中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問82 (企業経営理論 問31)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問82(企業経営理論 問31) (訂正依頼・報告はこちら)

マーケティング・コミュニケーションに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • インフィード広告は、SNSのコンテキストやデザインとマッチさせて表示され、あたかも投稿の1つであるかのようにタイムラインに溶け込み、ユーザーの利用体験を妨げないことを目指す広告である。
  • コミュニケーションに対する消費者の反応を表したモデルであるAIDMAモデルやAISASモデル、FCBグリッドなどの階層モデルでは、消費者の反応が認知段階から感情段階を経て行動段階に進むと考える点で共通している。
  • サードパーティ・クッキーの利用が法律などにより制限されると、インターネット広告の配信精度や広告効果が低下するリスクがあるが、リ・ターゲティング広告には影響はない。
  • 日本では2022年に改正された個人情報保護法において、クッキーは個人情報であり、個人情報保護の対象に含まれると規定された。
  • ネイティブ広告においては、広告のデザインとフォーマットを広告が配信される媒体の記事やコンテンツの形式や機能と一体化させることが必要であるが、広告の内容やクリック後に表示される遷移先のコンテンツは自由に設定することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

マーケティング・コミュニケーションに関する問題です。経営情報システムや経営法律の知識が求められている選択肢があり、難易度は高いです。

選択肢1. インフィード広告は、SNSのコンテキストやデザインとマッチさせて表示され、あたかも投稿の1つであるかのようにタイムラインに溶け込み、ユーザーの利用体験を妨げないことを目指す広告である。

インフィード広告とは、SNSのコンテキストの「フィード(コンテンツの流れ)」の中に通常の投稿や記事と見分けがつきにくい自然な形で表示される広告であり、正解の選択肢となります。

選択肢2. コミュニケーションに対する消費者の反応を表したモデルであるAIDMAモデルやAISASモデル、FCBグリッドなどの階層モデルでは、消費者の反応が認知段階から感情段階を経て行動段階に進むと考える点で共通している。

AIDMAモデルやAISASモデルについてはご存じかと思いますが、FCBグリッドとは「関与度」(高関与・低関与)と、「製品タイプ」(思考型・感情型)の2軸で構成されるフレームワークです。

 

出所:Web担当者Forum「コンテンツの将来:2014年の4つのトレンド(前編)―FCBグリッド分析とKPI(B2B/B2Cそれぞれ)」(https://webtan.impress.co.jp/e/2014/03/17/17167

 

以上から、FCBグリッドはAIDMAモデルやAISASモデルのような役割や機能ごとに複数の層に分けて構造化した階層モデルではないため不適切な選択肢となります。

選択肢3. サードパーティ・クッキーの利用が法律などにより制限されると、インターネット広告の配信精度や広告効果が低下するリスクがあるが、リ・ターゲティング広告には影響はない。

リ・ターゲティング広告とは、特定の商品を閲覧したユーザーに対して別のWebサイト・アプリ・SNSなどに閲覧した商品を表示する広告のことで、クッキー(Cookie)の技術を利用して配信されます。

 

そのため、サードパーティ・クッキーの利用が法律などにより制限されると、リ・ターゲティング広告へ影響が及ぶことが考えられるため不適切な選択肢となります。

 

※本選択肢では「リ・ターゲティング広告には影響はない」という100%断定的な表現に違和感を感じて、選択肢から除外することができれば十分です。

選択肢4. 日本では2022年に改正された個人情報保護法において、クッキーは個人情報であり、個人情報保護の対象に含まれると規定された。

改正個人情報保護法では、クッキーは個人情報ではないため不適切な選択肢となります。

 

※クッキー・IPアドレス・閲覧履歴などは、他の情報と組み合わせると個人を特定できる「個人関連情報」に該当します。そのため、個人関連情報を第三者に提供し、提供先で個人データと紐づけて利用する際にはユーザー本人の同意を得ることが義務づけられています。

選択肢5. ネイティブ広告においては、広告のデザインとフォーマットを広告が配信される媒体の記事やコンテンツの形式や機能と一体化させることが必要であるが、広告の内容やクリック後に表示される遷移先のコンテンツは自由に設定することができる。

ネイティブ広告に限らず、広告の内容やクリック後に表示される遷移先のコンテンツは一定のルールに基づいて設定される(自由に設定することはできない)ため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

ネイティブ広告とインフィード広告の違いですが、インフィード広告はネイティブ広告の一種で、記事や投稿のフィード(コンテンツの流れ)の途中に自然に挿入される広告のことです。

参考になった数4

02

マーケティング・コミュニケーションは、ブランドの意図を顧客に伝え、態度変容を促すプロセスです。デジタル広告の台頭により、広告とコンテンツの境界が曖昧になる一方、プライバシー保護の観点からデータの取り扱いに関する法的・技術的な制約が強まっています。

選択肢1. インフィード広告は、SNSのコンテキストやデザインとマッチさせて表示され、あたかも投稿の1つであるかのようにタイムラインに溶け込み、ユーザーの利用体験を妨げないことを目指す広告である。

適切
ネイティブ広告の代表的な手法であるインフィード広告の定義として適切です。媒体(SNS等)の通常コンテンツと同じ形式で表示させることで、ユーザーの閲覧体験を阻害することなく、自然な形での接触とエンゲージメントを狙います。

選択肢2. コミュニケーションに対する消費者の反応を表したモデルであるAIDMAモデルやAISASモデル、FCBグリッドなどの階層モデルでは、消費者の反応が認知段階から感情段階を経て行動段階に進むと考える点で共通している。

不適切
多くの階層モデルが認知→感情→行動の順序を基本としますが、すべてのモデルで共通しているわけではありません。例えば、日用品などの場合、認知の後にすぐ購入し、その後に評価が形成される認知→行動→感情のプロセスを辿ることもあります。製品の関与度や特性によって、心理的プロセスは多様化しています。

選択肢3. サードパーティ・クッキーの利用が法律などにより制限されると、インターネット広告の配信精度や広告効果が低下するリスクがあるが、リ・ターゲティング広告には影響はない。

不適切
リ・ターゲティング広告:過去に自社サイトを訪れたユーザーに対して再度広告を配信する手法

主にサードパーティ・クッキーを利用してユーザーのブラウジング行動を追跡することで成立しています。したがって、クッキーの利用制限はリ・ターゲティング広告の運用に極めて大きな影響を及ぼします。

選択肢4. 日本では2022年に改正された個人情報保護法において、クッキーは個人情報であり、個人情報保護の対象に含まれると規定された。

不適切
2022年改正個人情報保護法において、クッキー単体は原則として個人情報ではなく、個人関連情報として新たに定義されました。提供先で個人データとして取得されることが想定される場合には、本人の同意確認が義務付けられるなどの規制が導入されましたが、一律に個人情報と規定されたわけではありません。

選択肢5. ネイティブ広告においては、広告のデザインとフォーマットを広告が配信される媒体の記事やコンテンツの形式や機能と一体化させることが必要であるが、広告の内容やクリック後に表示される遷移先のコンテンツは自由に設定することができる。

不適切
ネイティブ広告の価値は、媒体のトーンやコンテキスト(文脈)との調和にあります。遷移先のコンテンツが広告の意図と乖離していたり、誤解を招くような内容であったりすることは、ブランドの信頼性を損なうだけでなく、法的・倫理的な問題に発展するリスクがあるため、自由に設定できるとする記述は適切ではありません。

まとめ

現代のコミュニケーション戦略において、企業は消費者の利用体験(CX)と信頼の維持を最優先に考える必要があります。
・コンテキストの重視:インフィード広告に代表されるように、媒体の文脈に溶け込む手法は有効ですが、それはあくまでユーザーへの配慮に基づいたものであるべきです。
・データ活用の適正化:クッキー制限や法規制の強化により、サードパーティ・データに頼った追跡型広告(リ・ターゲティング等)は転換期を迎えています。今後は自社で保有するファーストパーティ・データの活用や、文脈に合わせた広告配信へのシフトが求められます。

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