中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問61 (企業経営理論 問11)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問61(企業経営理論 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

P.ゲマワットが提唱した「AAAトライアングル」は、国や地域間の差異に直面した企業が、グローバル戦略を設計する際の基本的な方向性を示すものである。国ごとの差異に順応する「適応(Adaptation)」、国境を越えた標準化によって差異を克服する「集約(Aggregation)」、各国の差異を活用する「裁定(Arbitrage)」の3つから構成される。このうち、「裁定(Arbitrage)」に分類される企業の戦略的行動として、最も適切なものはどれか。
  • あるアパレルメーカーが、縫製は人件費の安い国、デザインは流行の発信地、コールセンターは語学力の高い国というように、国ごとに機能を分散配置した。
  • ある化学メーカーが、多角化していた事業ポートフォリオを見直し、国際市場で競争力のない不採算事業から撤退して、得意とする高機能素材分野へ経営資源を集中させた。
  • ある食品メーカーが、進出先の国の食文化や宗教的なタブーに配慮し、現地市場の原材料のみを使用した製品を新たに開発した。
  • ある電機メーカーが、進出先の国での急速なシェア拡大を目指し、現地の有力な販売網を持つ企業と戦略的提携を結んだ。
  • ある日用品メーカーが、世界中で部品の共通化を進め、特定国での集中生産を行うことで規模の経済を働かせ、グローバルなコストリーダーシップを確立した。

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この過去問の解説 (1件)

01

「あるアパレルメーカーが、縫製は人件費の安い国、デザインは流行の発信地、コールセンターは語学力の高い国というように、国ごとに機能を分散配置した。」が当てはまります。

AAAトライアングルの「裁定(Arbitrage)」とは、国や地域による賃金、技術、人材、制度などの違いを利用して有利な場所に企業活動を配置する戦略です。

この選択肢では、人件費、流行への近さ、語学力という国ごとの違いを利用し、それぞれに適した機能を配置しているため、裁定に該当します。

選択肢1. あるアパレルメーカーが、縫製は人件費の安い国、デザインは流行の発信地、コールセンターは語学力の高い国というように、国ごとに機能を分散配置した。

適切です。

この企業は、それぞれの国が持つ特徴の違いを利用しています。

例えば、

縫製→人件費の安さを利用
デザイン→流行に関する情報の集まりやすさを利用
コールセンター→語学力の高さを利用

という形です。

このように、国ごとの違いをなくそうとするのではなく、違いそのものを企業の利益につなげることが裁定の考え方です。

選択肢2. ある化学メーカーが、多角化していた事業ポートフォリオを見直し、国際市場で競争力のない不採算事業から撤退して、得意とする高機能素材分野へ経営資源を集中させた。

不適切です。

これは事業の選択と集中についての説明です。

不採算事業から撤退して得意分野に経営資源を集中させていますが、国や地域による違いを利用しているわけではありません。

そのため、AAAトライアングルにおける裁定の典型例ではありません。

選択肢3. ある食品メーカーが、進出先の国の食文化や宗教的なタブーに配慮し、現地市場の原材料のみを使用した製品を新たに開発した。

不適切です。

これは、進出先の国の食文化や宗教などに合わせて製品を変更しています。

つまり、国ごとの違いに合わせる戦略です。

AAAトライアングルでは、このように現地の事情に合わせて商品やサービスを変更することを適応(Adaptation)といいます。

選択肢4. ある電機メーカーが、進出先の国での急速なシェア拡大を目指し、現地の有力な販売網を持つ企業と戦略的提携を結んだ。

不適切です。

現地企業との戦略的提携そのものだけでは、裁定とは判断できません。

裁定では、国ごとの賃金、資源、人材、税制などの差を利用して経済的な利益を得ることがポイントです。

この選択肢では、現地の販売網を利用してシェアを広げることが目的であり、国ごとの差を活用して活動を配置するという説明にはなっていません。

選択肢5. ある日用品メーカーが、世界中で部品の共通化を進め、特定国での集中生産を行うことで規模の経済を働かせ、グローバルなコストリーダーシップを確立した。

不適切です。

この企業は、世界各国で部品を共通化し、集中生産によって規模の経済を得ようとしています。

これは、各国ごとに別々の仕組みを採用するのではなく、国境を越えて標準化・共通化する戦略です。

AAAトライアングルでは、このような考え方を集約(Aggregation)といいます。

まとめ

AAAトライアングルは、国や地域の違いに対する企業の戦略を、次の3つに分けて考えます。

適応(Adaptation)
→国ごとの違いに合わせて、商品やサービスなどを変更します。

集約(Aggregation)
→国境を越えて標準化・共通化し、規模の経済などを得ます。

裁定(Arbitrage)
→国ごとの賃金、人材、技術、制度などの違いを積極的に利用します。

この問題では、人件費の安い国で縫製を行い、流行の発信地でデザインし、語学力の高い国にコールセンターを置くことで、それぞれの国の強みの違いを活用しているため「裁定」に該当します。

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