中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問156 (経営法務 問20)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問156(経営法務 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

民法が定める請負に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、特約はないものとする。
  • 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。
  • 請負人が品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡した場合において、注文者が目的物の引渡しから1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として損害賠償の請求をすることができない。
  • 注文者が破産手続開始の決定を受けた場合、請負人は、仕事の完成後であっても、契約を解除することができる。
  • 物の引渡しを要する請負契約において、仕事の完成と報酬の支払は同時履行の関係に立つ。

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この過去問の解説 (1件)

01

民法の「請負」からの出題です。

選択肢1. 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。

正解です。

民法第641条に「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」との規定があり、選択肢はほぼそのままの文章です。

選択肢2. 請負人が品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡した場合において、注文者が目的物の引渡しから1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として損害賠償の請求をすることができない。

誤りです。

民法第637条第1項に、

注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。」

との規定はありますが、同第2項に、

「前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。」

との規定があります。

選択肢の場合、「仕事の目的物を注文者に引き渡した時」なので、1年以内という制限は適用されません

選択肢3. 注文者が破産手続開始の決定を受けた場合、請負人は、仕事の完成後であっても、契約を解除することができる。

誤りです。

民法第641条に「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」との規定がありますが、

選択肢の場合は仕事を完成してしまっているので、契約を解除することはできません。

仕事完成後なのに契約を解除されてしまっては、請負人にとって酷ですからね。

選択肢4. 物の引渡しを要する請負契約において、仕事の完成と報酬の支払は同時履行の関係に立つ。

誤りです。

民法第633条に、「報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。」との規定があります。

なので、一見正解に見えますが、「物の引渡しを要する請負契約において」と限定している点について、条文ではそこまで規定していません。

そして、他の選択肢で、条文そのままの規定があります。

これらを踏まえると、相対的にこちらのほうが誤りといえます。

まとめ

紛らわしい選択肢がありましたが、中小企業診断士の試験では、一見正答になるものが2つある場合、相対的にどちらのほうが適切か、という視点も重要になります。

なので、正解と思うような選択肢があったとしても、そこで他の選択肢の検討をやめず、すべての選択肢に目をとおすようにしてください。

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