中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問9 (経済学・経済政策 問9)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問9(経済学・経済政策 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

完全資本移動かつ小国を想定した場合のマンデル=フレミング・モデル(IS−LM−BP曲線分析)の考え方に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の選択肢から選べ。なお、ここでは縦軸に利子率、横軸にGDPをはかる平面を想定している。

a  国際的な資本移動が利子率に対して完全に弾力的なとき、BP曲線は垂直になる。
b  この国が固定相場制を採用しているとき、拡張的財政政策は、国内利子率の上昇による資本流入を招き、自国通貨高による純輸出の減少をもたらすため、GDPは増加しない。
c  この国が変動相場制を採用しているとき、拡張的金融政策は、国内利子率の低下による資本流出を伴うが、自国通貨安による純輸出の増加をもたらすため、GDPは増加する。
d  閉鎖経済の場合と比べると、IS曲線はより急な形状であるが、LM曲線は同じ形状である。
  • aとb
  • aとd
  • bとc
  • cとd

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい組み合わせは「cとd」です。

この問題では、海外との資本移動を考えるマンデル=フレミング・モデルについて、完全資本移動のときのBP曲線の形、固定相場制と変動相場制での政策効果、開放経済でのIS曲線の特徴を理解することがポイントです。

完全資本移動の小国では、国内利子率が世界の利子率からずれると、大量の資本が流入・流出します。そのため、BP曲線は世界利子率の高さで水平になります。

また、変動相場制では金融政策の効果が大きく、固定相場制では財政政策の効果が大きいことが重要です。

したがって、

a:誤
b:誤
c:正
d:正

となります。

選択肢4. cとd

a 国際的な資本移動が利子率に対して完全に弾力的なとき、BP曲線は垂直になる。

誤りです。

完全資本移動とは、国内と海外の利子率にわずかな差が生じただけでも、資金が国境を越えて大きく移動する状態です。

例えば、国内利子率が世界利子率より高くなれば、より高い利子を求めて海外から資金が流入します。反対に、国内利子率が世界利子率より低くなれば、国内から海外へ資金が流出します。

そのため、完全資本移動の小国では、国内利子率は基本的に世界利子率と同じ水準になります。

したがって、BP曲線は垂直ではなく、世界利子率の高さで水平になります。

 

b この国が固定相場制を採用しているとき、拡張的財政政策は、国内利子率の上昇による資本流入を招き、自国通貨高による純輸出の減少をもたらすため、GDPは増加しない。

誤りです。

固定相場制のもとで政府支出を増やすなどの拡張的財政政策を行うと、IS曲線が右へ移動し、国内利子率には上昇する力が働きます。

国内利子率が世界利子率を上回ると、海外から資金が流入します。すると、自国通貨には値上がりする力が働きます。

しかし、固定相場制では為替レートを一定に保つ必要があります。

そのため中央銀行は、自国通貨が値上がりしないように外国通貨を買い、その代わりに自国通貨を市場へ供給します。この結果、貨幣供給が増え、LM曲線も右へ移動します。

したがって、固定相場制では財政政策の効果が強まり、GDPは増加します。

「自国通貨高によって純輸出が減少し、GDPが増加しない」という部分が誤りです。

 

c この国が変動相場制を採用しているとき、拡張的金融政策は、国内利子率の低下による資本流出を伴うが、自国通貨安による純輸出の増加をもたらすため、GDPは増加する。

正しい記述です。

変動相場制で貨幣供給を増やすと、LM曲線が右へ移動し、国内利子率には低下する力が働きます。

国内利子率が世界利子率より低くなると、より高い利子を求めて資金が海外へ流出します。

資金が海外へ流出すると、自国通貨が売られて外国通貨が買われるため、自国通貨安が進みます。

自国通貨安になると、海外から見た自国の商品が安くなるため輸出が増えやすくなり、反対に輸入は減りやすくなります。

その結果、純輸出が増加してIS曲線も右へ移動し、GDPが増加します。

したがって、完全資本移動のもとでの変動相場制では、金融政策が有効です。

 

d 閉鎖経済の場合と比べると、IS曲線はより急な形状であるが、LM曲線は同じ形状である。

正しい記述です。

閉鎖経済では、海外との輸出や輸入を考えません。

一方、開放経済では、所得が増えると輸入も増えるため、国内で生産されたものに向かう需要の一部が海外へ流れます。

そのため、所得が増えたときの国内需要の増え方が閉鎖経済より小さくなり、IS曲線は閉鎖経済の場合より急になります。

一方、LM曲線は、

・貨幣需要
・貨幣供給
・所得
・利子率

の関係から決まります。

海外との貿易を取り入れたこと自体によって、この貨幣市場の基本的な関係が変わるわけではありません。

したがって、LM曲線の形状は閉鎖経済の場合と同じです。

まとめ

完全資本移動の小国を考えるマンデル=フレミング・モデルでは、次の点が重要です。

完全資本移動の場合、国内利子率は世界利子率と同じ水準になるため、BP曲線は水平です。したがって、aは誤りです。

固定相場制では、中央銀行が為替レートを維持するために貨幣供給を調整するので、拡張的財政政策によってGDPは増加します。したがって、bは誤りです。

変動相場制で拡張的金融政策を行うと、資本流出によって自国通貨安となり、純輸出が増えるため、GDPが増加します。したがって、cは正しい記述です。

また、開放経済では所得の増加に伴って輸入も増えるため、IS曲線は閉鎖経済の場合より急になりますが、LM曲線の形状は変わりません。したがって、dも正しい記述です。

以上から、正しい組み合わせは「cとd」です。

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