中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問142 (経営法務 問6(2))
問題文
甲氏:「先日ご相談した弊社のA事業部門の件ですが、Y社の社長から具体的に買収をしたいとの意向を伝えられました。Y社の拡大戦略において、A事業は重要なピースになると評価しているそうです。弊社としても、条件が合うのであれば、ぜひともこの話は進めたいと思っています。」
あなた:「よかったですね。どのような方法で譲渡するか、もう話をしているのですか。」
甲氏:「はい。Y社の社長からは、A事業部門を独立させた法人としてY社の子会社とする構想があるそうで、まずはY社本体で事業を譲り受けるか、それとも弊社側で会社分割により新会社を設立してその新会社の株式を譲り受けるか、どちらかの方法を検討しているとのことです。」
あなた:「いずれの方法でも、事業部門を譲渡する目的は達成できそうですね。」
甲氏:「A事業部門では、古くからの取引先との契約がかなりあり、これらを移転させないといけないのですが、会社分割と事業譲渡とでは、契約関係の移転について効力にどのような違いがあるのでしょうか。弊社もY社も特別法の適用があるような事業は営んでいません。」
あなた:「( A )。」
甲氏:「なるほど。債権者保護手続のことも気になっているのですが、両者に違いはあるのでしょうか。会社分割の方法による場合、新会社で免責的債務引受をしてもらって、弊社には債務を残さない予定にしています。」
あなた:「( B )。」
甲氏:「そうなんですね。ところで、この話を進めるにあたってもう1つ頭が痛いことがあります。実は、弊社の大株主の1人が、もともとA事業部門の出身で、A事業部門の売却という話になると、かなり抵抗するのではないかと思います。」
あなた:「将来のことを考えて、納得してくれればよいのですけどね。」
甲氏:「前々から株式を買い取って欲しいということも伝えられています。会社分割と事業譲渡で、株主の株式買取請求権について違いはあるのでしょうか。資産規模からすると、簡易手続を利用することはできない見込みです。」
あなた:「( C )」
甲氏:「ご説明ありがとうございます。よく分かりました。」
あなた:「具体的に検討を進めるため、弁護士さんや税理士さんに相談してみましょう。」
会話の中の空欄( C )に入る記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問142(経営法務 問6(2)) (訂正依頼・報告はこちら)
甲氏:「先日ご相談した弊社のA事業部門の件ですが、Y社の社長から具体的に買収をしたいとの意向を伝えられました。Y社の拡大戦略において、A事業は重要なピースになると評価しているそうです。弊社としても、条件が合うのであれば、ぜひともこの話は進めたいと思っています。」
あなた:「よかったですね。どのような方法で譲渡するか、もう話をしているのですか。」
甲氏:「はい。Y社の社長からは、A事業部門を独立させた法人としてY社の子会社とする構想があるそうで、まずはY社本体で事業を譲り受けるか、それとも弊社側で会社分割により新会社を設立してその新会社の株式を譲り受けるか、どちらかの方法を検討しているとのことです。」
あなた:「いずれの方法でも、事業部門を譲渡する目的は達成できそうですね。」
甲氏:「A事業部門では、古くからの取引先との契約がかなりあり、これらを移転させないといけないのですが、会社分割と事業譲渡とでは、契約関係の移転について効力にどのような違いがあるのでしょうか。弊社もY社も特別法の適用があるような事業は営んでいません。」
あなた:「( A )。」
甲氏:「なるほど。債権者保護手続のことも気になっているのですが、両者に違いはあるのでしょうか。会社分割の方法による場合、新会社で免責的債務引受をしてもらって、弊社には債務を残さない予定にしています。」
あなた:「( B )。」
甲氏:「そうなんですね。ところで、この話を進めるにあたってもう1つ頭が痛いことがあります。実は、弊社の大株主の1人が、もともとA事業部門の出身で、A事業部門の売却という話になると、かなり抵抗するのではないかと思います。」
あなた:「将来のことを考えて、納得してくれればよいのですけどね。」
甲氏:「前々から株式を買い取って欲しいということも伝えられています。会社分割と事業譲渡で、株主の株式買取請求権について違いはあるのでしょうか。資産規模からすると、簡易手続を利用することはできない見込みです。」
あなた:「( C )」
甲氏:「ご説明ありがとうございます。よく分かりました。」
あなた:「具体的に検討を進めるため、弁護士さんや税理士さんに相談してみましょう。」
会話の中の空欄( C )に入る記述として、最も適切なものはどれか。
- 会社分割においては反対株主の株式買取請求権が認められていますが、事業譲渡においては反対株主の株式買取請求権は認められていません
- 会社分割においては反対株主の株式買取請求権が認められていませんが、事業譲渡においては反対株主の株式買取請求権は認められています
- 会社分割においても事業譲渡においても、反対株主の株式買取請求権が認められています
- 会社分割においても事業譲渡においても、反対株主の株式買取請求権が認められていません
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この過去問の解説 (2件)
01
前問に引き続き、経営法務特有の会話形式の問題です。非常に情報量が多いですが、会話の内容を全て読まなければ対応できないわけではありません。本問でも空欄Cの直前にある株式買取請求権が問われているので、その部分だけを読めば対応できます。
株式買取請求権とは、会社の決定に対して反対する株主が「御社の株主を辞めるので、株式を買い取ってください」と請求することです。
本問では会社分割と事業譲渡が対象になっていますが、会社分割以外にも合併・株式の交換移転などの組織再編、事業譲渡以外にも逆に事業を譲り受ける場合など、株式買取請求権は広く認められています。
以上から、会社分割においても事業譲渡においても、反対株主の株式買取請求権が認められています。
冒頭の解説より、事業譲渡においても反対株主の株式買取請求権が認められているため不適切な選択肢となります。
冒頭の解説より、会社分割においても反対株主の株式買取請求権が認められているため不適切な選択肢となります。
冒頭の解説より、会社分割においても事業譲渡においても、反対株主の株式買取請求権が認められているため正解の選択肢となります。
冒頭の解説より、会社分割においても事業譲渡においても、反対株主の株式買取請求権が認められているため不適切な選択肢となります。
【補足】
株式買取請求権を行使するためには、株主総会が開催される前にあらかじめ反対通知を行ない、株主総会で反対票を投じるという手順を踏むことにより意思表示をする必要があります。
また、株式買取請求権が認められないパターンが昨年出題されています(令和6年度第7問設問2)ので、押さえておいてください。
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02
この問題は、M&Aや組織再編を行う際に、その方針に反対する株主を保護するための制度である「反対株主の株式買取請求権」が、会社分割と事業譲渡のそれぞれにおいて認められるかどうかを問うものです。
反対株主の株式買取請求権とは
「反対株主の株式買取請求権」とは、会社の基礎的変更(合併、会社分割、重要な事業譲渡など)が行われる際、その決定に反対する株主が、会社に対して「自分の持っている株を公正な価格で買い取ってくれ」と請求できる権利のことです。
この権利が発生するかどうかの判断基準は、原則として「株主総会の特別決議が必要なレベルの重要な行為かどうか」です。
●会社分割の場合
原則として株主総会の特別決議が必要です。したがって、反対株主には株式買取請求権が認められます。
※例外:簡易分割(規模が小さい)などの場合は認められないことがありますが、問題文に「資産規模からすると、簡易手続を利用することはできない見込み」と明記されているため、原則通り権利が発生します。
●事業譲渡の場合
事業の「全部」または「重要な一部」を譲渡する場合、株主総会の特別決議が必要です。したがって、反対株主には株式買取請求権が認められます。
※例外:譲渡資産が総資産の5分の1以下(簡易事業譲渡)であれば不要ですが、会社分割同様、本問の前提(簡易手続不可の規模)では、権利が発生します。
誤り
「会社分割においては認められている」という点は正しいですが、「事業譲渡においては認められていない」という点が誤りです。
事業譲渡であっても、株主総会の特別決議を要するような重要な事業譲渡(本問のケース)であれば、反対株主の株式買取請求権は認められます。
誤り
「会社分割においては認められていない」という点が誤りです。
簡易分割などの例外を除き、会社分割には株式買取請求権が認められます。
正解です
問題文の条件(簡易手続が利用できない規模=重要な案件)においては、会社分割であっても事業譲渡であっても、実行には株主総会の特別決議が必要です。
株主総会の決議が必要な組織再編行為や事業譲渡等においては、少数株主の投下資本回収を保障するため、反対株主の株式買取請求権が両方のケースで認められます。
誤り
反対株主の株式買取請求権が発生するかどうかの判断基準は、原則として「株主総会の特別決議が必要なレベルの重要な行為かどうか」です。
会社分割の場合、原則として株主総会の特別決議が必要です。したがって、反対株主には株式買取請求権が認められます。
事業譲渡の場合も事業の「全部」または「重要な一部」を譲渡する場合、株主総会の特別決議が必要です。したがって、反対株主には株式買取請求権が認められます。
両方とも認められていないとしている点が誤りです。
会話文にある「簡易手続を利用することはできない見込み」という一文を正しく認識できたが最大のポイントです。
これは「会社にとって影響の大きい(重要な)取引である」ことを意味します。
重要な「会社分割」 → 株主総会決議が必要 → 買取請求権あり
重要な「事業譲渡」 → 株主総会決議が必要 → 買取請求権あり
したがって、「会社分割、事業譲渡のいずれの方法をとったとしても、反対する株主(A事業部門出身の大株主)から株式の買取を請求される可能性がある」という結論になります。
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