中小企業診断士 過去問
令和8年度(2026年)
問7 (経済学・経済政策 問7)

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問題

中小企業診断士試験 令和8年度(2026年) 問7(経済学・経済政策 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

IS−LM分析におけるクラウディング・アウトに関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、ここでは縦軸に利子率、横軸にGDPをはかる平面を想定している。
  • 貨幣需要の所得弾力性が大きいほど、LM曲線の傾きはより緩やかになり、政府支出の増加によってGDPを拡大させる際に生じるクラウディング・アウトも小さくなる。
  • 貨幣需要の利子弾力性が無限大のとき、政府支出の増加は、クラウディング・アウトなしでGDPを増加させる。
  • 限界消費性向が大きいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになり、貨幣供給の増加によってGDPを拡大させる際に生じるクラウディング・アウトは大きくなる。
  • 政府支出の増加は利子率の上昇によるクラウディング・アウトを伴うが、減税はクラウディング・アウトを生じさせない。

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい選択肢は「貨幣需要の利子弾力性が無限大のとき、政府支出の増加は、クラウディング・アウトなしでGDPを増加させる。」です。

クラウディング・アウトとは、政府支出の増加などによってGDPを増やそうとしたとき、利子率が上昇して民間投資が減り、政府支出によるGDPの増加効果が一部打ち消されることです。

IS−LM分析では、政府支出を増やすとIS曲線が右へ移動します。通常はGDPとともに利子率も上昇しますが、LM曲線が水平の場合には利子率が上昇しないため、クラウディング・アウトは生じません。

選択肢1. 貨幣需要の所得弾力性が大きいほど、LM曲線の傾きはより緩やかになり、政府支出の増加によってGDPを拡大させる際に生じるクラウディング・アウトも小さくなる。

適切ではありません。

所得が増えると、買い物や取引が増えるため、人々が必要とする貨幣も増えます。

貨幣需要の所得弾力性が大きいということは、所得が増えたときに貨幣需要が大きく増えるということです。

貨幣供給が一定なら、貨幣需要が増えた分だけ利子率が大きく上昇する必要があります。そのため、LM曲線は緩やかになるのではなく、より急な傾きになります。

LM曲線が急であるほど、政府支出を増やしたときに利子率が上昇しやすく、民間投資が減りやすいため、クラウディング・アウトは大きくなります。

したがって、記述は逆です。

選択肢2. 貨幣需要の利子弾力性が無限大のとき、政府支出の増加は、クラウディング・アウトなしでGDPを増加させる。

適切です。

貨幣需要の利子弾力性が無限大というのは、利子率がごくわずかに変わるだけで貨幣需要が大きく変化する状態です。

この場合、LM曲線は水平になります。これは「流動性のわな」と呼ばれる状態に対応します。

政府支出を増加させるとIS曲線は右へ移動しますが、LM曲線が水平なので、GDPが増加しても利子率は上昇しません。

利子率が上昇しなければ、それを原因とした民間投資の減少も起こりません。

したがって、クラウディング・アウトなしでGDPが増加することになります。

選択肢3. 限界消費性向が大きいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになり、貨幣供給の増加によってGDPを拡大させる際に生じるクラウディング・アウトは大きくなる。

適切ではありません。

限界消費性向が大きくなると、所得が増えたときに消費へ回る金額が大きくなります。そのため、乗数効果も大きくなり、IS曲線はより緩やかになります。

ここまでの説明は合っています。

しかし、クラウディング・アウトは、主に政府支出の増加や減税などの財政政策によって利子率が上昇し、民間投資が減少する現象をいいます。

貨幣供給を増加させる金融政策では、LM曲線が右へ移動し、一般には利子率が低下して民間投資が増える方向に働きます。

したがって、「貨幣供給の増加によって生じるクラウディング・アウト」という部分が適切ではありません。

選択肢4. 政府支出の増加は利子率の上昇によるクラウディング・アウトを伴うが、減税はクラウディング・アウトを生じさせない。

適切ではありません。

政府支出の増加だけでなく、減税も拡張的な財政政策です。

減税によって家計の使える所得が増えると消費が増え、総需要が増加します。その結果、IS曲線が右へ移動します。

通常の右上がりのLM曲線では、GDPの増加とともに利子率も上昇します。利子率が上昇すると民間投資が減少するため、減税の場合でもクラウディング・アウトが生じる可能性があります。

したがって、減税ではクラウディング・アウトが生じないという説明は誤りです。

まとめ

クラウディング・アウトとは、財政政策によって利子率が上昇し、その結果として民間投資が減少することで、GDPを増やす効果の一部が打ち消される現象です。

LM曲線が急であるほど、政府支出を増やしたときの利子率上昇が大きくなりやすいため、クラウディング・アウトも大きくなります。

一方、貨幣需要の利子弾力性が無限大の場合にはLM曲線が水平となります。この状態では、政府支出を増やしても利子率が上昇しないため民間投資は減少せず、クラウディング・アウトは生じません。

また、クラウディング・アウトは政府支出の増加だけでなく、減税によってIS曲線が右へ移動した場合にも生じる可能性があります。

したがって、正しい選択肢は「貨幣需要の利子弾力性が無限大のとき、政府支出の増加は、クラウディング・アウトなしでGDPを増加させる。」です。

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