中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問34 (財務・会計 問9)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問34(財務・会計 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

税効果会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、法人税等の実効税率を30%として計算していることを前提とする。また、繰延税金資産の回収可能性は考慮しなくてよい。
  • 期首に備品を購入し、減価償却方法を定額法とすると、取得原価10,000千円、残存価額1,000千円、会計上の耐用年数が5年、税務上の耐用年数が4年の場合、1年目の終わりには135千円の繰延税金負債が計上される。
  • 期首に備品を購入し、減価償却方法を定額法とすると、取得原価10,000千円、残存価額1,000千円、会計上の耐用年数が5年、税務上の耐用年数が6年の場合、1年目の終わりには90千円の繰延税金負債が計上される。
  • 前期に計上した賞与引当金3,000千円が全額損金不算入となり、繰延税金資産が900千円計上されていたとする。当期末に賞与引当金3,300千円を設定し、同額が損金不算入になった場合、繰延税金資産は90千円だけ増加することになる。
  • 当期に積立金方式による圧縮記帳を行ったことにより将来減算一時差異が10,000千円生じた場合、当期末には3,000千円の繰延税金資産が計上される。

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この過去問の解説 (1件)

01

税効果会計に関する問題です。

 

税効果会計とは、企業会計上の利益と税務会計上の課税所得の間に生じる「一時差異」を調整し、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させるための会計手続きです。

選択肢1. 期首に備品を購入し、減価償却方法を定額法とすると、取得原価10,000千円、残存価額1,000千円、会計上の耐用年数が5年、税務上の耐用年数が4年の場合、1年目の終わりには135千円の繰延税金負債が計上される。

・会計上の耐用年数が5年の場合

取得原価10,000千円-残存価額1,000千円=9,000千円
9,000千円÷5年=1,800千円/年

 

・税務上の耐用年数が4年の場合

取得原価10,000千円-残存価額1,000千円=9,000千円
9,000千円÷4年=2,250千円/年

 

会計上の減価償却額(1,800千円)が税務上の減価償却額(2,250千円)を下回っており、一時差異は発生せず、税効果会計は適用されないため不適切な選択肢となります。

選択肢2. 期首に備品を購入し、減価償却方法を定額法とすると、取得原価10,000千円、残存価額1,000千円、会計上の耐用年数が5年、税務上の耐用年数が6年の場合、1年目の終わりには90千円の繰延税金負債が計上される。

・会計上の耐用年数が5年の場合

取得原価10,000千円-残存価額1,000千円=9,000千円
9,000千円÷5年=1,800千円/年

 

税務上の耐用年数が6年の場合

取得原価10,000千円-残存価額1,000千円=9,000千円
9,000千円÷6年=1,500千円/年

 

会計上の減価償却額(1,800千円)が税務上の減価償却額(1,500千円)を上回っており、300千円×実効税率30%=90千円の将来減算一時差異が発生し、繰延税金資産が計上されるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. 前期に計上した賞与引当金3,000千円が全額損金不算入となり、繰延税金資産が900千円計上されていたとする。当期末に賞与引当金3,300千円を設定し、同額が損金不算入になった場合、繰延税金資産は90千円だけ増加することになる。

・前期の賞与引当金(全額損金不算入)

3,000千円×実効税率30%=900千円が繰延税金資産として計上済み

 

・当期末の賞与引当金(全額損金不算入)

3,300千円×実効税率30%=990千円

 

繰延税金資産が前期から90千円分増加しており、正解の選択肢となります。

選択肢4. 当期に積立金方式による圧縮記帳を行ったことにより将来減算一時差異が10,000千円生じた場合、当期末には3,000千円の繰延税金資産が計上される。

当期に積立金方式による圧縮記帳を行ったことにより将来加算一時差異が10,000千円生じた場合、当期末には3,000千円の繰延税金負債が計上されるため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

税効果会計の出題は2~3年に1回程度で、出題頻度は中程度です。

 

税効果会計に苦手意識があり対応が難しそうだと感じられる方は、他の論点で60点を積み上げられるように対策をしてください。

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