中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問60 (企業経営理論 問10)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問60(企業経営理論 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

C.クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」では、業界のリーダー企業は破壊的イノベーションへ有効に対応できないと指摘されている。その理由として、最も適切なものはどれか。
  • 過去の成功体験にとらわれ、現在の主要顧客の声を無視してしまうから。
  • 企業の資源配分メカニズムによって、高い利益率が見込める事業に優秀な人材や資金が優先的に流れる仕組みになっているから。
  • 既存の主要な顧客基盤や優秀な技術スタッフに頼らずに、既存の組織ではなく新しい小さな組織で対応してしまうから。
  • 競争優位性のある既存のバリューネットワークを捨て、新しいバリューネットワークを展開しようとするから。
  • 破壊的イノベーションへの投資は、収益性は高く市場規模は大きいが新規性が極めて高いため、リスク回避的な企業文化によって経営会議で否決されてしまうから。

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この過去問の解説 (1件)

01

「企業の資源配分メカニズムによって、高い利益率が見込める事業に優秀な人材や資金が優先的に流れる仕組みになっているから。」が当てはまります。

イノベーションのジレンマでは、業界のリーダー企業が合理的に経営し、既存の主要顧客の要望に応え、収益性の高い事業へ資源を配分すること自体が、破壊的イノベーションへの対応を難しくすると考えます。

破壊的イノベーションは、登場したばかりの段階では市場規模が小さく、利益率も低いことが多いため、大企業の資源配分では後回しにされやすいのです。

選択肢1. 過去の成功体験にとらわれ、現在の主要顧客の声を無視してしまうから。

不適切です。

イノベーションのジレンマでは、リーダー企業はむしろ主要顧客の声をよく聞き、それに応えようとするために破壊的イノベーションへ対応しにくくなると考えます。

既存顧客は通常、現在使っている製品の性能向上を求めます。

そのため、企業は既存製品の改良に資源を投入しやすくなり、当初は性能が低く市場も小さい破壊的イノベーションを重視しにくくなります。

選択肢2. 企業の資源配分メカニズムによって、高い利益率が見込める事業に優秀な人材や資金が優先的に流れる仕組みになっているから。

適切です。

企業には限られた人材や資金を、より収益性の高い事業へ配分しようとする仕組みがあります。

破壊的イノベーションは、登場したばかりの段階では、

市場規模が小さい
利益率が低い
既存顧客からの需要も弱い

といった特徴を持つことがあります。

そのため、大企業では既存の収益性の高い事業が優先され、破壊的イノベーションに十分な人材や資金が回りにくくなります。

つまり、合理的な資源配分が、かえって破壊的イノベーションへの対応を妨げることがポイントです。

選択肢3. 既存の主要な顧客基盤や優秀な技術スタッフに頼らずに、既存の組織ではなく新しい小さな組織で対応してしまうから。

不適切です。

破壊的イノベーションに対応する方法として、既存組織から切り離した小規模で独立性の高い組織を設けることは有効とされています。

新しい市場は当初小さいことが多いため、大企業の既存部門では十分な魅力を感じにくいからです。

したがって、新しい小さな組織で対応すること自体が、対応できない理由というわけではありません。

選択肢4. 競争優位性のある既存のバリューネットワークを捨て、新しいバリューネットワークを展開しようとするから。

不適切です。

問題になるのは、むしろ企業が既存の顧客や取引関係などからなる現在のバリューネットワークに強く適応していることです。

既存の市場では高く評価される製品性能や利益率が、新しい市場では重視されないことがあります。

そのため、既存のバリューネットワークに適した経営を続けるほど、破壊的イノベーションが生み出す新市場へ移りにくくなります。

選択肢5. 破壊的イノベーションへの投資は、収益性は高く市場規模は大きいが新規性が極めて高いため、リスク回避的な企業文化によって経営会議で否決されてしまうから。

不適切です。

破壊的イノベーションは、登場初期から高い収益性と大きな市場規模を持つとは限りません。

むしろ初期には、市場が小さく、利益率も低く、既存の主要顧客にとって魅力が乏しい場合があります。

だからこそ、既存事業と比べて投資の優先順位が低くなりやすく、十分な資源を得られないことが問題になります。

まとめ

イノベーションのジレンマでは、リーダー企業が失敗する理由を、単なる経営者の判断ミスとは考えません。

むしろ、

主要顧客の要望を重視する
高い利益率が見込める事業を優先する
人材や資金を効率よく配分する

といった合理的な経営判断そのものが、破壊的イノベーションへの対応を難しくすることがあります。

特に、破壊的イノベーションは初期段階では市場規模や利益率が小さいため、既存の優良事業より資源配分の優先順位が低くなりやすい点が重要です。

そのため、企業の資源配分メカニズムによって、高い利益率が期待できる事業へ人材や資金が優先的に流れるという記述が最も当てはまります。

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