中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問69 (企業経営理論 問19)
問題文
取引コスト理論の観点から見た、製造業における取引コストに関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
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中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問69(企業経営理論 問19) (訂正依頼・報告はこちら)
取引コスト理論の観点から見た、製造業における取引コストに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 取引での資産特殊性が高い場合、生産工程情報の共有と共同改善会議を設けることで機会主義的行動を抑制でき、将来状態を事前に網羅する完備契約が実現できる。
- 取引での資産特殊性が高く代替的供給者への切り替えが困難な場合、市場における価格メカニズムによって機会主義的行動を抑制できる。
- 品質不具合の原因が事後的に特定しにくい場合、違約金条項を設けることで製造責任の範囲を明確化でき、履行確保や監視に要するコストの発生を抑制できる。
- 品質不具合の原因が事後的に特定しにくく代替供給者への切り替えが容易でない場合、市場取引では責任帰属をめぐる事後交渉や履行確保に要するコストが増大しやすい。
- 不確実性が高く製品設計の変更が頻繁に生じる場合でも、市場における価格メカニズムによって柔軟な適応が可能であるため、仕様変更に伴う再交渉や調整のコストは増大しにくい。
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この過去問の解説 (1件)
01
「品質不具合の原因が事後的に特定しにくく代替供給者への切り替えが容易でない場合、市場取引では責任帰属をめぐる事後交渉や履行確保に要するコストが増大しやすい。」が当てはまります。
取引コスト理論では、企業が市場を通じて取引するときには、価格そのものだけでなく、相手を探す費用、契約を結ぶ費用、監視する費用、問題発生後に交渉する費用なども発生すると考えます。
特に、特定の取引相手に合わせた設備や技術などの資産特殊性が高い場合や、将来を予測しにくい場合には、取引コストが大きくなりやすくなります。
不適切です。
生産工程の情報を共有したり、共同で改善活動を行ったりすることで、取引相手との信頼関係が深まり、機会主義的な行動を抑えられる可能性はあります。
しかし、将来起こるすべての出来事をあらかじめ予測し、すべてを契約に書き込むことは現実には困難です。
取引コスト理論では、契約は不完備になりやすいと考えるため、完備契約が実現できるという部分が適切ではありません。
不適切です。
資産特殊性が高いとは、特定の相手との取引でしか十分に価値を発揮しない設備や技術などを持っている状態です。
この場合、別の取引先へ簡単に切り替えられないため、相手に依存しやすくなります。
その結果、相手が自分に有利な条件変更を求めるなど、機会主義的な行動が起こる可能性が高まります。
市場の価格メカニズムだけで十分に抑えられるとは限りません。
不適切です。
品質不具合の原因そのものを特定することが難しい場合、違約金の条項を設けても、どちら側に責任があるのかを判断すること自体が難しいという問題は残ります。
そのため、責任をめぐる調査や交渉、監視などが必要になり、取引コストが発生する可能性があります。
契約に違約金を書くだけで、履行確保や監視のコストを十分に抑えられるとはいえません。
適切です。
品質不具合の原因が分かりにくいと、「どちらが責任を負うべきか」をめぐって取引相手との交渉が必要になります。
さらに、ほかの供給者へ簡単に切り替えられなければ、現在の取引相手との関係を続けながら問題を解決しなければなりません。
そのため、事後的な交渉、監視、契約の履行確保などに必要な取引コストが大きくなりやすいと考えられます。
不適切です。
製品設計の変更が頻繁に発生すると、そのたびに仕様や価格、納期などについて取引相手と調整する必要があります。
将来の変化をあらかじめ契約にすべて盛り込むことも難しいため、再交渉や調整の回数が増え、取引コストも大きくなりやすくなります。
不確実性が高いほど、市場取引だけで柔軟に対応できるとは限りません。
取引コスト理論では、市場取引には商品の価格以外にも、契約、監視、交渉、履行確保などのコストがかかると考えます。
特に、資産特殊性が高い、将来の不確実性が高い、取引相手を簡単に変更できないといった状況では、取引コストが大きくなりやすくなります。
また、契約ですべての将来状況を事前に決めることは難しいため、問題が起きた後の交渉も必要になります。
したがって、品質不具合の原因が特定しにくく、代替供給者への切り替えも難しい場合には、責任をめぐる交渉や履行確保のコストが増大しやすいという記述が当てはまります。
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