中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問148 (経営法務 問12)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問148(経営法務 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

以下の会話は、ワインメーカーであるX株式会社の社員甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄( A )と( B )に入る記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

甲氏:「弊社ワインの容器の形状は独特です。これを保護したいのですが、立体商標として登録できますか。」
あなた:「平面商標と同様に、立体商標も登録要件の1つとして識別力があります。商品の形状(包装の形状を含む)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は原則、登録が認められません。したがって、商品の容器の形状自体を立体商標として登録するのは、難しいと聞いたことがあります。」
甲氏:「しかしながら、弊社の容器は長年使用されていて、ご好評をいただいているのですが。」
あなた:「そうですか。( A )と認められれば、商標登録が認められることがあります。弁理士さんを紹介しますので、その方にご相談になってください。」
甲氏:「ありがとうございます。ところで、立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできますか。」
あなた:「( B )。」
  • A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません
  • A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:はい。所定期間内であれば、立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することができます
  • A:容器の形状が視覚を通じて美感を起こさせるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません
  • A:容器の形状が視覚を通じて美感を起こさせるもの  B:はい。所定期間内であれば、立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することができます

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、知的財産権における「立体商標の登録要件(使用による識別力)」と「出願の変更(商標から意匠への変更可否)」に関する知識を問うものです。


立体商標と出願変更のルール

 

1. 空欄A:立体商標の登録要件(使用による識別力の獲得)

商品の容器や形状(ボトルなど)は、本来、商品の機能を果たしたり美観を高めたりするためのものであり、「誰の商品か」を区別する目印(商標)としての機能(自他商品識別力)は弱いとされます。そのため、原則として登録されません。

しかし、長年使用された結果、「あの形といえば、あの会社の商品だ」と消費者に広く知れ渡った場合(例:ヤクルトの容器、コカ・コーラの瓶、カーネル・サンダース人形など)には、例外的に登録が認められます。これを「使用による識別力の獲得」といいます。 したがって、Aには「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できる(=有名になって区別がつく)」という趣旨の記述が入ります。

「視覚を通じて美感を起こさせる」というのは「意匠法」における意匠の定義であり、商標登録の要件ではありません。

 

2. 空欄B:出願の変更(コンバージョン)

特許、実用新案、意匠の間では、出願形式を途中で変更すること(出願の変更)が認められています(例:特許出願→意匠登録出願への変更など)。 しかし、「商標登録出願」を「意匠登録出願」に変更する制度は存在しません。 商標(信用の保護)と意匠(デザインの保護)は制度の趣旨が大きく異なるため、日本の法律ではこの間の変更は認められていません。


 

選択肢1. A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません

正解です

 

Aの記述(正): 「使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの」というのは、商標法第3条第2項の規定そのものであり、適切です。

Bの記述(正): 立体商標の出願を意匠登録出願に変更することは制度上できないため、「変更することはできません」という回答は適切です。

選択肢2. A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:はい。所定期間内であれば、立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することができます

誤り

 

Aの記述(正): 正しいです。

Bの記述(誤): 「変更することができます」としている点が誤りです。商標出願から意匠出願への変更は認められていません。

選択肢3. A:容器の形状が視覚を通じて美感を起こさせるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません

誤り

 

Aの記述(誤): 「視覚を通じて美感を起こさせるもの」意匠法の保護対象(意匠)の定義です。商標登録においては「識別力(どこの商品かわかること)」が問われるため、美感は直接の要件ではありません。

Bの記述(正): 正しいです。

選択肢4. A:容器の形状が視覚を通じて美感を起こさせるもの  B:はい。所定期間内であれば、立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することができます

誤り

 

Aの記述(誤): 「視覚を通じて美感を起こさせるもの」意匠法の保護対象(意匠)の定義です。商標登録においては「識別力(どこの商品かわかること)」が問われるため、美感は直接の要件ではありません。

Bの記述(誤): 「変更することができます」としている点が誤りです。商標出願から意匠出願への変更は認められていません。

まとめ

A(登録要件): 形状の商標は、原則登録NGだが、長年の使用で「需要者に広く認識された(有名になった)」場合は登録OK(例外)。

B(出願変更): 商標出願 ⇔ 意匠出願 の変更ルートは存在しない。

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02

本問も、経営法務特有の会話形式の問題です。本問では立体商標の知識が問われていますが、空欄の直前の文章だけを読めば対応できます。

 

・空欄A

商標登録が認められるためには、X株式会社の容器が「需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できる」ことが必要になります。

 

※需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できることを、「自他商品役務識別力」といいます。

 

※もう1つの組み合わせ候補である「容器の形状が視覚を通じて美感を起こさせるもの」という記述から意匠権であると容易に判断できるため、2択までは簡単に絞り込むことができます。

 

・空欄B

立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更

商標権→意匠権のように、異なる産業財産権への変更はできません

選択肢1. A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません

冒頭の解説より、「A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません」の組み合わせが適切であるため正解の選択肢となります。

選択肢2. A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:はい。所定期間内であれば、立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することができます

冒頭の解説より、「B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. A:容器の形状が視覚を通じて美感を起こさせるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません

冒頭の解説より、「A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの」であるため不適切な選択肢となります。

選択肢4. A:容器の形状が視覚を通じて美感を起こさせるもの  B:はい。所定期間内であれば、立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することができます

冒頭の解説より、「A:使用された結果、需要者が何人(なんぴと)かの業務に係る商品であることを認識できるもの  B:いいえ。立体商標の商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできません」の組み合わせが適切であるため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

立体商標は、令和6年度にも出題されています。(第13問)

 

令和6年度の問題では立体商標についてやや詳細に問われていますが、難易度は高くありません。(すぐに選択肢を1つに絞り込むことができます)

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