中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問11 (経済学・経済政策 問11)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問11(経済学・経済政策 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、資本市場の自由化に伴う2国間の資本移動の効果を示したものである。生産要素は労働と資本であり、MPKは資本の限界生産物を、rは資本1単位当たりのレンタル価格を表している。当初、Ⅰ国の資本量はOⅠA、Ⅱ国のそれはOⅡAであり、Ⅰ国の資本のレンタル価格はrⅠ、Ⅱ国のそれはrⅡである。また、Ⅰ国の資本の限界生産物はMPKⅠ、Ⅱ国のそれはMPKⅡである。ここで資本が2国間を移動した結果、資本のレンタル価格は等しくなった(r*Ⅰ=r*Ⅱ)。
この図から読み取れる記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の選択肢から選べ。

a  Ⅰ国の国民所得は、資本移動によって減少する。
b  Ⅰ国の資本所有者の資本所得は、資本移動によって減少する。
c  Ⅱ国の国内生産量は、資本移動によって増大する。
d  Ⅱ国の労働者の賃金所得は、資本移動によって増大する。
問題文の画像
  • aとb
  • aとc
  • bとd
  • cとd

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい組み合わせは「cとd」です。

図では、資本移動前のレンタル価格について、Ⅰ国のrⅠよりⅡ国のrⅡのほうが高くなっています。

そのため、資本市場を自由化すると、より高い収益を得ようとして資本はⅠ国からⅡ国へ移動します。資本移動はAからBまで行われ、最終的に両国の資本のレンタル価格がr*で等しくなります。

この結果、Ⅰ国では資本が減り、Ⅱ国では資本が増えます。ただし、Ⅰ国の資本所有者は海外に移した資本からも所得を得るため、「国内生産量」と「国民所得」を区別することが重要です。

したがって、

a:誤
b:誤
c:正
d:正

となります。

選択肢4. cとd

a Ⅰ国の国民所得は、資本移動によって減少する。

誤りです。

資本市場が自由化される前は、

rⅠ<rⅡ

となっています。

つまり、Ⅰ国では資本から得られる収益が低く、Ⅱ国では高い状態です。そのため、Ⅰ国からⅡ国へ資本が移動します。

Ⅰ国内で使われる資本は減るので、Ⅰ国の「国内生産量」は減少します。

しかし、Ⅰ国からⅡ国へ移動した資本はⅠ国の人が所有したままであり、その資本から得られる所得はⅠ国の国民所得に含まれます。

しかも、資本移動後には、もともとのrⅠより高いr*の収益を得られるようになります。

したがって、Ⅰ国の国民所得は減少するのではなく、資本をより生産性の高いⅡ国で使えるようになることで増加します。

 

b Ⅰ国の資本所有者の資本所得は、資本移動によって減少する。

誤りです。

資本移動前、Ⅰ国の資本所有者が受け取る資本1単位当たりの所得はrⅠです。

資本移動後は、両国のレンタル価格がr*となっています。

図では、

r*>rⅠ

です。

Ⅰ国の資本所有者は、国内に残った資本についても、Ⅱ国へ移した資本についても、より高いr*の収益を得ることができます。

そのため、Ⅰ国の資本所有者の資本所得は増加します。

 

c Ⅱ国の国内生産量は、資本移動によって増大する。

正しい記述です。

資本はⅠ国からⅡ国へ移動するため、Ⅱ国内で使われる資本量は増加します。

図では、資本の境目がAからBへ左に移ります。その分だけ、Ⅱ国で利用される資本が増えたことを表しています。

工場の機械や設備などの資本が増えれば、同じ人数の労働者でもより多くのものを生産できるようになります。

そのため、Ⅱ国の国内生産量は増加します。

 

d Ⅱ国の労働者の賃金所得は、資本移動によって増大する。

正しい記述です。

Ⅱ国では、Ⅰ国から資本が流入してきます。

労働者1人当たりが利用できる機械や設備が増えると、労働者の生産性も高くなります。

例えば、同じ人数で働いていても、使える機械が増えれば、より多くのものを生産できるようになります。

労働者の賃金は、基本的に労働者が追加的にどれだけ生産できるかという労働の限界生産力によって決まります。

資本の増加によって労働の限界生産力が高まるため、Ⅱ国の労働者の賃金所得は増加します。

まとめ

この問題では、まず資本がどちらの国へ移動するのかを判断することがポイントです。

資本移動前は、

rⅠ<rⅡ

なので、資本は収益率の低いⅠ国から、収益率の高いⅡ国へ移動します。

その結果、Ⅰ国では国内で使われる資本が減りますが、海外に移した資本から高い収益を得られるため、Ⅰ国の国民所得や資本所有者の所得は減少しません。

一方、Ⅱ国では資本が増えるため、国内生産量が増加します。さらに、労働者が利用できる資本が増えることで労働の生産性が高まり、賃金所得も増加します。

したがって、正しい組み合わせは「cとd」です。

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