中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問71 (企業経営理論 問21)
問題文
産業における事業者の設立率と退出率について、組織エコロジー論における密度依存効果(density dependence)に基づく記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における「密度」とは、当該産業の事業者数を指す。
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問題
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中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問71(企業経営理論 問21) (訂正依頼・報告はこちら)
産業における事業者の設立率と退出率について、組織エコロジー論における密度依存効果(density dependence)に基づく記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における「密度」とは、当該産業の事業者数を指す。
- 密度が高まると委託・外注や設備レンタルなどが発達し、設立率と退出率はともに上昇する。他方、密度が一定水準を超えた後も設立・退出の容易化が続くため、両率は高い水準で推移する。
- 密度が高まると社会的正統性が向上・確立し、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えると需要・販路などをめぐる競争圧が増大し、設立率は低下し退出率は上昇する。
- 密度が高まると設立手続(許認可手続)の運用や公的支援が整い、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えると監督強化や支援縮小により、設立率は低下し退出率は上昇する。
- 密度が高まると同業者間の協働(共同開発・共同販促など)が進み、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えた後も協働が維持されるため、設立率の上昇と退出率の低下が続く。
- 密度が高まると認証制度などが整い設立要件が厳格化するため、設立率は低下する。他方、密度が一定水準を超えた後も既存事業者は情報共有や支援を得やすく、退出率も低下する。
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この過去問の解説 (1件)
01
「密度が高まると社会的正統性が向上・確立し、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えると需要・販路などをめぐる競争圧が増大し、設立率は低下し退出率は上昇する。」が当てはまります。
組織エコロジー論の密度依存効果では、産業内の事業者数が少ない段階では、事業者が増えることでその業界の存在が社会に認められやすくなります。
しかし、事業者数がさらに増えると、今度は顧客や資源をめぐる競争が激しくなるため、新規設立が難しくなり、退出する事業者も増えると考えます。
不適切です。
密度依存効果で重視されるのは、事業者数の増加にともなう社会的正統性と競争の変化です。
事業者が増え始めると、その産業が社会に認知されて参入しやすくなるため、設立率は高まりやすく、退出率は低下しやすくなります。
しかし、密度が高くなりすぎると競争が強まるため、設立率は低下し、退出率は上昇します。
両方が高いまま推移するとは考えません。
適切です。
事業者がまだ少ない段階では、その産業自体が社会に十分認知されていないことがあります。
そこから事業者数が増えると、その事業の存在ややり方が社会で当たり前のものとして受け入れられるようになり、社会的正統性が高まります。
その結果、新しい企業が参入しやすくなって設立率は上昇し、既存企業も存続しやすくなるため退出率は低下します。
一方、事業者数が一定水準を超えると、顧客、販路、人材、資金などを奪い合う競争効果が強くなります。
そのため、設立率は低下し、退出率は上昇するようになります。
不適切です。
結果として設立率の上昇・低下や退出率の変化は似ていますが、その理由が異なります。
密度依存効果では、前半は社会的正統性の向上、後半は企業間競争の激化によって説明します。
許認可制度や公的支援の変化を中心に説明する理論ではありません。
不適切です。
密度が低い段階では、事業者数が増えることで社会的正統性が高まり、設立率が上昇して退出率が低下することがあります。
しかし、密度が高くなるにつれて、企業同士は限られた顧客や資源を奪い合うようになります。
そのため、一定水準を超えると競争によって設立率は低下し、退出率は上昇します。
不適切です。
密度が低い段階から増加していくときは、一般に社会的正統性が高まるため、設立率はむしろ上昇しやすくなります。
また、密度が非常に高くなると企業間競争が激しくなるため、退出率は低下するのではなく上昇しやすくなります。
組織エコロジー論の密度依存効果では、事業者数が増えたときの影響を、主に正統性効果と競争効果の2つで考えます。
密度が低い段階では、
事業者が増える
→社会的正統性が高まる
→設立率が上昇し、退出率が低下する
という流れになります。
一方、密度が高い段階では、
さらに事業者が増える
→顧客や資源をめぐる競争が激しくなる
→設立率が低下し、退出率が上昇する
という流れになります。
したがって、社会的正統性の向上と、その後の競争圧の増大について述べた記述が最も適切です。
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