中小企業診断士 過去問
平成27年度(2015年)
問39 (財務・会計 問14)

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問題

中小企業診断士試験 平成27年度(2015年) 問39(財務・会計 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

A社は、株主に対する利益還元政策を行うこととした。利益還元政策として、最も不適切なものはどれか。なお、A社は十分な現金を所有しており、財務的破綻について考慮する必要はない。
  • 株式の分割
  • 記念配当の実施
  • 自己株式の取得
  • 普通配当の増配

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この過去問の解説 (3件)

01

株主還元についての問題です。

1 間違い

株式分割は株主のメリットとしては流動性が高まります。

1株10万円だったものが10分の1に分割されると1株1万円となり売りやすくなります。

ただし、直接的な利益還元策とはいえません。

2 正しい

記念配当は株主にダイレクトに利益還元されます。

3 正しい

株式を株主から買い取ることで株主は売却益を得ます。

また、間接的には株の需給が改善されるので株価の上昇が期待できます。

4 正しい

配当は株主は配当収益を得ますので、利益を得ます。

よって、正解は1

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02

項番1:不適切です。
株式分割は株主に直接的な利益をもたらしません。

項番2:適切です。
記念配当によって株主は配当収益を得る事になります。

項番3:適切です。
自己株式の取得によって株主は現金等の収益を得る事になります。

項番4:適切です。
普通配当の増配によって株主は配当収益を得る事になります。

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03

最も不適切な選択肢は「株式の分割」です。

今回の問題では、企業が株主に利益を還元する方法について理解することが重要です。

利益還元政策とは、企業が事業活動によって得た利益などを、株主に還元するための取り組みです。

代表的な方法には、次のようなものがあります。

配当金の支払い:企業が株主に現金などを分配する方法です。

自己株式の取得:企業が自社の株式を株主から買い取る方法です。

一方、株式の分割とは、すでに発行されている株式を、一定の割合で細かく分けることです。

例えば、1株を2株に分割すると、株主が保有する株式数は2倍になります。

しかし、株式数が増えたからといって、株主が保有する株式の価値が自動的に2倍になるわけではありません。

理論上、1株あたりの株価は分割割合に応じて調整されるため、株主が保有する株式の価値の合計は変わりません。

つまり、株式の分割は、株主に直接利益を分配する方法ではありません。

したがって、利益還元政策として最も不適切なのは「株式の分割」です。

選択肢1. 株式の分割

この記述は、利益還元政策として最も不適切です。

株式の分割とは、1株の株式を2株や3株などに分け、発行済株式数を増やすことです。

例えば、ある株主が1株10,000円の株式を100株保有している場合を考えます。

この株主が保有する株式の価値は、

10,000円×100株

=1,000,000円

です。

ここで、企業が1株を2株に分割したとします。

この場合、保有株式数は100株から200株に増えます。

しかし、株式分割によって企業全体の価値が変わらないとすれば、1株あたりの株価は理論上、10,000円から5,000円になります。

そのため、株主が保有する株式の価値は、

5,000円×200株

=1,000,000円

となり、分割前と同じです。

このように、株式の分割では、保有株式数は増えますが、株主が保有する株式の価値の合計は理論上変わりません。

また、株式を分割しても、企業から株主へ直接現金が支払われるわけではありません。

株式分割には、1株あたりの購入価格を引き下げ、投資家が株式を購入しやすくする効果などが期待できます。

その結果、株式の売買が活発になったり、株主が増えたりする可能性はあります。

しかし、株式分割自体は利益を株主に分配するものではありません。

したがって、この選択肢が最も不適切です。

選択肢2. 記念配当の実施

この記述は、利益還元政策として適切です。

記念配当とは、企業の創立記念や上場記念など、特別な出来事を記念して株主に支払われる配当金のことです。

例えば、企業が創立50周年を迎えたことを記念して、通常の配当に加えて1株あたり10円の記念配当を実施する場合などが該当します。

この場合、株主は通常の配当金に加えて、記念配当金を受け取ることができます。

例えば、ある株主が1,000株保有している場合、1株あたり10円の記念配当が実施されると、

10円×1,000株

=10,000円

を受け取ることになります。

このように、記念配当は、企業が株主に現金を分配する直接的な利益還元方法です。

なお、記念配当は特別な出来事に合わせて実施されることが多く、毎年継続されるとは限りません。

選択肢3. 自己株式の取得

この記述は、利益還元政策として適切です。

自己株式の取得とは、企業が自社で発行した株式を、株主から買い取ることです。

例えば、A社が市場に出回っている自社株式を、現金を使って買い取る場合などが該当します。

このとき、株式を売却した株主は、A社から現金を受け取ります。

つまり、企業が保有する資金を使って、株主に現金を支払う方法です。

そのため、自己株式の取得は、配当と並ぶ代表的な株主還元方法とされています。

また、取得した自己株式を消却すると、発行済株式総数が減少します。

企業の利益が同じであれば、発行済株式数の減少によって、1株当たり当期純利益(EPS)が増加する場合があります。

ただし、自己株式の取得によって、必ず株価が上昇するわけではありません。

株価は、企業の業績や将来性、市場の状況など、さまざまな要因によって変動します。

それでも、自己株式の取得は、企業の資金を株主に還元する方法の1つです。

したがって、利益還元政策として適切です。

選択肢4. 普通配当の増配

この記述は、利益還元政策として適切です。

普通配当とは、企業が通常の利益配分として株主に支払う配当金のことです。

また、増配とは、株主に支払う配当金を以前より増やすことです。

例えば、これまで1株あたり年間50円の普通配当を実施していた企業が、1株あたり年間70円に引き上げた場合を考えます。

この場合、1,000株を保有している株主が受け取る年間配当金は、次のように変化します。

増配前:

50円×1,000株=50,000円

増配後:

70円×1,000株=70,000円

したがって、配当金は、

70,000円-50,000円

=20,000円

増加します。

このように、普通配当の増配は、株主が受け取る配当金を増やす直接的な利益還元方法です。

なお、配当金を増やしすぎると、企業が将来の設備投資などに使える資金が減少する場合があります。

そのため、企業は利益の状況や今後の資金需要を考慮しながら、配当金額を決定します。

今回の問題では、A社は十分な現金を保有しており、財務的破綻を考慮する必要がないとされています。

したがって、普通配当の増配は利益還元政策として適切です。

まとめ

今回の問題では、株主に直接利益を還元する方法と、株式の取引をしやすくする方法の違いを理解することが重要です。

<株式の分割>

1株を複数の株式に分けることです。

保有株式数は増加しますが、企業の価値が変わらなければ、株主が保有する株式の価値の合計は理論上変わりません。

また、株式分割そのものによって株主に現金が支払われるわけではありません。

そのため、直接的な利益還元政策には該当しません。

<記念配当>

企業の創立記念や上場記念などに合わせて、株主に支払う配当金です。

通常の配当に上乗せして支払われる場合があり、株主への直接的な利益還元になります。

<自己株式の取得>

企業が自社の株式を株主から買い取ることです。

企業が資金を使って株式を取得するため、配当と並ぶ代表的な株主還元方法です。

なお、株式を売却しない株主には、買付代金が直接支払われるわけではありません。

<普通配当の増配>

株主に支払う通常の配当金を増やすことです。

株主が受け取る現金が増えるため、直接的な利益還元政策になります。

<配当と株式分割の違い>

配当は、企業が保有する資金などを株主に分配するものです。

一方、株式分割は、発行済株式を細かく分けるものであり、企業の資金を株主に分配するものではありません。

ただし、株式分割によって1株あたりの株価が低くなれば、投資家が購入しやすくなるため、間接的に株主にとって有利に働く可能性はあります。

そのため、株式分割が株主にまったく利益をもたらさないという意味ではなく、直接的な利益還元とは性質が異なると理解することが大切です。

試験では、「普通配当・記念配当・自己株式の取得は代表的な株主還元方法」「株式分割は株式数を増やすだけで、直接利益を分配するものではない」という違いを覚えておきましょう。

今回の問題では、利益還元政策として最も不適切なのは、「株式の分割」です。

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