中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問21 (経済学・経済政策 問21)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問21(経済学・経済政策 問21) (訂正依頼・報告はこちら)

情報の非対称性は、モラルハザードや逆選択などの種々の問題を引き起こす可能性があることが知られている。
こうした諸問題を回避することを意図した制度の組み合わせとして、最も適切なものを下記の選択肢から選べ。

a  社員による自社株の保有を上場会社が支援する従業員持ち株制度
b  すべての人に健康保険への加入を義務付ける国民皆保険
c  配慮が必要な人を対象にして公共交通機関で設定される優先席
d  万国郵便連合加盟国において採用される郵便番号制度
e  フリーマーケット・アプリにおける出品者の評価制度
  • aとbとc
  • aとbとe
  • bとcとd
  • bとdとe
  • cとdとe

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい組み合わせは「aとbとe」です。

情報の非対称性とは、取引をする人どうしで、持っている情報の量や内容に差がある状態です。

この情報の差によって、契約後に一方が相手から見えないところで行動を変えてしまうモラルハザードや、契約前に質の悪い人や商品ばかりが残りやすくなる逆選択などの問題が起こることがあります。

この問題では、それぞれの制度が、こうした情報の非対称性による問題を小さくするための仕組みかどうかを判断します。

選択肢2. aとbとe

a 社員による自社株の保有を上場会社が支援する従業員持ち株制度

情報の非対称性による問題を小さくする仕組みと考えられます。

会社の経営者や従業員は、株主よりも会社内部の情報を多く持っています。また、従業員が十分に努力しているかどうかを、株主が完全に確認することは難しい場合があります。

従業員が自社株を持つと、会社の業績が良くなって株価が上がれば、従業員自身にも利益があります。

そのため、従業員と株主の利益を近づけ、しっかり働く動機を強める効果が期待できます。

これは、契約後の行動を完全には確認できないことから生じるモラルハザードを抑える仕組みの一つです。

b すべての人に健康保険への加入を義務付ける国民皆保険

情報の非対称性による問題を小さくする仕組みと考えられます。

保険では、加入者本人のほうが保険会社よりも、自分の健康状態や病気になる可能性について詳しく知っていることがあります。

もし加入が自由であれば、病気になる可能性が高い人ほど保険に入り、健康な人ほど加入しないということが起こりやすくなります。

これを逆選択といいます。

幅広い人を保険に加入させる仕組みにすることで、健康な人も含めてリスクを分け合えるため、逆選択の問題を小さくすることができます。

c 配慮が必要な人を対象にして公共交通機関で設定される優先席

情報の非対称性による問題を解決することを主な目的とした制度ではありません。

優先席は、高齢者、妊娠している人、体の不自由な人など、座席を必要とする人が利用しやすくなるように設けられています。

これは公共交通機関での配慮や福祉を目的とした仕組みです。

モラルハザードや逆選択を防ぐことが中心的な目的ではありません。

d 万国郵便連合加盟国において採用される郵便番号制度

情報の非対称性による問題を解決するための制度ではありません。

郵便番号は、郵便物の届け先となる地域を数字などで区分し、郵便物を効率よく仕分けて届けるための仕組みです。

つまり、郵便業務を効率化するための制度であり、取引相手どうしの情報の差から生じるモラルハザードや逆選択を防ぐことを目的としていません。

e フリーマーケット・アプリにおける出品者の評価制度

情報の非対称性による問題を小さくする代表的な仕組みです。

フリーマーケット・アプリでは、購入者は出品者について、

「きちんと商品を発送する人なのか」
「説明どおりの商品なのか」

といったことを事前に完全には知ることができません。

そこで、過去の購入者による評価を表示することで、出品者の信頼性についての情報を得られるようにしています。

これにより、購入者と出品者の間にある情報の差が小さくなり、質の悪い出品者が選ばれる危険も減ります。

そのため、逆選択などの問題を抑える効果があります。

まとめ

情報の非対称性による代表的な問題には、モラルハザードと逆選択があります。

従業員持ち株制度は、従業員と株主の利益を近づけることで、モラルハザードを抑える効果が期待できます。

国民皆保険は、健康状態のよい人も含めて広く加入することで、保険市場での逆選択を小さくする働きがあります。

フリーマーケット・アプリの評価制度は、出品者についての情報を購入者に伝え、情報の非対称性を小さくします。

一方、優先席は福祉や配慮のための制度、郵便番号は郵便物を効率的に届けるための制度です。

したがって、正しい組み合わせは「aとbとe」です。

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