中小企業診断士 過去問
令和7年度(2025年)
問17 (経済学・経済政策 問14)

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問題

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年) 問17(経済学・経済政策 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

ある家計が所得をすべて使ってX財とY財の消費に充てるものとする。当初、予算制約線ABの下で、無差別曲線と接する点Fで最適消費が達成されていたが、X財の価格が変化し、予算制約線がACにシフトしたことで、無差別曲線と接する最適消費点は点Hに変化した。下図には、予算制約線ABと点Fで接する無差別曲線に対して点Gで接する、予算制約線ACと同じ傾きの直線DEが描かれている。
この図に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  上級財であるX財の消費量は、代替効果で増加し、所得効果でも増加した。
b  下級財であるX財の消費量は、代替効果で減少し、所得効果でも減少した。
c  上級財であるY財の消費量は、代替効果で減少し、所得効果では増加した。
d  上級財であるY財の消費量は、代替効果で増加し、所得効果でも増加した。
問題文の画像
  • aとc
  • aとd
  • bとc
  • bとd

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この過去問の解説 (1件)

01

スルツキ―分解に関する問題です。代替効果と所得効果については、無差別曲線に着目してください。

 

・代替効果

同一無差別曲線内での変化

 

・所得効果

異なる無差別曲線への変化→所得が増加(または減少)して、財の消費量が変化する

 

基本的な知識として、代替効果で増加(減少)するのは下級財(上級財)です。

これだけで解答群aが正しくbが誤りであることが分かります。(必ず、グラフで正誤判断してください)

 

また、上級財は所得が増加すると消費量が増加します。上級財の例としては各自イメージしやすいもので理解していただければ結構ですが、ここでは「外食」を挙げます。

 

※外食は支払うお金が多くなるため、お財布の中身に余裕がある給料日直後は外食が増え、次の給料日が近くなる頃は節約するためにカップラーメン(代替品)で済ませる人が増えると、ここでは考えてください。

 

それでは、所得効果についてグラフで確認します。与件文より、予算制約線はAB→ACにシフトします。

・所得効果

既に述べたように、所得効果では「異なる」無差別曲線への変化があるため、予算制約線AB→ACのシフトに伴い消費量は点G→Hへと変化します。X財・Y財ともに消費量が増加しており、両財とも上級財であることが分かります。

 

・代替効果

既に述べたように、同一無差別曲線内での変化となります。予算制約線AB→ACのシフトに伴い消費量は点F→Gへと変化します。

X財は消費量が増加していますがY財は減少(解答群c)しています。

 

なお、予算制約線DEは予算制約線ACの補助線です。(予算制約線DEを予算制約線ACの方にスライドさせていくと、平行になっていることが分かります)

 

そのため、代替効果の始点は予算制約線DEと接している点Gではなく、予算制約線ABと接している点Fになります。

(与件文で、予算制約線がAB→ACにシフトしたと述べられています)

選択肢1. aとc

冒頭の解説より、最も適切な記述の組み合わせはaとcであるため正解の選択肢となります。

選択肢2. aとd

冒頭の解説より、最も適切な記述の組み合わせはaとcであるため不適切な選択肢となります。

選択肢3. bとc

冒頭の解説より、最も適切な記述の組み合わせはaとcであるため不適切な選択肢となります。

選択肢4. bとd

冒頭の解説より、最も適切な記述の組み合わせはacであるため不適切な選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

なお、点F→Hのシフトは「価格効果」となります。つまり、「価格効果=代替効果+所得効果」です。(この計算式を覚える必要はありません) 代替効果と所得効果の組み合わせにより求まるとご理解ください。

 

価格効果はギッフェン財の論点で問われますが、近年ではスルツキ―分解(代替効果と所得効果)か代替効果しか出題されません。(ギッフェン財は、平成の終わり頃までは出題されていました)

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