中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問142 (経営法務 問20)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問142(経営法務 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

民法上の時効取得及び即時取得に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合でも、即時取得は成立する。
  • 占有開始の時に善意かつ無過失であったとしても、その後、悪意になった場合には、所有権の10年の取得時効は成立しない。
  • 被相続人が他主占有をしてきた目的物につき、相続人が承継した占有が相続を機縁として相続人の自主占有になり、取得時効が成立することはない。
  • 不動産は、即時取得の対象とならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

時効取得及び即時取得に関する問題です。

 

本問は、不動産には登記が必要であることを思い出すことができれば、正答できる内容になっています。

 

また、本問の各選択肢にある「~の場合でも」「~であったとしても」「~することはない」という表現に違和感を感じることができれば、正答に辿り着くことは可能であると思われます。

選択肢1. 所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合でも、即時取得は成立する。

所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合、即時取得は成立しません

選択肢2. 占有開始の時に善意かつ無過失であったとしても、その後、悪意になった場合には、所有権の10年の取得時効は成立しない。

占有開始の時に善意かつ無過失であった場合、所有権の10年の取得時効が成立します。(悪意があることまでは求められていません)

選択肢3. 被相続人が他主占有をしてきた目的物につき、相続人が承継した占有が相続を機縁として相続人の自主占有になり、取得時効が成立することはない。

被相続人が他主占有をしてきた目的物につき、相続人が承継した占有が相続を機縁として相続人の自主占有になり、取得時効が成立することがあります

選択肢4. 不動産は、即時取得の対象とならない。

正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

本問では、即時取得に関する民法192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」という知識が問われています。

 

民法192条では、「取引行為」であること、「平穏に、かつ、公然」であること、「善意かつ無過失であること」がポイントとなりますが、以下の理由から各選択肢では、あまり詳細には解説していません。

 

診断士試験における民法の出題範囲が広範に及ぶため、民法に関しては相続と承継の論点をしっかり押さえておく以外は、頻出論点である会社法と知的財産権の理解を確実にしておくことを優先すべきであると考えます。したがって、本問についても民法192条の解説は補足的に扱っています。

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02

民法上の時効取得及び即時取得に関する問題です。

選択肢1. 所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合でも、即時取得は成立する。

所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合でも、即時取得は成立しません。

選択肢2. 占有開始の時に善意かつ無過失であったとしても、その後、悪意になった場合には、所有権の10年の取得時効は成立しない。

占有開始の時に善意かつ無過失であったとしても、所有権の10年の取得時効は成立します。

選択肢3. 被相続人が他主占有をしてきた目的物につき、相続人が承継した占有が相続を機縁として相続人の自主占有になり、取得時効が成立することはない。

被相続人が他主占有をしてきた目的物につき、相続人が承継した占有が相続を機縁として相続人の自主占有になり、取得時効が成立することがあります。

選択肢4. 不動産は、即時取得の対象とならない。

適切な選択肢です。

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03

この問題は、民法における物権取得の2つの重要な制度、つまり時効取得(取得時効)と即時取得について、それぞれの成立要件と適用範囲を正確に理解しているかを問うものです。解説を見ながら問題を確認していきましょう。

選択肢1. 所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合でも、即時取得は成立する。

不適切な選択肢です。

 

所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合、即時取得は成立しません。民法192条の即時取得が成立するためには、取引行為により平穏・公然と動産の占有を始めたこと、その時に善意無過失であることが必要です。所持品預り所からの受取りは取引行為ではなく、また占有改定のような現実の引渡しを伴わない場合も即時取得の要件を満たしません。したがって「即時取得は成立する」という記述は誤りです。

選択肢2. 占有開始の時に善意かつ無過失であったとしても、その後、悪意になった場合には、所有権の10年の取得時効は成立しない。

不適切な選択肢です

 

占有開始時に善意無過失であれば、その後に悪意になっても10年の取得時効は成立します。民法162条2項により、占有開始時に善意無過失であれば10年で所有権を取得できるとされており、その後の悪意への転換は時効取得の成立を妨げません。取得時効の善意・悪意の判断基準時は占有開始時です。したがって「取得時効は成立しない」という記述は誤りです。
 

選択肢3. 被相続人が他主占有をしてきた目的物につき、相続人が承継した占有が相続を機縁として相続人の自主占有になり、取得時効が成立することはない。

不適切な選択肢です

 

被相続人が他主占有をしてきた目的物について、相続人が承継した占有が相続を機縁として自主占有に転換し、取得時効が成立することがあります。民法185条により、占有者は自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、または新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めた場合、自主占有に転換できます。相続を機に占有の性質が変わることは可能です。したがって「取得時効が成立することはない」という記述は誤りです。

選択肢4. 不動産は、即時取得の対象とならない。

適切な選択肢です

 

これが正しい記述です。民法192条の即時取得は動産に関する制度であり、不動産は即時取得の対象となりません。不動産については登記制度があり、取引の安全は登記により保護されるため、即時取得のような制度は適用されません。不動産については取得時効の制度が適用されます。
 

まとめ

今回の問題を詳しく理解したい方は、取得時効(民法162条)、即時取得(民法192条)について調べると良いでしょう

 

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