中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問41 (財務・会計 問15)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問41(財務・会計 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

モジリアーニ・ミラー理論を説明している記述として、最も適切なものはどれか。なお、株式市場は完全で、取引コストは存在しないものとし、選択肢における企業価値は負債の価値と自己資本の価値の合計額を意味する。
  • 企業は資金調達において、株式、負債、内部資金の順に資金を調達する。
  • 法人税と債務不履行リスクがともに存在する場合、自己資本比率が高まると企業価値は高くなる。
  • 法人税は存在するが債務不履行リスクが存在しない場合、負債比率が高まると企業価値は高くなる。
  • 法人税も債務不履行リスクも存在しない場合、企業価値は資本構成によって異なる。

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この過去問の解説 (1件)

01

「法人税は存在するが債務不履行リスクが存在しない場合、負債比率が高まると企業価値は高くなる。」が当てはまります。

モジリアーニ・ミラー理論では、法人税がない場合には、負債と自己資本の割合を変えても企業価値は変わらないと考えます。

一方、法人税がある場合には、負債の利息を損金にできるため税負担が軽くなります。この節税効果があるため、債務不履行リスクがなければ、負債を増やすほど企業価値は高くなると考えます。

選択肢1. 企業は資金調達において、株式、負債、内部資金の順に資金を調達する。

不適切です。

これはモジリアーニ・ミラー理論ではなく、ペッキング・オーダー理論に関係する説明です。

しかも、ペッキング・オーダー理論では、一般に、

内部資金
↓
負債
↓
株式

の順で資金調達を行うと考えます。

選択肢では、この順番も逆になっています。

選択肢2. 法人税と債務不履行リスクがともに存在する場合、自己資本比率が高まると企業価値は高くなる。

不適切です。

法人税があると、負債には支払利息による節税効果があります。

一方、負債を増やしすぎると、債務不履行や倒産の可能性が高まり、それに伴う費用も増えます。

そのため、法人税と債務不履行リスクの両方を考える場合、単純に「自己資本比率を高めれば企業価値が高くなる」とはいえません。

負債による節税効果と、財務上の危険が高まることによる費用とのバランスが重要になります。

選択肢3. 法人税は存在するが債務不履行リスクが存在しない場合、負債比率が高まると企業価値は高くなる。

適切です。

法人税がある場合、借入金などの負債に対して支払う利息は、税金を計算するときに費用として差し引くことができます。

そのため、負債を利用すると法人税の負担が軽くなります。

この効果を負債の節税効果(タックス・シールド)といいます。

債務不履行リスクがないと仮定すれば、負債を増やすことによるマイナスの影響を考える必要がないため、負債比率が高まるほど節税効果が大きくなり、企業価値も高くなります。

選択肢4. 法人税も債務不履行リスクも存在しない場合、企業価値は資本構成によって異なる。

不適切です。

モジリアーニ・ミラー理論の基本的な考え方では、法人税などがなく、完全な市場を仮定した場合、企業価値は資本構成に左右されません。

つまり、

負債を多くする
自己資本を多くする

といった違いがあっても、会社全体の事業内容や収益力が同じであれば、企業価値は同じと考えます。

これをモジリアーニ・ミラー理論の重要な考え方である資本構成無関連の命題といいます。

まとめ

モジリアーニ・ミラー理論では、法人税がない場合には、負債と自己資本の割合を変えても企業価値は変わらないと考えます。

一方、法人税があると、負債の支払利息による節税効果が生じます。

そのため、債務不履行リスクがないという条件では、負債比率が高いほど節税効果が大きくなり、企業価値も高くなると考えます。

なお、債務不履行リスクまで考える場合は、負債を増やせば常に企業価値が高くなるわけではなく、節税効果と財務上のリスクとのバランスを考える必要があります。

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