中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問136 (経営法務 問1)
問題文
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問題
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問136(経営法務 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
- 株主総会の決議について特別の利害関係を有する株主は、その決議において、いかなる場合も議決権を行使することができない。
- 株主は、保有する議決権について、常に統一して行使しなければならない。
- 非公開会社であり、取締役会設置会社でない会社では、株主総会は、会社の本店の所在地において開催しなければならない。
- 非公開会社であり、取締役会設置会社でない会社では、定款に定めることにより、書面による議決権行使または電磁的方法による議決権行使ができることを定めたときを除き、1週間より短い期間を株主総会の招集通知の発送期限とすることができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題を解くための必須知識
この問題を正解するためには、会社法における以下の3つの重要テーマを整理しておく必要があります。
株主の権利(議決権): 原則として1株につき1個ですが、例外的な行使方法(不統一行使)や、利害関係がある場合の扱いを理解しているか。
招集手続きのルール: 「公開会社か非公開会社か」「取締役会があるかないか」によって、手続きのスピード感(期間)や場所の制限がどう変わるか。
「原則と例外」の切り分け: 法律の基本原則に対し、定款(会社のルール)でどこまでカスタマイズできるかの境界線。
特に「非公開会社(譲渡制限会社)かつ取締役会非設置会社」は、小規模な同族企業を想定しており、手続きが大幅に簡略化できるという特徴があります。
誤り
取締役会とは異なり、原則として議決権を行使できます 。ただし、その株主が議決権を行使したことで「著しく不当な決議」が行われたと判断された場合、後から決議取消しの訴えの対象になる可能性があります。
誤り
会社法により、株主は議決権をバラバラに行使する「議決権の不統一行使」が認められています。
議決権の不統一行使(会社法第313条)が認められている主な理由は、「他人のために株式を保有している株主」の利便性を確保し、実際の株主(受益者)の意思を反映させるためです。
具体的には、以下のようなケースを想定しています。
信託銀行や証券会社などの機関投資家
信託銀行などは、一つの名義で大量の株式を保有していますが、その背後には多くの顧客(受益者)がいます。顧客によって「賛成」「反対」の意向が分かれる場合があるため、名義人が一括してどちらかに決めるのではなく、顧客の意思に応じてバラバラに投票(不統一行使)できるようにしています。
制度の主なポイント
通知の義務: 取締役会設置会社において不統一行使をする場合は、株主総会の3日前までに、会社に対してその旨と理由を通知しなければなりません。
拒否の可能性: 株主が「他人のために株式を保有している者」でない(=自分の利益のために保有している)場合、会社側はこの不統一行使を拒否することができます。これは、一人の株主が戦略的に票を分散させて議場を混乱させるのを防ぐためです。
この制度があることで、株主名義と実質的な受益者が異なる現代の複雑な株式保有形態においても、個々の受益者の意思を適切に決議に反映させることが可能になっています。
誤り
取締役会非設置会社(多くの中小企業)であっても、株主総会の開催場所に関する基本的なルールは取締役会設置会社と大きく変わりませんが、決定権者や手続きに以下の特徴があります。
開催場所の制限(物理的な場所)
場所は原則自由: 会社法上、特定の場所(本店所在地など)で開催しなければならないという制限はありません。
決定方法: 取締役会がないため、取締役の過半数(取締役が1人の場合はその取締役)によって場所を決定します(会社法第298条1項、第348条2項)。
配慮義務: 場所を自由に決められるとはいえ、株主が参加しにくい著しく不便な場所を選ぶことは、株主の出席権を侵害するものとして「決議取消事由」になるリスクがある点は共通です。
正解です
会社法第299条の規定です。
原則:招集通知は、公開会社は2週間前、非公開会社は1週間前までに発する必要があります。
特例:取締役会がない非公開会社の場合、定款で定めれば「1週間前」をさらに短縮(例:3日前など)できます。
制限:ただし、書面投票や電子投票(電磁的方法)を認める場合は、株主が検討する時間を確保するため、この短縮ルールは使えません。
2026年度試験対策アドバイス
「いかなる場合も」「常に」に注意: 法律の問題でこれらの強い言葉が出てきたら、まず疑ってください。診断士試験あるあるです。必ずと言っていいほど「例外」が存在します。
比較で覚える: 「取締役会のルール」と「株主総会のルール」を混ぜて聞いてくるのが診断士試験の常套手段です。今回のように「特別利害関係者の排除」がどちらに適用されるか、整理しておきましょう。
非公開会社の「身軽さ」を意識: 診断士が支援する中小企業の多くは「非公開かつ取締役会なし」です。法律がなぜ彼らに柔軟なルール(招集期間の短縮など)を認めているのか、その背景を理解すると記憶に定着しやすくなります。
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02
株主総会に関する問題です。
一部の選択肢で述べられている「非公開会社であり、取締役会設置会社でない会社」とは、取締役会が設置されていない会社=株式の譲渡が制限されている会社のことです。
そのため、「株式譲渡制限会社」と表記します。(中小企業では一般的な形態です)
株主は何らかの意図を持って会社の株式を保有しており、究極的には「特別の利害関係がない株主はいない」と言えます。
したがって、特別の利害関係を有する株主がいかなる場合も議決権を行使することができないわけではなく、不適切な選択肢となります。(会社法上、議決権を行使することができる旨が明記されています)
※本選択肢は「いかなる場合も~できない」という100%断定的な表現に違和感を感じて、選択肢から除外できれば十分です。
株主は、保有する議決権について、議決権を統一しないで行使することができるため、不適切な選択肢となります。
※「議決権の不統一行使」という、やや混み入った論点が問われており、「常に~しなければならない」という表現に違和感を感じて、選択肢から除外できれば十分です。
※他の選択肢で問われている「株式譲渡制限会社」においては、事前通知の必要もありません。
会社法では、株主総会は会社の本店の所在地において開催しなければならないという定めがないため不適切な選択肢となります。(株主総会の開催場所は、本店所在地に限定されない)
※株主総会をホテルやイベントホール・貸し会議室、場合によってはオンライン開催していることも珍しくありません。株主総会は6月に集中することが多く、その頃にニュースで取り上げられることがあるため確認してみてください。
冒頭の解説より、非公開会社であり、取締役会設置会社でない会社=株式譲渡制限会社です。
株式譲渡制限会社では、1週間より短い期間を株主総会の招集通知の発送期限とすることができる(書面による議決権行使または電磁的方法による議決権行使ができることを定めたときを除く)ため正解の選択肢となります。
※本問は選択肢の記述が多く、正誤判断に時間がかかるものの、問われている内容はごく標準的なレベルです。
【補足】
株主総会の論点では、議決権数など「数字」が問われる出題形式もあります。
株主総会は毎年ではないものの定期的に出題されていますので、過去問題で復習しておいてください。
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