中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問78 (企業経営理論 問28)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問78(企業経営理論 問28) (訂正依頼・報告はこちら)

リレーションシップ・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 「20対80の法則」に基づけば、上位2割の優良顧客が売上の大部分を占めるという収益構造が多く見られるため、全顧客に一律の経営資源を投下するのではなく、収益性の高い顧客を識別して特別なベネフィットを提供するなど長期的な関係を深化させることは、限られた資源の効率的な配分において有効な手段となる。
  • カスタマー・リレーションシップ・マネジメントを推進する上では、ITを活用した顧客データベースの構築や購買履歴の分析が極めて重要であり、これらの技術的基盤が完備されていれば、接客担当者のスキルのバラつきや組織内の顧客志向の欠如といった人的・組織的要因が、顧客との関係構築の成否に影響を及ぼすことはない。
  • 顧客生涯価値とは、ある顧客が一生の間にその企業にもたらす価値の合計を意味するが、実務上の算出においては、将来のキャッシュフローの不確実性を考慮し、新規顧客の獲得コストや既存顧客の維持コストを差し引く前の「売上高の総計」を指標として用いるのが一般的である。
  • スイッチング・コストとは、顧客が現在利用しているブランドから競合他社へ乗り換える際に発生する心理的、物理的、金銭的な負担を意味するが、リレーションシップ・マーケティングにおいては、顧客の自由な選択を妨げないよう、このスイッチング・コストを可能な限り低減させて離反の障壁をなくすことが必要である。
  • リレーションシップ・マーケティングは、個々の取引から得られる短期的な利益の最大化を重視するトランザクション・マーケティングの考え方をさらに徹底したものであり、顧客との接触頻度を増やすことで、1回当たりの取引における販売価格を可能な限り引き上げ、当期の営業利益を最大化することを主な目的としている。

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この過去問の解説 (1件)

01

「『20対80の法則』に基づけば、上位2割の優良顧客が売上の大部分を占めるという収益構造が多く見られるため、全顧客に一律の経営資源を投下するのではなく、収益性の高い顧客を識別して特別なベネフィットを提供するなど長期的な関係を深化させることは、限られた資源の効率的な配分において有効な手段となる。」が当てはまります。

リレーションシップ・マーケティングは、1回ごとの販売だけを重視するのではなく、
収益性の高い顧客と長期的な関係を築き、その関係を維持・発展させることを重視する考え方です。

すべての顧客に同じように資源を使うのではなく、
顧客ごとの価値や収益性を考えて対応することが重要です。

選択肢1. 「20対80の法則」に基づけば、上位2割の優良顧客が売上の大部分を占めるという収益構造が多く見られるため、全顧客に一律の経営資源を投下するのではなく、収益性の高い顧客を識別して特別なベネフィットを提供するなど長期的な関係を深化させることは、限られた資源の効率的な配分において有効な手段となる。

適切です。

「20対80の法則」は、少数の重要な顧客が売上や利益の大きな割合を生み出していることがある、という考え方です。

そのため、顧客ごとの収益性を把握し、
特に価値の高い顧客に優先的にサービスや特典を提供して、長期的な関係を深めることは有効です。

限られた人員や予算を、将来の利益につながりやすい顧客に重点的に配分することは、
リレーションシップ・マーケティングの考え方に合っています。

選択肢2. カスタマー・リレーションシップ・マネジメントを推進する上では、ITを活用した顧客データベースの構築や購買履歴の分析が極めて重要であり、これらの技術的基盤が完備されていれば、接客担当者のスキルのバラつきや組織内の顧客志向の欠如といった人的・組織的要因が、顧客との関係構築の成否に影響を及ぼすことはない。

不適切です。

CRMでは、顧客データベースや購買履歴の分析など、ITの活用は重要です。

しかし、ITだけで顧客との良い関係を築けるわけではありません。

接客担当者の対応力や、組織全体が顧客を重視する姿勢なども、
顧客満足や継続的な取引に大きく影響します。

そのため、技術的基盤が整っていても、人的・組織的な問題の影響がなくなるわけではありません。

選択肢3. 顧客生涯価値とは、ある顧客が一生の間にその企業にもたらす価値の合計を意味するが、実務上の算出においては、将来のキャッシュフローの不確実性を考慮し、新規顧客の獲得コストや既存顧客の維持コストを差し引く前の「売上高の総計」を指標として用いるのが一般的である。

不適切です。

顧客生涯価値は、一般にCLVやLTVと呼ばれ、
ある顧客との取引関係全体から企業が得られる経済的価値を表します。

単純な売上高の合計ではなく、
将来得られる利益やキャッシュフローを考え、必要に応じて顧客の獲得費用や維持費用なども考慮します。

したがって、コストを差し引く前の「売上高の総計」をそのまま顧客生涯価値とする説明は適切ではありません。

選択肢4. スイッチング・コストとは、顧客が現在利用しているブランドから競合他社へ乗り換える際に発生する心理的、物理的、金銭的な負担を意味するが、リレーションシップ・マーケティングにおいては、顧客の自由な選択を妨げないよう、このスイッチング・コストを可能な限り低減させて離反の障壁をなくすことが必要である。

不適切です。

スイッチング・コストとは、顧客が別の商品や企業に乗り換えるときに生じる、
手間、費用、時間、心理的負担などのことです。

リレーションシップ・マーケティングでは、
顧客満足や信頼関係、会員制度などを通じて継続利用につなげることがあります。

そのため、顧客の離反を防ぐ要因となるスイッチング・コストを、
必ず可能な限り低くして障壁をなくすべきだという考え方ではありません。

選択肢5. リレーションシップ・マーケティングは、個々の取引から得られる短期的な利益の最大化を重視するトランザクション・マーケティングの考え方をさらに徹底したものであり、顧客との接触頻度を増やすことで、1回当たりの取引における販売価格を可能な限り引き上げ、当期の営業利益を最大化することを主な目的としている。

不適切です。

リレーションシップ・マーケティングとトランザクション・マーケティングは、
重視する点が異なります。

トランザクション・マーケティングは、個々の取引を成立させることや短期的な売上を重視します。

一方、リレーションシップ・マーケティングでは、
顧客との長期的な関係を維持し、継続的な取引によって長期的な利益を高めることを重視します。

1回の取引価格や当期の利益を最大化することが主な目的ではありません。

まとめ

リレーションシップ・マーケティングでは、
顧客を単に「今回商品を買ってもらう相手」として見るのではなく、
長期にわたって関係を築く相手として考えます。

そのため、顧客生涯価値や顧客ごとの収益性を考えながら、
価値の高い顧客との関係を維持・強化していくことが重要です。

また、CRMにはITだけでなく、人材の接客力や組織全体の顧客志向も必要です。

したがって、収益性の高い顧客を識別し、限られた経営資源を重点的に配分して長期的な関係を深めるという記述が最も適切です。

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