中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問145 (経営法務 問9)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問145(経営法務 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

特許法第35条に規定する職務発明に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問における「使用者等」とは、使用者、法人、国又は地方公共団体を指し、「従業者等」とは、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員をいう。
  • 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ、使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効である。
  • 使用者等は、従業者等が職務発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有するが、この通常実施権は、その発生後にその特許権を取得した者に対しては、その効力を有しない。
  • 使用者等は、従業者等が職務発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有するが、この通常実施権は、登録しなければ、その効力を生じない。
  • 職務発明は、従業者等の発明であって、その性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在の職務に属する発明を指すので、同一企業内であっても、従業者等の過去の職務に属する発明は、職務発明と認められる場合はない。

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この過去問の解説 (2件)

01

本問は知的財産権の中でも頻出テーマである特許法「職務発明」に関する問題です。

職務発明は、会社と従業員の利益がぶつかる場所であるため、法律で詳細なバランス調整が行われています。
 

特許法「職務発明」の必須知識

職務発明を理解するためには、まず「誰の発明か」を分類する定義を整理する必要があります。

 

職務発明の3要件

性質: 発明が会社の「業務範囲」に属すること。

経緯: 発明をするに至った行為が、従業員の「現在または過去の職務」に属すること。

主体: 従業員等が行った発明であること。

 

他にも以下の知識が本問を解くために必要です。

法定通常実施権: 職務発明が成立した場合、会社(使用者)は、特許権が誰にあろうとも、その発明をタダで使う権利(通常実施権)を法律上当然に得ます。

特許を受ける権利の帰属: かつては「常に従業員」でしたが、法改正により、あらかじめ契約や就業規則で定めておけば「最初から会社のもの」とすることが可能になりました。

選択肢1. 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ、使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効である。

正解です

 

会社は、職務発明については「会社のものにする」とあらかじめ決めておくことができますが、職務に関係ない「私的な発明(自由発明)」まで会社のものにすると決めることは、従業員に不当な不利益を与えるため禁止(無効)されています。

「職務発明を除き、あらかじめ取得させる条項は無効」という、原則と例外の書き方が正しい内容になっています。

選択肢2. 使用者等は、従業者等が職務発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有するが、この通常実施権は、その発生後にその特許権を取得した者に対しては、その効力を有しない。

誤り

 

会社が持つ「法定通常実施権」は、後から特許権を買い取った第三者に対しても、そのまま効力を発揮(対抗)できます。

 

選択肢3. 使用者等は、従業者等が職務発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有するが、この通常実施権は、登録しなければ、その効力を生じない。

誤り

 

以前は登録が必要でしたが、法改正により「登録しなくても」第三者に対抗できるようになりました(当然対抗制度)

知財の実務において、すべての通常実施権を登録するのは煩雑すぎるため、登録不要で効力を生じるようになっています。

選択肢4. 職務発明は、従業者等の発明であって、その性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在の職務に属する発明を指すので、同一企業内であっても、従業者等の過去の職務に属する発明は、職務発明と認められる場合はない。

誤り

 

3要件のひとつに「その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する」とあり職務発明と認められます。

例えば「昨日まで開発部にいた人が、今日から総務部に異動して、昨日の研究成果を整理して発明を完成させた」という場合も、それは「過去の職務」として職務発明に含まれます。

まとめ

2026年度試験対策のアドバイス

 

職務発明のルール比較まとめ

項目職務発明(仕事の発明)自由発明(趣味の発明)
会社が使う権利法定通常実施権あり(登録不要)なし
会社が権利を取る約束有効(あらかじめ決められる)無効(禁止されている)
対価の請求相当の利益(金銭等)を請求できる関係なし

「相当の利益」について補足

 以前は「相当の対価(現金)」に限定されていましたが、現在は「留学の機会」や「ストックオプション」など、現金以外(相当の利益)でも認められるようになっています。今後の本試験ではこの「利益」の中身が事例として問われる可能性があります。

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02

職務発明に関する問題です。

選択肢1. 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ、使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効である。

本問は、職務発明の定義そのものであり正解の選択肢となります。

選択肢2. 使用者等は、従業者等が職務発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有するが、この通常実施権は、その発生後にその特許権を取得した者に対しては、その効力を有しない。

通常実施権は「その発生後にその特許権を取得した者に対しても、その効力を有する」という規定があるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. 使用者等は、従業者等が職務発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有するが、この通常実施権は、登録しなければ、その効力を生じない。

職務発明には、本選択肢で述べられている通常実施権の他に「専用実施権」があります。

 

専用実施権は、登録しなければその効力を生じないため不適切な選択肢となります。

選択肢4. 職務発明は、従業者等の発明であって、その性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在の職務に属する発明を指すので、同一企業内であっても、従業者等の過去の職務に属する発明は、職務発明と認められる場合はない。

従業者等の過去の職務に属する発明が職務発明と認められる場合があるため、不適切な選択肢となります。

 

※本選択肢は「認められる場合はない」という100%断定的な表現に違和感を感じて、選択肢から除外できれば十分です。

まとめ

【補足】

 

職務発明は頻出論点であり、直近では令和6年度第17問で出題されています。

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