中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問140 (経営法務 問5)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問140(経営法務 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

合同会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 合同会社では、法人が業務執行社員である場合に、別の法人を職務執行者として選任することができる。
  • 合同会社では、労務や信用を出資の目的とすることができる。
  • 合同会社に新たな社員が加入する場合、定款の変更が必要である。
  • 合同会社の業務執行社員は、無限責任を負う。

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この過去問の解説 (2件)

01

「合同会社(LLC)」に関する知識を問う問題です。

合同会社は、近年設立件数が急増しており、診断士の実務においても非常に関わりの深いテーマです。株式会社との違いを明確にすることが正解への鍵となります。

 

この問題を解くための必須知識

 

合同会社は「持分会社」の一種です。この問題を解くためには、以下の3つの基本コンセプトを理解しておく必要があります。

「有限責任」の原則

株式会社と同様、社員(出資者)は出資額までしか責任を負いません。債権者保護のため、出資できるものに制限があります。

 

「定款(ていかん)」の重要性

合同会社は「人の集まり」としての性質が強く、誰が社員であるかは定款に記載される重要事項です。

 

「職務執行者」のルール

法人が経営に参加する場合、責任の所在を明らかにするために「人間(自然人)」を立てるルールがあります。

選択肢1. 合同会社では、法人が業務執行社員である場合に、別の法人を職務執行者として選任することができる。

誤り

 

法人が業務執行社員である場合、その職務を行うべき者(職務執行者)として選任できるのは「自然人(人間)」に限られます。

法人が法人を職務執行者に選ぶと、責任の所在が「法人の連鎖」の中で曖昧になってしまうため、最終的には生身の人間が責任を持つ仕組みになっています。

選択肢2. 合同会社では、労務や信用を出資の目的とすることができる。

誤り

 

合同会社の社員は、「金銭その他の財産」のみを出資の目的とすることができます。労務や信用を出資できるのは、無限責任社員が存在する「合資会社」や「合名会社」だけです。

有限責任しか負わない合同会社において、目に見えない「働くこと(労務)」や「評判(信用)」を出資と認めると、会社にお金がない場合に債権者が困るため、財産出資に限定されています。

選択肢3. 合同会社に新たな社員が加入する場合、定款の変更が必要である。

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合同会社を含む持分会社では、「社員の氏名又は名称及び住所」は定款の絶対的記載事項です。

新たな社員が加わるということは、定款の内容(メンバーリスト)を書き換えることと同義であるため、必ず定款変更の手続きが必要となります。

選択肢4. 合同会社の業務執行社員は、無限責任を負う。

誤り

 

合同会社の社員は、その業務を執行するかどうかにかかわらず、全員が「有限責任社員」です。

そもそも「合同」会社という名称自体が、全員が有限責任であることを前提とした組織形態です。「無限責任」を負うのは、合名会社の全社員や、合資会社の一部の社員に限られます。

まとめ

診断士試験では、合同・合資・合名の違いがよく問われます。

持分会社(3形態)の比較まとめ

会社形態社員の責任出資できるもの社員加入時の定款変更
合同会社全員有限責任金銭・財産のみ必要
合資会社無限 + 有限無限社員は労務・信用も可必要
合名会社全員無限責任労務・信用も可必要

2026年度試験対策アドバイス

「株式会社との違い」を意識: 株式会社では、株主が誰であるかは定款に書きません(だから自由に売買できる)。一方、合同会社は「誰とやるか」を重視するため、社員の加入=定款変更となる点は非常に重要です。

「職務執行者」は人間: 法人が社員になれる場合でも、実際に動くのは「人間」でなければならない、というルールは、実務上の登記でも頻出のポイントです。

有限責任の意味を考える: 「自分が出資した以上に損をしない(有限責任)」なら、会社には「確実な財産(金や物)」を入れておかなければならない。だから「労務・信用出資」はダメなんだ、と理屈で覚えると忘れにくくなります。

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02

合同会社に関する問題です。

選択肢1. 合同会社では、法人が業務執行社員である場合に、別の法人を職務執行者として選任することができる。

少し混み入った論点のため、順番に整理します。

 

まず、合同会社では法人(=〇〇株式会社など)が業務執行社員になることができます。(株式会社では自然人=個人のみしかなれませんが、株式会社では業務執行社員という名称ではなく取締役です)

 

ただし、実際に職務を執行する者は自然人=個人であり法人ではありません。(法人=株式会社に手や足が生えていて、業務を行なうわけではない)

 

そのため、法人が業務執行社員である場合には別の法人を職務執行者として選任することができないため不適切な選択肢となります。

選択肢2. 合同会社では、労務や信用を出資の目的とすることができる。

合同会社では、労務や信用を出資の目的とすることができないため不適切な選択肢となります。

 

※合同会社には、有限責任社員しかいません。有限責任社員しかいないという点では、合同会社は株式会社に近い性質を持ちます。合同会社や株式会社では、金銭またはその他の財産を出資の目的としなければなりません。(有限責任社員は、出資金額の範囲でのみ責任を負います)

 

選択肢3. 合同会社に新たな社員が加入する場合、定款の変更が必要である。

定款を変更する場合は社員全員の同意が必要なため、新たな社員が加入する場合は定款の変更が必要になり正解の選択肢となります。

選択肢4. 合同会社の業務執行社員は、無限責任を負う。

他の選択肢の解説で述べていますが、合同会社には有限責任社員しかいません。

 

そのため、合同会社の業務執行社員は有限責任を負うため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

出資の目的についての補足ですが、合同会社と同じ「持分会社」である合名会社・合資会社には無限責任社員がいるため金銭以外に労務や信用を出資の目的とすることができます。

 

無限責任社員には、会社の負債すべてを支払う責任があります。負債を金銭で支払い切れない場合は、無限責任社員は社員個人の財産(家、土地、車など)を差し出さなければなりません。そのため、無限責任社員には無報酬で労働する労務出資や、無限責任社員個人の信用による信用出資が認められています

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