中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問52 (企業経営理論 問2)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問52(企業経営理論 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

食品メーカーA社は、日本国内の一般消費者向けのシリアルの開発・製造・販売を行う専業企業である。同社は、現在、今後の成長戦略のための施策を検討している。I.アンゾフの成長マトリクスの考え方に基づく記述として、最も適切なものはどれか。
  • A社のシリアルのみを販売する国内の一般消費者向けの自社ECサイトを立ち上げて、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「多角化戦略」を行う。
  • 新しく飲食事業者を顧客とするSNSマーケティング支援事業を開始し、A社にとっての次の収益の柱としようとすることで、「市場浸透戦略」を行う。
  • 一部の既存販売地域を対象に、地域名産品を用いた限定フレーバーの一般消費者向けシリアルを新しく開発することで、「多角化戦略」を行う。
  • 既存顧客のリピート購入を促進するクーポンプレゼントのキャンペーンを実施し、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「新市場開拓戦略」を行う。
  • コア・ユーザーである中高年層向けに新しく低糖質シリアルを開発することで、「新製品開発戦略」を行う。

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この過去問の解説 (2件)

01

アンゾフの成長マトリクスの問題です。製品と市場をそれぞれ、既存、新規の2分類に分けてそれぞれ下記のように整理します。

① 既存製品+既存市場=市場浸透戦略
② 既存製品+新規市場=新市場開拓戦略
③ 新製品+既存市場=新製品開発戦略
④ 新製品+新規市場=多角化戦略

選択肢1. A社のシリアルのみを販売する国内の一般消費者向けの自社ECサイトを立ち上げて、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「多角化戦略」を行う。

不適切
多角化戦略は新規市場+新製品です。既存市場のシェア拡大は市場浸透戦略となります。

選択肢2. 新しく飲食事業者を顧客とするSNSマーケティング支援事業を開始し、A社にとっての次の収益の柱としようとすることで、「市場浸透戦略」を行う。

不適切
市場浸透戦略は既存市場+既存製品です。設問のSNSマーケティング支援事業は、市場も製品も新たな取り組みとなるため多角化戦略となります。

選択肢3. 一部の既存販売地域を対象に、地域名産品を用いた限定フレーバーの一般消費者向けシリアルを新しく開発することで、「多角化戦略」を行う。

不適切
多角化戦略は新規市場+新製品です。既存の販売地域(市場)に新製品という説明ですので、新製品開発戦略となります。

選択肢4. 既存顧客のリピート購入を促進するクーポンプレゼントのキャンペーンを実施し、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「新市場開拓戦略」を行う。

不適切
新市場開拓戦略は新規市場+既存製品です。既存市場で既存製品の販売促進を行うという説明なので市場浸透戦略となります。

選択肢5. コア・ユーザーである中高年層向けに新しく低糖質シリアルを開発することで、「新製品開発戦略」を行う。

適切
新製品開発戦略の説明として適切です。

まとめ

アンゾフの成長マトリクスは頻出論点です。

理論的には難しくないので、市場、製品をそれぞれ既存、新規に分けて整理すると良いでしょう。製品という言葉ですが、形のない役務(サービス)も同様に扱います。製品はサービスも含む概念として覚えておくと良いでしょう。

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02

アンゾフの成長マトリクスに関する問題です。アンゾフの成長マトリクスとは、企業の成長戦略を「市場」「製品」の組み合わせで分類したフレームワークのことです。

 

このフレームワークを問題用紙の余白に描き、各選択肢の記述と照らし合わせながら正誤判断してください。

 既存市場新市場
既存製品市場浸透新市場開拓
新製品新製品開発多角化

多くの企業は「市場浸透」戦略のみを採用していますが、今までの市場で既存顧客に既存製品を販売するだけでは惰性に陥り、イノベーションが生まれにくく価格競争に巻き込まれやすくなります。

 

新市場開拓または新製品開発を行なうことにより、企業としての成長可能性を見出します。新しい市場に新しい製品を展開する「多角化」は最もハードルが高くなりますが、成功すればリターン(成果)も大きくなります。

 

多角化の例としては、ユニクロが2000年代の初めに農業にチャレンジしたことがあります。衣料品と農業は市場も製品も全く異なり、既存事業の衣料品で培ったノウハウを生かしにくいため失敗する可能性が高いです。(ユニクロは、短期間で撤退しています)

選択肢1. A社のシリアルのみを販売する国内の一般消費者向けの自社ECサイトを立ち上げて、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「多角化戦略」を行う。

A社のシリアルのみを販売する国内の一般消費者向けの自社ECサイトを立ち上げる→既存製品(製品はシリアルのみで変更なし)

既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙う→既存市場

 

「市場浸透」戦略のため、不適切な選択肢となります。

 

※ECサイトの立ち上げは新市場ではないのか?と思われるかも知れませんが、販売するアイテムは既存製品のシリアルのみです。

(販売チャネルは増えますが、同じ製品を販売しています)

選択肢2. 新しく飲食事業者を顧客とするSNSマーケティング支援事業を開始し、A社にとっての次の収益の柱としようとすることで、「市場浸透戦略」を行う。

新しく飲食事業者を顧客とする→新市場

SNSマーケティング支援事業を開始→新製品

 

「多角化」戦略のため、不適切な選択肢となります。

 

選択肢3. 一部の既存販売地域を対象に、地域名産品を用いた限定フレーバーの一般消費者向けシリアルを新しく開発することで、「多角化戦略」を行う。

一部の既存販売地域を対象→既存市場

地域名産品を用いた限定フレーバーの一般消費者向けシリアルを新しく開発→既存製品

 

「市場浸透」戦略のため、不適切な選択肢となります。

 

※「シリアルを新しく開発」なので新製品ではないか?という疑問はありますが、多角化戦略ではないことは明らかです。

(「限定フレーバー」とあるため、既存製品のバリエーション拡充→新製品ではないと考えられます)

選択肢4. 既存顧客のリピート購入を促進するクーポンプレゼントのキャンペーンを実施し、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「新市場開拓戦略」を行う。

既存顧客のリピート購入を促進する→既存製品

既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大→既存市場

 

「市場浸透」戦略のため、不適切な選択肢となります。

 

※リピート購入は、市場浸透の定番手法です。既存顧客とは少なくとも一度は自社製品を購入しており、新規顧客に製品を販売するよりも購入してくれる確率が高いためです。

選択肢5. コア・ユーザーである中高年層向けに新しく低糖質シリアルを開発することで、「新製品開発戦略」を行う。

コア・ユーザーである中高年層→ユーザー(既存顧客)のため、既存市場

新しく低糖質シリアルを開発→新製品(低糖質シリアルは、食品メーカーA社が今まで手掛けていない製品)

 

「新製品開発」戦略のため、正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

アンゾフの成長マトリクスの図は、必ず描けるようにしておいてください。図を確認しながら正誤判断することで、ケアレスミスを防ぐことができます。

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