中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問52 (企業経営理論 問2)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問52(企業経営理論 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

SWOT分析では、「強み」や「弱み」といった内部環境要因と「機会」や「脅威」といった外部環境要因を組み合わせて、戦略代替案を考えることができる。以下の事例に基づき、治療院Aが検討している戦略代替案のうち、「弱み」と「機会」に対応するものとして、最も適切なものを下記の選択肢から選べ。

<事例>
治療院Aは、近隣に高齢者が多数居住するマンションがある地域で営業している。従業員は誰とでも気さくに話せるため患者からの受けがよく、院長は鍼灸(しんきゅう)師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の資格を有しており、幅広い施術を提供できる体制にある。一方、治療院Aは仕事が丁寧であることで評判を得ているものの、患者1人当たりにかける時間が長く、その結果として待ち時間が長くなりがちである。こうした状況の中、先月、近隣に低価格を売りにした治療院Bが新たに開院し、競争環境が変化しつつある。
  • 院長の複数資格を生かし、鍼灸・マッサージ・整復を組み合わせた総合施術メニューを整備する。高齢者層に向けて症状別の提案や説明を強化し、提供内容の幅広さを訴求して利用拡大を図る。
  • 患者1人当たりの施術時間をさらに確保し、これまで以上に患者に寄り添った接遇を行うことでサービス品質を高める。料金よりも対応や施術内容を評価する既存の高齢患者の満足度向上に注力する。
  • 競合の低価格戦略に合わせて料金を引き下げ、来院数の増加によって売上の確保を狙う。そのために施術時間を短縮して回転率を上げ、低価格でも利益が出る運営体制へと転換していく。
  • 低価格を打ち出す競合に対して、料金水準を追随して下げるのではなく、質の高い総合的な治療を前面に出して差別化する。料金以外の価値を分かりやすく伝えることで選ばれる理由をつくる。
  • 待ち時間に起因する不満や離反を抑えるために、電話予約や時間帯予約を導入して来院の集中を平準化する。あわせて高齢者が利用しやすい時間枠や案内方法を整備し、来院のハードルを下げて利用拡大につなげる。

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この過去問の解説 (1件)

01

「待ち時間に起因する不満や離反を抑えるために、電話予約や時間帯予約を導入して来院の集中を平準化する。あわせて高齢者が利用しやすい時間枠や案内方法を整備し、来院のハードルを下げて利用拡大につなげる。」が当てはまります。

この問題では、SWOT分析のうち、弱み(Weakness)と機会(Opportunity)を組み合わせた戦略を選びます。

治療院Aの主な弱みは、患者1人当たりの施術時間が長く、待ち時間が長くなりやすいことです。

一方、機会は、近隣に高齢者が多数住んでおり、今後の利用拡大が期待できることです。

したがって、待ち時間という弱みを改善しながら、高齢者の利用を増やす戦略が該当します。

選択肢1. 院長の複数資格を生かし、鍼灸・マッサージ・整復を組み合わせた総合施術メニューを整備する。高齢者層に向けて症状別の提案や説明を強化し、提供内容の幅広さを訴求して利用拡大を図る。

不適切です。

院長が複数の資格を持ち、幅広い施術を提供できることは、治療院Aの強みです。

また、近隣に高齢者が多いことは機会です。

したがって、これは強みと機会を組み合わせたSO戦略にあたります。

選択肢2. 患者1人当たりの施術時間をさらに確保し、これまで以上に患者に寄り添った接遇を行うことでサービス品質を高める。料金よりも対応や施術内容を評価する既存の高齢患者の満足度向上に注力する。

不適切です。

患者への丁寧な対応や従業員の接しやすさを生かす点では、治療院Aの強みを利用しています。

しかし、もともとの弱みである施術時間の長さや待ち時間の長さをさらに悪化させる可能性があります。

弱みを改善して機会を生かす戦略とはいえません。

選択肢3. 競合の低価格戦略に合わせて料金を引き下げ、来院数の増加によって売上の確保を狙う。そのために施術時間を短縮して回転率を上げ、低価格でも利益が出る運営体制へと転換していく。

不適切です。

近隣に低価格を売りにする治療院Bが開院したことは、治療院Aにとって脅威です。

この選択肢は、その競合に対抗するために料金や運営方法を変えようとしています。

したがって、機会を活用する戦略ではありません。

選択肢4. 低価格を打ち出す競合に対して、料金水準を追随して下げるのではなく、質の高い総合的な治療を前面に出して差別化する。料金以外の価値を分かりやすく伝えることで選ばれる理由をつくる。

不適切です。

幅広く質の高い治療を提供できることは、治療院Aの強みです。

一方、低価格の競合が新たに現れたことは脅威です。

そのため、これは強みを使って脅威に対抗するST戦略にあたります。

選択肢5. 待ち時間に起因する不満や離反を抑えるために、電話予約や時間帯予約を導入して来院の集中を平準化する。あわせて高齢者が利用しやすい時間枠や案内方法を整備し、来院のハードルを下げて利用拡大につなげる。

適切です。

治療院Aには、患者1人当たりの施術時間が長いため、待ち時間が長くなりやすいという弱みがあります。

そこで、予約制度を導入して来院時間を分散させれば、この弱みを改善できます。

さらに、近隣に多く住んでいる高齢者が利用しやすい時間枠や案内方法を用意することで、高齢者が多いという外部環境の機会を生かすことができます。

このため、弱みを改善しながら機会を活用するWO戦略にあたります。

まとめ

SWOT分析では、

強み=従業員の親しみやすさ、院長の複数資格、幅広い施術
弱み=施術時間が長く、待ち時間が長くなりやすいこと
機会=近隣に高齢者が多数住んでいること
脅威=低価格を売りにする治療院Bの開院

と整理できます。

弱みと機会を組み合わせるWO戦略では、自社の弱みを改善しながら、外部環境の好機を生かすことがポイントです。

そのため、予約制度などで待ち時間を改善し、高齢者が利用しやすい環境を整えて利用拡大を図る戦略が最も当てはまります。

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