中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問72 (企業経営理論 問22)
問題文
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問題
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問72(企業経営理論 問22) (訂正依頼・報告はこちら)
- D.ワッツとS.ストロガッツによると、スモールワールド・ネットワークでは、ランダムなつながりを増やすと、ネットワーク全体の平均経路長(average path length)は長くなり、情報の流通は困難になる。
- M.グラノヴェッターによると、交流の機会が少なく信頼関係が薄い「弱い紐帯」は、やりとりされる情報の範囲を限定し、イノベーションに必要な新しい知識やアイデアを伝わりにくくする。
- M.グラノヴェッターによると、頻繁に顔を合わせ、強い信頼関係のもとで協力し合う「強い紐帯」は、メンバー同士の結束を深めることで、組織の柔軟性を高め、環境の変化に迅速に適応できるようにする。
- R.バートによると、同じ業界に属し競争関係にある組織同士が構造同値の関係にある場合、目的や価値観を共有しやすいため、連携して協調関係を構築しやすい。
- R.バートによると、ソーシャル・ネットワークの中で構造的空隙の間に位置する組織は、仲介者の役割を担うことで、ネットワーク上の多様な情報を入手し、情報の優位性を得ることができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
組織のネットワーク理論[スモールワールド、紐帯の強さ、構造的空隙]に関する問題です。
不適切
スモールワールド・ネットワークでは、ランダムなつながりがわずかに加わるだけで、ネットワーク全体の平均経路長は劇的に短くなり、情報の流通が容易になります。
不適切
グラノヴェッターの弱い紐帯の強み理論によれば、むしろ弱い紐帯こそが、自分の属するコミュニティ外の新しい情報や異なる視点をもたらすため、イノベーションには有効であるとされています。
不適切
強い紐帯は結束力や効率性を高めますが、情報が同質化しやすいため、新しい環境変化への適応においては、むしろ柔軟性を欠く状態を招くリスクがあります。
不適切
構造同値(ネットワーク内での立ち位置が同じ)にある組織同士は、同じ顧客や資源を取り合う競合関係になりやすいため、必ずしも協調関係を構築しやすいとは言えません。
適切
構造的空隙に橋を架ける位置にいる者は、異なるグループ間の情報の流れをコントロールし、独自の付加価値や情報の優位性を獲得できるという理論として適切です。
留意すべきは、以下の3点です。
・弱い紐帯の戦略的活用:イノベーションを創出するには、既存の強固な関係性(強い紐帯)に安住せず、外部の多様なネットワークと緩やかにつながり、未知の情報を意図的に取り込む必要があります。
・構造的空隙による優位:異なる情報ソースの中間に位置し、情報のハブとしての地位を築くことで、情報の非対称性を利用した戦略的な意思決定と交渉力の優位を確保できます。
・同質化の回避:結束力の強い組織ほど情報の多様性が失われやすいため、ネットワークの平均経路長を意識的に短縮し、外部とのランダムな接点を確保し続ける仕組み作りが不可欠です。
組織の競争力は、単なる内部資源の多寡だけでなく、どのようなネットワーク構造の、どの位置に身を置いているかという構造的優位性によって大きく左右されます。
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02
組織のネットワーク理論に関する問題です。「スモールワールド・ネットワーク」「構造同値」「構造的空隙(くうげき)」といった初見の用語があり、対応は難しいです。
本選択肢は、「世間は狭い」という経験則をネットワーク理論で解明したワッツ・ストロガッツモデルの記述になります。
全く接点が無かった人と予期しない出会いがあり、「世間は狭い」と感じた経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。ワッツ・ストロガッツモデルは、互いに無関係な人たちが数人の知人を介するだけでつながる「スモールワールド現象」を再現したものです。
以上から、スモールワールド・ネットワークでは、ランダムなつながりを増やすと、ネットワーク全体の平均経路長(average path length)は短くなり情報の流通は容易になるため不適切な選択肢となります。
M.グラノヴェッターによると、交流の機会が少なく信頼関係が薄い「弱い紐帯」は、やりとりされる情報の範囲を広げ、イノベーションに必要な新しい知識やアイデアを伝わりやすくするため不適切な選択肢となります。
※「弱い紐帯(ちゅうたい)」とは、知人のような異なる社会空間にいる緩い人間関係を指します。自分とは異なる社会空間にいるため、自分にはない多様な情報や視点が得られやすいです。
M.グラノヴェッターによると、頻繁に顔を合わせ、強い信頼関係のもとで協力し合う「強い紐帯」は、メンバー同士の結束を深めることで、組織の硬直性を高め、環境の変化に迅速に適応しづらくなるため不適切な選択肢となります。
※「強い紐帯(ちゅうたい)」とは、家族や職場の同僚のような結びつきの強い人間関係を指します。生活環境が似て情報が重複しがちになるため、考え方が似てくる傾向にあります。
「構造同値」とは、自社と全く関わりのない他社が同じ仕入先から商品を仕入れているような状態を指します。
以上から、同じ業界に属し競争関係にある組織同士が構造同値の関係にある場合、目的や価値観を共有しやすいため、競争関係になりやすく不適切な選択肢となります。
「構造的空隙」とは、直接関わりがない組織間の隙間・空白地帯のことです。
といっても分かりにくいので、具体例を挙げます。普段、部署を越えたやり取りがあまり見られない企業内でプロジェクトチームを結成するとします。営業、企画、生産などの各部署から情報が集まることで新しいアイデアが生まれたり、プロジェクトを効率的に進めることが実現する可能性が高まります。
以上から、ソーシャル・ネットワークの中で構造的空隙の間に位置する組織は、仲介者の役割を担うことで、ネットワーク上の多様な情報を入手し、情報の優位性を得ることができるため正解の選択肢となります。(営業担当者が、企画や生産現場の事情を知ることでより多くの情報を結び付けて、自身の営業活動を有利に進めることができる可能性が高まります)
【補足】
一部の選択肢で問われている「紐帯(ちゅうたい)」理論については、過去に出題履歴があります。
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