中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問129 (運営管理 問36)
問題文
なお、次の条件のみを踏まえて解答すること。
【取組前】
A社とB社の輸送では、トラックがそれぞれ1台ずつ運行していた。
A社の貨物を積載したトラックは、X県の倉庫AXからY県の倉庫AYへ貨物を積載して走行(実車走行)した後に、倉庫AYから倉庫AXへ貨物を積載せずに走行(空車走行)していた。
B社の貨物を積載したトラックは、Y県の倉庫BYからX県の倉庫BXへ実車走行した後に、倉庫BXから倉庫BYへ空車走行していた。
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問題
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問129(運営管理 問36) (訂正依頼・報告はこちら)
なお、次の条件のみを踏まえて解答すること。
【取組前】
A社とB社の輸送では、トラックがそれぞれ1台ずつ運行していた。
A社の貨物を積載したトラックは、X県の倉庫AXからY県の倉庫AYへ貨物を積載して走行(実車走行)した後に、倉庫AYから倉庫AXへ貨物を積載せずに走行(空車走行)していた。
B社の貨物を積載したトラックは、Y県の倉庫BYからX県の倉庫BXへ実車走行した後に、倉庫BXから倉庫BYへ空車走行していた。
- トラックの実車率と積載率はともに変わらなかった。
- トラックの実車率と積載率はともに上昇した。
- トラックの実車率と積載率はともに低下した。
- トラックの実車率は変わらなかったが、積載率は上昇した。
- トラックの実車率は上昇したが、積載率は変わらなかった。
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この過去問の解説 (1件)
01
各用語の説明
物流効率化の指標(KPI)に関する問題です。似たような言葉ですが、中身は全然違います。違いを正確に理解しましょう。
● 実車率(じっしゃりつ)
「走った距離のうち、荷物を積んで走行していた距離の割合」。
トラックで言えば、「荷物を乗せている距離」の割合です。 空っぽで走る距離が減れば、実車率は上がります。
計算式イメージ: 荷物あり走行距離 ÷ 総走行距離
● 積載率(せきさいりつ)
「トラックの荷台に対して、どれくらいパンパンに荷物を積んでいるかの割合」。
100個の荷物を積載できるトラックだと1個ならスカスカ(積載率低)、100個ならパンパン(積載率高)ということです。
計算式イメージ: 積んだ荷物の量 ÷ トラックの最大積載量
まず状況を整理しましょう。
【取組前】 A社もB社も「行って(荷物あり)、帰ってくる(空っぽ)」という往復をしていました。 無駄な「空っぽの帰り道」が長い状態です。
【取組後】 A社とB社が協力して、ぐるっと一周するルートを組みました。
行き(A社の荷物)→ ちょっと移動(空車)→ 帰り(B社の荷物)→ ちょっと移動(空車)
1. 積載率(荷台のパンパン具合)はどうなった?
問題文に「輸送貨物量は・・・すべて同じである」「トラックの最大積載量は・・・同じである」と書いてあります。 つまり、運ぶ荷物の量も、トラックの大きさも変わっていません。 「荷台の埋まり具合」は一緒ということです。 よって、積載率は「変わらない」。
2. 実車率(稼働効率)はどうなった?
「行き」と「帰り」で荷物を積んでいる距離(分子)は変わりません(A社の分+B社の分)。 しかし、協力したことで「長い距離を空っぽで帰る」という無駄がなくなり、総走行距離(分母)が減りました(問題文にも「空車走行の距離は・・・短くなる」と書いてあります)。 分母(総距離)が減ったので、割合としての実車率は「上昇した」ことになります。
3.結論
積載率:変わらない
実車率:上昇した(良くなった)
「積載率は変わらなかった」は合っています。 しかし、「実車率も変わらなかった」というのが間違いです。 長い帰り道の「空車走行」をカットして効率化したので、実車率(稼働の質)は間違いなく良くなっています。 「何も改善されなかった」と言っているのと同じなので✕です。
冒頭解説をしっかり読んで再度設問に取り組んでみてください。
「実車率は上昇した」は合っています。 しかし、「積載率も上昇した」というのが間違いです。 問題文に「輸送貨物量はすべて同じ」とあります。トラックの荷台に積むダンボールの数は増えていません。積載量に変化はないため✕です。
冒頭解説をしっかり読んで再度設問に取り組んでみてください。
実車率は上昇しています。積載率は変わっていません。選択肢の「ともに低下した」というのは両方が誤りです。したがって✕
冒頭解説をしっかり読んで再度設問に取り組んでみてください。
「実車率は変わらなかった」は間違い(無駄な空車が減ったから)です。次の「積載率は上昇した」ですがこれも間違い(荷物量は変化なし)です。両方が間違っており✕です。
冒頭解説をしっかり読んで再度設問に取り組んでみてください。
〇 正解です。
実車率は上昇した:無駄な「空っぽ運転」の距離が短くなったから(分母が減って数字が良くなった)。
積載率は変わらなかった:運ぶ荷物の量も、トラックの大きさも変えていないから。
この2つの事実を正確に捉えています。したがって〇正解です。
設問における「得と損」
この問題の「共同配送(帰り荷の確保)」というストーリーにおいて、誰がどうなったのかを見てみましょう。
● 誰が得をした? 荷主である「A社」と「B社」です。
Before(損していた状態)
A社:行きは荷物を運ぶが、帰りの「空っぽのトラック」の燃料代や運転手さんの時間も(実質的に)負担していた。
B社:A社同様に、帰りの空気を運ぶコストを負担していた。
結果:トラック2台分、ドライバー2人分のコストがかかっていた。
After(得した状態)
A社とB社:「A社の荷物を降ろした後、そのままB社の荷物を積んで帰ろう!」
結果:トラックは1台で済む。ドライバーも1人で済む。
2社でトラック1台分のコストをシェアできるので、物流コストが激減します。
● 誰が損をした?(あえて言うなら) 「仕事がなくなったトラック会社(2台目のトラック)」です。 今まで2台走っていたのが1台で済むようになったので、社会全体では効率化されましたが、単純な台数需要は減ります。 (※ただし、今は慢性的なドライバー不足(2024年問題)ですので、トラック会社としても「無駄な仕事を減らして、別の仕事にドライバーを回せる」ため、実質的にはWin-Winになることが多いです)
この問題のポイントは以下の2点です。
積載率(中身)の損得
今回は「積載率は変わらなかった」ので、ここでの新たな得はありません。
実車率(動き)の損得
今回はここが改善しました。
「空気を運ぶ」という最大の無駄(損)をなくしたことで、荷主(A社・B社)がコスト削減という「得」を手にしました。
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