中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問143 (経営法務 問7)
問題文
甲氏:「最近、親事業者からの発注で、納品後の支払いが遅いことが気になっています。先日も、当月納入分を翌月納入分として扱って欲しいとの依頼があったため、やむを得ずこれに応じることとしました。」
あなた:「下請法では、親事業者は納品物を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に下請代金を支払う義務があるとされていますね。」
甲氏:「実際の納品日から計算してみると、当月納入分が翌月納入分とされてしまったので、支払日までは60日以上が経過していました。」
あなた:「この場合、( A )。」
甲氏:「なるほど。ところで、労務費や原材料費が上昇しているのに、値上げ交渉に応じてもらえません。」
あなた:「下請法では、親事業者が下請事業者に対して不当に不利な条件を押し付けることを禁止しています。値上げ交渉を一方的に拒否する行為は、禁止事項に該当する可能性がありますね。」
甲氏:「先日まで原価コストが上昇していることを説明して値上げを求めてかなり交渉したのですが、親事業者側にはまったく応じてもらえず、今年は現行の取引価格で据え置くことを渋々受け入れました。特にその理由を書面や電子メールなどでは説明してもらってはいません。」
あなた:「そうですか。( B )。」
甲氏:「こうした問題は、どこに相談すればよいでしょうか。」
あなた:「弁護士さんに相談に乗ってもらえると思います。」
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問題
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問143(経営法務 問7) (訂正依頼・報告はこちら)
甲氏:「最近、親事業者からの発注で、納品後の支払いが遅いことが気になっています。先日も、当月納入分を翌月納入分として扱って欲しいとの依頼があったため、やむを得ずこれに応じることとしました。」
あなた:「下請法では、親事業者は納品物を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に下請代金を支払う義務があるとされていますね。」
甲氏:「実際の納品日から計算してみると、当月納入分が翌月納入分とされてしまったので、支払日までは60日以上が経過していました。」
あなた:「この場合、( A )。」
甲氏:「なるほど。ところで、労務費や原材料費が上昇しているのに、値上げ交渉に応じてもらえません。」
あなた:「下請法では、親事業者が下請事業者に対して不当に不利な条件を押し付けることを禁止しています。値上げ交渉を一方的に拒否する行為は、禁止事項に該当する可能性がありますね。」
甲氏:「先日まで原価コストが上昇していることを説明して値上げを求めてかなり交渉したのですが、親事業者側にはまったく応じてもらえず、今年は現行の取引価格で据え置くことを渋々受け入れました。特にその理由を書面や電子メールなどでは説明してもらってはいません。」
あなた:「そうですか。( B )。」
甲氏:「こうした問題は、どこに相談すればよいでしょうか。」
あなた:「弁護士さんに相談に乗ってもらえると思います。」
- A:下請代金を60日以内に支払わないことを両者間で合意しているので、下請法上の問題にはならないと考えられます B:親事業者の販売製品に価格転嫁しない理由を書面や電子メールなどで下請事業者に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くことは、買いたたきに該当し、下請法上の問題になる可能性があります
- A:下請代金を60日以内に支払わないことを両者間で合意しているので、下請法上の問題にはならないと考えられます B:今回、御社も合意されたということであれば、下請法上の問題にはならないと考えられます
- A:下請代金を60日以内に支払わないことを両者間で合意している場合であっても、下請法上の問題になります B:親事業者の販売製品に価格転嫁しない理由を書面や電子メールなどで下請事業者に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くことは、買いたたきに該当し、下請法上の問題になる可能性があります
- A:下請代金を60日以内に支払わないことを両者間で合意している場合であっても、下請法上の問題になります B:今回、御社も合意されたということであれば、下請法上の問題にはならないと考えられます
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この過去問の解説 (2件)
01
本問も、経営法務特有の会話形式の問題です。本問では下請法(下請代金支払遅延等防止法)の知識が問われていますが、空欄の直前の文章だけを読めば対応できます。
会話全体では「やむを得ず応じた」「取引価格の据え置きを渋々受け入れた」という表現が見られますが、中小企業の立場は弱く、中小企業側が価格転嫁を要望しても聞き入れてもらえないのに、親事業者側からは一方的に条件を提示されて受け容れざるを得ないのが現状です。
それらの事情を勘案すれば、
空欄A:支払日まで60日以上が経過していたことは(両社間で合意していたとしても)下請法上の問題になります。
空欄B:値上げ要請に親事業者側が全く応じない、その理由を書面や電子メールなどで説明していないことは、買いたたきに該当します。
余談ですが、中小企業診断士が「弁護士さんに相談に乗ってもらえると思います」と回答していますが、下請法に関する相談は公正取引委員会と中小企業庁(下請かけこみ寺)が対応しています。オンラインでの相談も可能です。
弁護士へ相談すると中小企業側の費用負担が大きくなるため、中小企業診断士の実務上の対応としては親切ではないように感じられます。(今回はより適切な対応方法があり、弁護士へ相談すべきではないという意味ではありません)
冒頭の解説より、A:下請法上の問題になるため不適切な選択肢となります。
冒頭の解説より、A:下請法上の問題になる B:買いたたきに該当し、下請法上の問題になる可能性があるため不適切な選択肢となります。
冒頭の解説より、A:下請法上の問題になる B:買いたたきに該当し、下請法上の問題になる可能性があるため正解の選択肢となります。
冒頭の解説より、B:買いたたきに該当し、下請法上の問題になる可能性があるため不適切な選択肢となります。
【補足】
下請法については、2026年1月1日に下請法の改正法が施行され、法律名の変更とともに適用範囲も大きく拡大されました。
(出所:公正取引委員会「2026年1月から下請法は取適法へ!」)https://www.jftc.go.jp/file/toriteki_leaflet.pdf
そのため、令和8年度の経営法務を受験する場合は取適法の出題がある前提で学習してください。(下請法は改正されたため今後は出題されませんので、注意してください)
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02
下請法(下請代金支払遅延等防止法)」に関する問題です。
この問題は、下請法が「強行法規(当事者の合意よりも法律が優先される)」であることを理解しているか、そして近年の重要テーマである「価格転嫁(買いたたき)」の基準を知っているかを問っています。
この問題を解くための必須知識
下請法を攻略するためのポイントは以下の3点です。
「合意」は免罪符にならない: 親事業者が優越的な立場を利用して「承諾させた」としても、法律に違反していれば即アウトです。「両者の合意があるからOK」という選択肢は、下請法ではほぼ間違い(誤り)になります。
60日ルール(支払義務): 商品を受け取った日から数えて、「60日以内」かつ「できる限り短い期間内」に代金を支払わなければなりません。
「買いたたき」の厳格化: 労務費や原材料費が上がっているのに、十分な協議をせず、理由も示さずに価格を据え置くことは、禁止事項である「買いたたき」に該当します。
誤り
Aが「問題にならない」としているため、誤りです。
誤り
A・Bともに「問題にならない」としているため、誤りです。
正解です
A「合意していても問題になる」
B「買いたたきとして問題になる可能性がある」。
これが正解です。
誤り
Bが「合意したなら問題にならない」としているため、誤りです。
2026年1月1日から「下請法」は新たに「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に改正・名称変更され「取適法(中小受託取引適正化法)」の略称で施行済です。2026年度本試験時には新法が施行されてから一定期間が経過しているため、「実務上の運用事例」を踏まえた、より踏み込んだ問題が出ることが予想されます。主な学習のポイントを挙げておきます。
定義と改正の目的
下請法(旧法)の定義
資本金の規模に格差がある事業者間の取引において、親事業者の優越的地位の濫用を防ぐための法律です。主に「製造・修理・情報成果物・役務提供」の4つの取引を対象としていました。
取適法(新法:中小受託取引適正化法)の定義
2026年1月より、下請法が名称変更・改正されたものです。従来の規制に加え、「物価高騰に伴う適正な価格転嫁」と「賃上げの原資確保」をより強力に後押しすることを目的としています。
下請法と取適法の決定的な違い(比較表)
試験で狙われる変更ポイントを中心に整理しました。
各変更点の詳細と「なぜそうなったか」を理解しておくと対応しやすいです。
① 対象範囲の拡大(従業員数基準の追加)
これまでは資本金が少なくても従業員が多い「中堅企業」などが規制の網から漏れることがありました。従業員数という実態に即した基準を加えることで、より広い範囲で中小事業者を守る仕組みになりました。
② 第5の取引「特定運送委託」の追加
物流業界の多重下請け構造や「2024年問題」に対応するためです。これまで曖昧だった運送関連の委託を明確に法律の対象(5種類目)に位置づけ、不当な待機時間の強要や低すぎる運賃設定を厳しく規制します。
③ 価格転嫁の協議義務化
原材料費やエネルギー価格が上がっても、親事業者が「うちは関係ない」と話し合いを拒否するケースが絶えませんでした。取適法では、「協議の場につかないこと」自体が禁止事項に含まれ、適正な価格改定を促す仕組みになりました。
④ 手形払いの原則禁止
手形は現金化までに数ヶ月かかるため、中小企業の資金繰りを圧迫します。政府の「手形廃止」の方針を法的に後押しし、原則として現金による迅速な支払いを徹底させる狙いです。
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