中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問51 (企業経営理論 問1)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問51(企業経営理論 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

企業の内部環境分析の1つであるVRIO分析の考え方に基づく、ある企業の持つ経営資源の評価に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 業界トップのブランド力を有し、他社がそれを模倣するのは極めて困難である。また、その利用体制も組織的に整備されており、当該ブランドを冠する製品やサービスは顧客の支払意思額を高めている。この場合、そのブランドは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。
  • 現時点でそのノウハウの商業的な利用機会は見いだせず、将来においても経済的な価値創出を期待することができない。しかし、長年の試行錯誤や人間関係によって築かれ、組織的な活用体制も整えられており、他社による模倣が事実上困難なノウハウである。この場合、そのノウハウは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。
  • 顧客に提供する価値の源泉となっており、現時点では他社が保有していない希少な技術である。組織的な活用体制も構築されている。しかし、近い将来に、代替手段が低コストで利用可能となる見込みが高い。この場合、その技術は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。
  • 製品化に不可欠な原材料であり、それを投入することで顧客ニーズを的確に捉え売上向上に寄与している。しかし、他社も同様の原材料を容易に入手し活用している。この場合、その原材料は企業に対して「一時的な競争優位」をもたらすと評価される。
  • その業界では代表的なサプライヤーから調達可能であり、自社を含む多くの企業が同等の設備を既に導入している。しかし、その設備は当該製品の生産に不可欠であり、組織的な利用体制も整っている。この場合、その設備は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。

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この過去問の解説 (1件)

01

「業界トップのブランド力を有し、他社がそれを模倣するのは極めて困難である。また、その利用体制も組織的に整備されており、当該ブランドを冠する製品やサービスは顧客の支払意思額を高めている。この場合、そのブランドは企業に対して『持続的な競争優位』をもたらすと評価される。」が当てはまります。

VRIO分析では、企業の経営資源を次の4つの視点から評価します。

V:Value=経済的な価値があるか
R:Rarity=希少であるか
I:Imitability=他社がまねしにくいか
O:Organization=その資源を活用できる組織になっているか

この4つをすべて満たす経営資源は、持続的な競争優位をもたらすと考えます。

選択肢1. 業界トップのブランド力を有し、他社がそれを模倣するのは極めて困難である。また、その利用体制も組織的に整備されており、当該ブランドを冠する製品やサービスは顧客の支払意思額を高めている。この場合、そのブランドは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。

適切です。

このブランドは、顧客がより高い金額を支払ってもよいと考えるため、経済的な価値があります。

また、業界トップのブランド力を持つため希少性があり、他社による模倣も極めて困難です。

さらに、そのブランドを活用するための組織的な体制も整っています。

つまり、

価値がある
希少である
模倣しにくい
組織的に活用できる

というVRIOの4条件を満たしているため、持続的な競争優位につながります。

選択肢2. 現時点でそのノウハウの商業的な利用機会は見いだせず、将来においても経済的な価値創出を期待することができない。しかし、長年の試行錯誤や人間関係によって築かれ、組織的な活用体制も整えられており、他社による模倣が事実上困難なノウハウである。この場合、そのノウハウは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。

不適切です。

このノウハウは他社がまねしにくく、組織的な活用体制もあります。

しかし、最も基本となる経済的な価値がありません。

VRIO分析では、いくら希少で模倣しにくい資源でも、顧客への価値提供や収益の増加、費用の削減などに役立たなければ、競争優位の源泉にはなりません。

したがって、持続的な競争優位をもたらすとは評価できません。

選択肢3. 顧客に提供する価値の源泉となっており、現時点では他社が保有していない希少な技術である。組織的な活用体制も構築されている。しかし、近い将来に、代替手段が低コストで利用可能となる見込みが高い。この場合、その技術は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。

不適切です。

この技術には価値があり、現在は希少で、組織的にも活用されています。

ただし、近い将来に低コストの代替手段が利用できるのであれば、他社がこの技術そのものを持っていなくても、同じような効果を得られる可能性があります。

そのため、長期にわたって他社との差を保つことは難しくなります。

しかし、現在の時点で価値があり希少な資源なので、直ちに「競争劣位」となるわけではありません。

持続的ではなく、一時的な競争優位にとどまる可能性があります。

選択肢4. 製品化に不可欠な原材料であり、それを投入することで顧客ニーズを的確に捉え売上向上に寄与している。しかし、他社も同様の原材料を容易に入手し活用している。この場合、その原材料は企業に対して「一時的な競争優位」をもたらすと評価される。

不適切です。

この原材料は売上向上に役立っているため、価値はあります。

しかし、他社も簡単に入手して利用できるため、希少ではありません。

VRIO分析では、価値はあるものの希少でない経営資源は、通常、競争均衡をもたらすと考えます。

つまり、自社にとって必要な資源ではありますが、それだけでは他社より有利にはなりません。

選択肢5. その業界では代表的なサプライヤーから調達可能であり、自社を含む多くの企業が同等の設備を既に導入している。しかし、その設備は当該製品の生産に不可欠であり、組織的な利用体制も整っている。この場合、その設備は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。

不適切です。

この設備は製品の生産に不可欠なので、企業にとって価値があります。

一方、多くの企業が同じような設備を持っているため、希少性はありません。

価値はあるものの希少ではない経営資源は、通常、競争均衡につながります。

他社も同じ設備を持っているため競争優位にはなりませんが、この設備を持っていること自体が競争劣位になるわけでもありません。

まとめ

VRIO分析では、まずその経営資源に価値があるかを確認します。

価値がなければ、希少でまねしにくくても競争優位にはつながりません。

価値はあるが希少でない場合は、競争均衡となります。

価値があり希少でも、他社が容易にまねできる場合は、競争優位が長続きしにくくなります。

そして、

価値がある
希少である
模倣が困難である
組織的に活用できる

という4条件を満たした経営資源は、持続的な競争優位をもたらします。

この問題では、これらをすべて満たしている「業界トップのブランド力」に関する記述が当てはまります。

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