中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問55 (企業経営理論 問5)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問55(企業経営理論 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

垂直統合と市場取引に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 市場取引から垂直統合に転換すると、市場取引の時よりも暗黙知や文脈依存的な知識は活用されにくくなる。
  • 市場取引は垂直統合に比べて調整の効率性が高く、機会主義的行動の発生を抑制できる。
  • 垂直統合された組織では、市場取引の時に比べて、コストを削減したり機能や品質を向上させたりするインセンティブは高まる。
  • 特定の取引相手しか供給できない財を調達する場合、市場取引よりも垂直統合が選択される傾向がある。
  • 取引する財が標準化されている場合、市場取引よりも垂直統合が選択される傾向がある。

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この過去問の解説 (1件)

01

垂直統合とはサプライチェーン(調達、製造、流通、販売など)の複数の工程を自社グループに取り込んでいく事を指します。
一方で、市場取引とは、企業間の独立した売買などの取引を指します。
垂直統合は身内に引き込むイメージで、市場取引は別会社との取引をイメージすると良いでしょう。

選択肢1. 市場取引から垂直統合に転換すると、市場取引の時よりも暗黙知や文脈依存的な知識は活用されにくくなる。

不適切
垂直統合に転換すると、一般的に暗黙知や文脈依存的な知識は活用されやすくなります。

 

暗黙知:従業員個人の勘や感覚に基づく知識

文脈依存的な知識:状況や背景(文脈)がないと正しく意味を理解できない知識(例:あうんの呼吸)

選択肢2. 市場取引は垂直統合に比べて調整の効率性が高く、機会主義的行動の発生を抑制できる。

不適切
調整の効率性は相対的に低くなり、機会主義的行動の発生は抑制できなくなります。
 

機会主義的行動:自身の利益を優先し、不誠実な対応をすること。いわゆる裏切り行為

選択肢3. 垂直統合された組織では、市場取引の時に比べて、コストを削減したり機能や品質を向上させたりするインセンティブは高まる。

不適切
垂直統合すると競合がなくなるため、一般的にコスト削減や品質向上のインセンティブは弱まります。

選択肢4. 特定の取引相手しか供給できない財を調達する場合、市場取引よりも垂直統合が選択される傾向がある。

適切
特定の供給者しか存在しない場合は、機会的主義行動(裏切り)の抑制ができ、サプライチェーン全体のコスト削減が図れる垂直統合が選択される傾向があります。

選択肢5. 取引する財が標準化されている場合、市場取引よりも垂直統合が選択される傾向がある。

不適切
標準化されている財はどこからでも調達可能なため、垂直統合を選択するメリットが少なく選択されづらいです。

まとめ

垂直統合と市場取引はそれぞれサプライチェーン上のメリット、デメリットがあるため、本問にあるようなそれぞれの特徴を理解しておくと良いでしょう。

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