中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問71 (企業経営理論 問21)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問71(企業経営理論 問21) (訂正依頼・報告はこちら)

組み立てメーカーA社は、製品Xのみを開発・製造・販売している。A社は、製品Xの製造に不可欠な部品Yを自社では製造できず、部品サプライヤーB社からしか調達できない。一方、B社は部品YをA社以外の複数のメーカーにも供給している。
このとき、資源依存パースペクティブの考え方に従った記述として、最も適切なものはどれか。
  • A社が製品Xの品質を向上させれば、B社からの供給リスクを低減できる。
  • A社はB社に対する資源依存度が高いため、A社のB社に対する相対的なパワーは強い。
  • A社は部品Yの在庫を増やすことで、B社への依存を解消できる。
  • A社は部品Yを使用しない新製品を開発することで、B社への依存度を低減できる。
  • B社が部品Yの供給先を増やすと、A社のB社への依存度は低減する。

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この過去問の解説 (2件)

01

企業間の力関係を資源の依存度で説明する資源依存パースペクティブに関する問題です。

選択肢1. A社が製品Xの品質を向上させれば、B社からの供給リスクを低減できる。

不適切
製品の品質向上は販売面での競争力には寄与しますが、特定のサプライヤーB社に部品Yを依存しているという供給構造そのものを変えるものではないため、供給リスクの低減には直結しません。

選択肢2. A社はB社に対する資源依存度が高いため、A社のB社に対する相対的なパワーは強い。

不適切
資源依存理論では、重要な資源を相手に依存している側はパワーが弱くなります。したがって、A社のB社に対するパワーは弱いと解釈するのが適切です。

選択肢3. A社は部品Yの在庫を増やすことで、B社への依存を解消できる。

不適切
在庫の積み増しは一時的な供給途絶への緩衝(バッファ)にはなりますが、依存関係そのものを解消する根本的な解決策にはなりません。

選択肢4. A社は部品Yを使用しない新製品を開発することで、B社への依存度を低減できる。

適切
依存度を下げる最も有効な方法は、その資源の重要性を下げる(代替品を見つける、または使わない)ことです。部品Yを不要にすることは、B社への依存を構造的に断ち切る行動であり適切です。

選択肢5. B社が部品Yの供給先を増やすと、A社のB社への依存度は低減する。

不適切
B社が供給先を増やすと、B社にとってのA社の重要性が相対的に下がるため、A社の交渉力はさらに弱まります。A社のB社への依存度が下がるわけではありません。

まとめ

パワーバランスの源泉は重要性と代替可能性の組み合わせにあります。
特定の相手にしか手に入らない重要な資源に頼るほど自社の立場は弱くなるため、戦略的に依存しない仕組み(代替化や内製化)を構築することが、経営の独立性を保つ鍵となります。

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02

資源依存パースペクティブに関する問題です。資源依存パースペクティブは、令和5年度にも出題されています。

 

与件文からA社はB社からしか部品を調達できない状況(部品の内製化もしていない)であり、B社への資源依存度が極めて高いことが分かります。

 

対して、B社はA社以外の複数メーカーに部品を供給しており、資源依存度はB社が相対的に低いです。

選択肢1. A社が製品Xの品質を向上させれば、B社からの供給リスクを低減できる。

製品Xの部品はB社からしか調達できず、製品Xの品質を向上させてもB社からの供給リスクを低減できないため不適切な選択肢となります。(品質の向上と供給リスクは、関係ありません)

選択肢2. A社はB社に対する資源依存度が高いため、A社のB社に対する相対的なパワーは強い。

A社はB社に対する資源依存度が高いため、A社のB社に対する相対的なパワーは弱く不適切な選択肢となります。

選択肢3. A社は部品Yの在庫を増やすことで、B社への依存を解消できる。

B社からしか調達できない製品Xの部品Yの在庫を増やすと、B社へますます依存することになり不適切な選択肢となります。

 

※他の選択肢で述べている「部品Yを使用しない新製品を開発する」、または「部品Yを内製化する」「部品Yの代替品(が存在する場合に限る)を、B社以外から調達する」などの対応によりB社への依存を低減または解消することが必要になります。

選択肢4. A社は部品Yを使用しない新製品を開発することで、B社への依存度を低減できる。

A社は部品Yを使用しない(=B社から調達する必要がない)新製品を開発することで、B社への依存度を低減できるため正解の選択肢となります。

選択肢5. B社が部品Yの供給先を増やすと、A社のB社への依存度は低減する。

製品Xの部品はB社からしか調達できず、B社が部品Yの供給先を増やしてもA社のB社への依存度は低減しないため不適切な選択肢となります。

 

※本選択肢は、B社から見た資源依存度の論点です。現時点でB社は部品YをA社以外の複数のメーカーにも供給していますが、B社が更に複数の新規メーカーに部品Yを供給すると、B社のA社への依存度は低減します。

→B社が部品Yを5社に供給している場合、1社あたりの依存度は20%。供給先を10社に増やすと、1社あたりの依存度は10%に低下します。(簡便化のため、売上構成比は無視してください)

まとめ

【補足】

 

資源依存パースペクティブについて知らなくても、ポーターの5フォース分析「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」の考え方を当てはめることで対応可能です。

 

資源依存度に似た論点として、「特定企業への取引依存度が増加した」という記述が二次試験でも問われることがあります。この場合、一部の選択肢で述べているような具体的な取引依存度を下げる施策が求められます。

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