先している点で、ソサイエタル・マーケティングの手法と言える。
  • ソサイエタル・マーケティングの潮流は、1962年のケネディ大統領の一般教書演説の中の消費者の4つの権利によって生まれた。それらは、安全が確保される権利、選択する権利、知らされる権利、被害の救済を受けられる権利であり、日本にも導入され、消費者基本法にも定められている。

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

「P.コトラーが提唱したソーシャル・マーケティングは、マーケティング概念を拡張し、その諸技法を営利企業だけではなく、教会、病院、大学、政府などの非営利組織にも適用するという考えに基づいている。」が当てはまります。

マーケティングは、もともと企業が商品やサービスを販売するための活動として発展してきました。

しかし、その考え方や手法は企業だけでなく、病院、大学、政府、教会などの非営利組織や社会的な活動にも活用できると考えられるようになりました。

選択肢1. M.ポーターが提唱したCSVという概念は、競争優位の確立には株主価値の向上がとりわけ重要であることを意味している。

不適切です。

CSVとは、Creating Shared Valueの略で、共通価値の創造を意味します。

企業が利益を得ることだけを考えるのではなく、社会の課題を解決しながら、企業にも経済的な価値を生み出そうとする考え方です。

つまり、株主価値だけを特に重視する考え方ではなく、企業の経済的価値と社会的価値を同時に生み出すことを目指します。

選択肢2. P.コトラーが提唱したソーシャル・マーケティングは、マーケティング概念を拡張し、その諸技法を営利企業だけではなく、教会、病院、大学、政府などの非営利組織にも適用するという考えに基づいている。

適切です。

マーケティングの考え方や技法は、商品の販売を目的とする営利企業だけに使われるものではありません。

病院や大学、政府、教会などの非営利組織でも、対象となる人々のニーズを理解し、適切なサービスや情報を届けるためにマーケティングを利用できます。

このように、マーケティングの対象を企業活動だけでなく、非営利組織や社会的な活動まで広げて考えるという点がポイントです。

選択肢3. 「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の三方よしの精神は、寄付などの社会貢献をする際にも営利優先の前提があったため、ソサイエタル・マーケティングの発想とは大きく異なるものと言える。

不適切です。

三方よしとは、

売り手にとってよい
買い手にとってよい
社会にとってもよい

という考え方です。

これは、企業の利益だけでなく、顧客の満足や社会全体の利益も考えるという点で、ソサイエタル・マーケティングの発想と共通する部分があります。

したがって、「大きく異なる」という説明は適切ではありません。

選択肢4. アメリカのあるクレジットカード会社による自由の女神修復キャンペーンのように、売上の一部を社会的大義のもとで寄付を行うプロモーション活動は、コーズリレーテッド・マーケティングと呼ばれている。これは、企業利益よりも社会的利益と顧客満足を優先している点で、ソサイエタル・マーケティングの手法と言える。

不適切です。

商品の購入やサービスの利用を、社会的な課題への寄付などと結び付ける方法は、コーズリレーテッド・マーケティングと呼ばれます。

自由の女神修復キャンペーンは、その代表的な事例です。

ただし、コーズリレーテッド・マーケティングは、企業利益を後回しにして社会的利益を優先するものではありません。

社会に貢献すると同時に、商品の販売促進や企業イメージの向上など、企業側にも利益をもたらすことを目指します。

そのため、「企業利益よりも社会的利益と顧客満足を優先している」という部分が適切ではありません。

選択肢5. ソサイエタル・マーケティングの潮流は、1962年のケネディ大統領の一般教書演説の中の消費者の4つの権利によって生まれた。それらは、安全が確保される権利、選択する権利、知らされる権利、被害の救済を受けられる権利であり、日本にも導入され、消費者基本法にも定められている。

不適切です。

ケネディ大統領が1962年に示した「消費者の4つの権利」は、

安全である権利
知らされる権利
選ぶ権利
意見を聞いてもらう権利

です。

選択肢にある「被害の救済を受けられる権利」は、このとき示された4つの権利には含まれていません。

その後、消費者の権利はさらに広がり、日本の消費者基本法でも、被害を適切かつ迅速に救済されることなどが消費者の権利として位置付けられています。

まとめ

ソーシャル・マーケティングやソサイエタル・マーケティングでは、従来の「企業が商品を売って利益を得る」という範囲を超えて、社会との関わりを考えることが重要になります。

ソーシャル・マーケティングでは、マーケティングの考え方や技法を非営利組織などにも広げて活用します。

一方、ソサイエタル・マーケティングでは、企業利益だけではなく、顧客の満足と社会全体の長期的な利益との調和を考えます。

また、CSVやコーズリレーテッド・マーケティングも、社会への貢献と企業活動を結び付ける考え方ですが、企業の利益を単純に犠牲にするものではない点を押さえておくことが重要です。

参考になった数4