中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問139 (経営法務 問4)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問139(経営法務 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

譲渡制限株式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 株式会社が、定款を変更して、その発行する全部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける場合には、総株主の同意を得なければならない。
  • 株主が譲渡承認の請求をした場合、株式会社がその請求の日から2週間または定款で定めたそれより短い期間内に決定の内容を通知しなかったときは、当該株式会社は、当該株主との間に別段の合意のない限り、譲渡を承認した旨の決定をしたものとみなされる。
  • 相続により譲渡制限株式を取得した株式取得者であっても、株式会社による取得の承認を受けなければ、株主名簿の名義書換の請求をすることができない。
  • 取締役会設置会社の場合には、定款の定めにより、譲渡による株式の取得についての承認の決定を株主総会の決議によるものとすることはできない。

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この過去問の解説 (2件)

01

中小企業の実務において極めて重要な「譲渡制限株式」に関する問題です。

このテーマは、会社が「望まない株主」の参入を拒否するための防衛線であり、問題では「誰がいつまでに何をすべきか」という手続きのルールが厳格に問われています。

 

この問題を解くための必須知識

 

譲渡制限株式の問題を攻略するには、単なる暗記ではなく、以下の4つの知識を「セット」で整理しておく必要があります。

承認機関(どこが決めるか)

原則:取締役会設置会社なら取締役会、非設置会社なら株主総会

カスタマイズ:定款で「代表取締役」や「株主総会」に変えることが可能(定款自治)。

 

みなし承認(放置するとどうなるか)

会社が請求を受けてから2週間以内に「承認するか否か」を通知しなかった場合、自動的に「承認した」とみなされる。

 

相続と譲渡の違い

譲渡制限は「売買」などの意思に基づく「譲渡」を制限するもの。「相続」は一般承継であり、会社の承認なく株主の地位が引き継がれる。

 

決議要件(ハードルの高さ)

新たに譲渡制限を設けるなど、株主に重大な不利益を与える変更には、通常の特別決議より厳しい「特殊決議」が必要。

選択肢1. 株式会社が、定款を変更して、その発行する全部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける場合には、総株主の同意を得なければならない。

誤り

 

すでに発行している全部の株式に譲渡制限を設ける場合、必要なのは「総株主の同意」ではなく、「特殊決議」です。

 

特殊決議の内容: 株主の半数以上の出席

議決権の2/3以上の賛成

この要件は定款でさらに厳しく(加重)することはできますが、軽くすることはできません

選択肢2. 株主が譲渡承認の請求をした場合、株式会社がその請求の日から2週間または定款で定めたそれより短い期間内に決定の内容を通知しなかったときは、当該株式会社は、当該株主との間に別段の合意のない限り、譲渡を承認した旨の決定をしたものとみなされる。

正解です

 

会社法の規定通りです。株主から譲渡承認の請求があった日から2週間以内(定款でこれより短い期間を定めた場合はその期間)に決定内容を通知しなかった場合、会社は譲渡を承認したものとみなされます。

 

実務上の注意: 「不承認」にしたい場合は、この2週間以内に通知を発送するだけでなく、その後40日以内に自社で買い取るか、別の買収者を指定するなどの手続きをセットで行う必要があります。

選択肢3. 相続により譲渡制限株式を取得した株式取得者であっても、株式会社による取得の承認を受けなければ、株主名簿の名義書換の請求をすることができない。

誤り

 

株式の相続は「譲渡」には当たらないため、譲渡制限の対象外です。

相続人は、会社の承認を待たずに当然に株主の権利を承継します。したがって、会社に対して承認を受けることなく名義書換を請求できます。

 

補足: 会社側が「相続人に株主になってほしくない」場合は、定款に「相続人に対する売渡請求」の条項を別途設けておく必要があります。

選択肢4. 取締役会設置会社の場合には、定款の定めにより、譲渡による株式の取得についての承認の決定を株主総会の決議によるものとすることはできない。

誤り

 

会社法第139条第1項により、取締役会設置会社であっても、定款に別段の定めを設けることで、承認機関を「株主総会」とすることができます。

同様に、定款で「代表取締役」を承認機関にすることも可能です。取締役会設置会社だからといって、必ず取締役会で決めなければならないわけではありません。

まとめ

解説のまとめと2026年度試験対策のアドバイス

 

重要ルールの比較まとめましたので学習の参考にしてください。

項目ルール・条文のポイント覚え方のコツ
みなし承認の期間2週間放置=「いいよ」の意味。
定款変更の決議特殊決議株主の「頭数」も必要な厳しい壁。
相続の扱い制限なし(当然承継)死ぬのは本人の意思ではないから。
承認機関原則はあるが定款で自由中小企業の事情に合わせてカスタマイズ

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02

譲渡制限株式に関する問題です。

 

 

選択肢1. 株式会社が、定款を変更して、その発行する全部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける場合には、総株主の同意を得なければならない。

株式会社が、定款を変更して、その発行する全部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける場合には、総株主の3分の2以上の同意を得なければならないため不適切な選択肢となります。

選択肢2. 株主が譲渡承認の請求をした場合、株式会社がその請求の日から2週間または定款で定めたそれより短い期間内に決定の内容を通知しなかったときは、当該株式会社は、当該株主との間に別段の合意のない限り、譲渡を承認した旨の決定をしたものとみなされる。

株主が譲渡承認の請求をした場合、株式会社がその請求の日から2週間または定款で定めたそれより短い期間内に決定の内容を通知しなかったときは、当該株式会社は、当該株主との間に別段の合意のない限り、譲渡を承認した旨の決定をしたものとみなされるため正解の選択肢となります。

 

※もし承認しないのであれば、「承認しない」という通知(意思表示)をしなければなりません。

選択肢3. 相続により譲渡制限株式を取得した株式取得者であっても、株式会社による取得の承認を受けなければ、株主名簿の名義書換の請求をすることができない。

相続により譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社による取得の承認がなくても株主名簿の名義書換の請求をすることができるため不適切な選択肢となります。

 

※相続とは、親から子への承継などにより株式を取得することです。つまり、(親子関係など)生来的に株式を取得する権利を有しているため株式会社による取得の承認は不要です。

選択肢4. 取締役会設置会社の場合には、定款の定めにより、譲渡による株式の取得についての承認の決定を株主総会の決議によるものとすることはできない。

取締役会が設置されている会社の場合は、取締役会決議が原則です。

 

ただし、本選択肢のように定款の定めがあれば、譲渡による株式の取得についての承認の決定を株主総会の決議によるものとすることができるため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

他の問題でも譲渡制限株式の出題がありましたが、一般的な中小企業では株式に譲渡制限が付けられていることが一般的です。そのため、譲渡制限株式の問題もよく出題されます。

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