中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問141 (経営法務 問6(1))

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問141(経営法務 問6(1)) (訂正依頼・報告はこちら)

以下の会話は、X株式会社の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話に基づき、下記の設問に答えよ。

甲氏:「先日ご相談した弊社のA事業部門の件ですが、Y社の社長から具体的に買収をしたいとの意向を伝えられました。Y社の拡大戦略において、A事業は重要なピースになると評価しているそうです。弊社としても、条件が合うのであれば、ぜひともこの話は進めたいと思っています。」
あなた:「よかったですね。どのような方法で譲渡するか、もう話をしているのですか。」
甲氏:「はい。Y社の社長からは、A事業部門を独立させた法人としてY社の子会社とする構想があるそうで、まずはY社本体で事業を譲り受けるか、それとも弊社側で会社分割により新会社を設立してその新会社の株式を譲り受けるか、どちらかの方法を検討しているとのことです。」
あなた:「いずれの方法でも、事業部門を譲渡する目的は達成できそうですね。」
甲氏:「A事業部門では、古くからの取引先との契約がかなりあり、これらを移転させないといけないのですが、会社分割と事業譲渡とでは、契約関係の移転について効力にどのような違いがあるのでしょうか。弊社もY社も特別法の適用があるような事業は営んでいません。」
あなた:「( A )。」
甲氏:「なるほど。債権者保護手続のことも気になっているのですが、両者に違いはあるのでしょうか。会社分割の方法による場合、新会社で免責的債務引受をしてもらって、弊社には債務を残さない予定にしています。」
あなた:「( B )。」
甲氏:「そうなんですね。ところで、この話を進めるにあたってもう1つ頭が痛いことがあります。実は、弊社の大株主の1人が、もともとA事業部門の出身で、A事業部門の売却という話になると、かなり抵抗するのではないかと思います。」
あなた:「将来のことを考えて、納得してくれればよいのですけどね。」
甲氏:「前々から株式を買い取って欲しいということも伝えられています。会社分割と事業譲渡で、株主の株式買取請求権について違いはあるのでしょうか。資産規模からすると、簡易手続を利用することはできない見込みです。」
あなた:「( C )」
甲氏:「ご説明ありがとうございます。よく分かりました。」
あなた:「具体的に検討を進めるため、弁護士さんや税理士さんに相談してみましょう。」

会話の中の空欄( A )と( B )に入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
  • A:会社分割の場合は、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますが、事業譲渡の場合には、そのような効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があります  B:会社分割の場合は債権者保護手続が必要となりますが、事業譲渡の場合は債権者保護手続は必要ありません。ただし、個別に債権者の同意を得る必要があります
  • A:会社分割の場合は、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますが、事業譲渡の場合には、そのような効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があります  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続が必要となります
  • A:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますので、個別に契約の相手方の同意を得る必要はありません  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続が必要となります
  • A:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますので、個別に契約の相手方の同意を得る必要はありません  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続は必要ありません

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この過去問の解説 (2件)

01

会社分割と事業譲渡の違い(空欄A)および債権者保護手続(空欄B)の知識を問う問題です。

 

本問は経営法務特有の会話形式の問題となっており非常に情報量が多いですが、会話の内容を全て読まなければ対応できないわけではありません。(空欄の直前の文章だけを読めば対応できます)

 

・会社分割と事業譲渡の違い(空欄A)

会社分割:会社が持つ権利義務の全部または一部を別の会社に引き継がせる「吸収分割」や、新たに設立する会社に引き継がせる「新設分割」があります。事業譲渡と異なり、契約や負債なども含めて包括的に承継できる点が特徴です。

事業譲渡:会社が持つ特定の事業のみを、別の会社に引き継がせます。資産・負債・契約などを個別に移転させる必要があり、手続きが複雑になる傾向があります。

 

以上から、会社分割の場合は、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますが、事業譲渡の場合には、そのような効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があります」が正しいです。

 

・債権者保護手続(空欄B)

会社分割:原則として、債権者保護手続が必要となります。

事業譲渡:個別に債権者の同意を得る必要があるため、債権者保護手続は必要ありません。

 

以上から、「会社分割の場合は債権者保護手続が必要となりますが、事業譲渡の場合は債権者保護手続は必要ありません。ただし、個別に債権者の同意を得る必要があります」が正しいです。

選択肢1. A:会社分割の場合は、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますが、事業譲渡の場合には、そのような効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があります  B:会社分割の場合は債権者保護手続が必要となりますが、事業譲渡の場合は債権者保護手続は必要ありません。ただし、個別に債権者の同意を得る必要があります

冒頭の解説より、本選択肢は正解の選択肢となります。

選択肢2. A:会社分割の場合は、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますが、事業譲渡の場合には、そのような効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があります  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続が必要となります

B:事業譲渡の場合は債権者保護手続は必要ありません。ただし、個別に債権者の同意を得る必要があるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. A:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますので、個別に契約の相手方の同意を得る必要はありません  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続が必要となります

A:事業譲渡の場合には、包括承継による財産や権利義務の包括的移転の効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があり、B:事業譲渡の場合は債権者保護手続は必要ありません。ただし、個別に債権者の同意を得る必要があるため不適切な選択肢となります。

選択肢4. A:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますので、個別に契約の相手方の同意を得る必要はありません  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続は必要ありません

A:事業譲渡の場合には、包括承継による財産や権利義務の包括的移転の効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があり、B:会社分割の場合は債権者保護手続が必要となるため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

会社分割と事業譲渡の違い、および両者の違いによる債権者保護手続の違いは、定番の出題パターンです。

 

過去問題でも問われるポイントは似ているので、得点源にすることができます。

参考になった数9

02

この問題は、M&A(合併・買収)の手法である「会社分割」と「事業譲渡」の法的な効果の違いを正しく理解しているかを問う、頻出論点です。

この問題を解く鍵となるのは、以下の2つの法的性質の違いを区別することにあります。

 

会社分割と事業譲渡の違い

 

1. 権利義務の承継方法(空欄Aの論点)

会社分割:包括承継

法律の規定により、事業に関する権利義務(契約、資産、許認可など)が一括して(包括的に)新会社や承継会社に移転します。

原則として契約の相手方の個別の同意は不要です。

事業譲渡特定承継

あくまで「売買契約」の一種であるため、移転する資産や契約を個別に特定して移転します。

契約上の地位を移転させるには、民法の原則通り契約の相手方の個別の同意が必要です。また、不動産の登記なども個別に移転手続きが必要です。

 

2. 債権者の保護(空欄Bの論点)

会社分割

権利義務が包括的に移転するため、債権者にとっては「いつの間にか債務者が変わってしまう(しかも資産が減った会社に残されるかもしれない)」リスクがあります。

そのため、会社法上の「債権者保護手続(官報公告および個別催告)」が義務付けられています(特に本問のように免責的債務引受を行う場合)。

事業譲渡

会社法上の「債権者保護手続」という制度はありません。

なぜなら、債務を移転させるには、前述の通り債権者ごとの「個別の同意」が不可欠だからです。債権者が同意しなければ債務は移転しないため、制度としての保護手続きは不要(個別に守られる)という理屈です。

選択肢1. A:会社分割の場合は、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますが、事業譲渡の場合には、そのような効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があります  B:会社分割の場合は債権者保護手続が必要となりますが、事業譲渡の場合は債権者保護手続は必要ありません。ただし、個別に債権者の同意を得る必要があります

正解です

Aの記述(正): 「会社分割=包括承継(原則同意不要)」、「事業譲渡=特定承継(個別移転手続・同意必要)」としており、法的に正しい記述です。

Bの記述(正): 「会社分割=債権者保護手続が必要」、「事業譲渡=債権者保護手続は不要だが、個別の同意が必要」としており、これも法的に正しい記述です。

 

両方の記述が正確であるため、これが正解となります。

選択肢2. A:会社分割の場合は、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますが、事業譲渡の場合には、そのような効果は生じないので、個々の財産の移転手続や対抗要件の具備が個別に必要となり、契約の相手方の同意を得る必要があります  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続が必要となります

誤り

 

Aの記述(正): 記述内容は正しいです。

Bの記述(誤): 事業譲渡の場合に「債権者保護手続が必要」としている点が誤りです。事業譲渡では会社法上の債権者保護手続は存在せず、債権者個人の同意を取り付けるプロセスになります。

選択肢3. A:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますので、個別に契約の相手方の同意を得る必要はありません  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続が必要となります

誤り

 

Aの記述(誤): 事業譲渡についても「包括承継により……同意を得る必要はありません」としている点が誤りです。事業譲渡は特定承継であり、相手方の同意が必要です。

Bの記述(誤): 事業譲渡の場合に「債権者保護手続が必要」としている点が誤りです。事業譲渡では会社法上の債権者保護手続は存在せず、債権者個人の同意を取り付けるプロセスになります。

選択肢4. A:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、包括承継により、原則として財産や権利義務の包括的移転の効果が生じますので、個別に契約の相手方の同意を得る必要はありません  B:会社分割の場合も事業譲渡の場合も、債権者保護手続は必要ありません

誤り

 

Aの記述(誤): 包括承継としている点が誤りです。事業譲渡は特定承継であり、相手方の同意が必要です。

Bの記述(誤): 会社分割の場合に「債権者保護手続は必要ありません」としている点が誤りです。会社分割では原則として債権者保護手続が必要です。

まとめ

Aに入る記述: 会社分割は包括承継、事業譲渡は特定承継(同意必要)。

Bに入る記述: 会社分割は債権者保護手続が必要、事業譲渡は不要(ただし個別同意が必要)。

 


 

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