中小企業診断士 過去問
令和元年度(2019年)
問141 (経営法務 問6)

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問題

中小企業診断士試験 令和元年度(2019年) 問141(経営法務 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

X株式会社(以下「X社」という。)は、取締役会及び監査役会を設置している会社(公開会社ではなく、かつ大会社ではない)である。
中小企業診断士であるあなたは、2019年 1月に、今年(2019年)の株主総会のスケジュール等について、X社の株主総会担当者の甲氏から相談を受けた。以下の会話は、その相談の際のものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲氏 :「当社の事業年度は、4月1日から翌年3月31日までです。2019年は6月27日(木)に株主総会を開催したいと考えています。株主総会の招集通知はいつまでに発送すればよいですか。」
あなた:「御社では、株主総会に出席しない株主に、書面による議決権の行使や、電磁的方法による議決権の行使を認める制度を設けていますか。」
甲氏 :「いいえ。設けていません。」
あなた:「そうすると、御社は、取締役会を設置している会社ですが、公開会社ではありませんし、また、書面による議決権の行使や、電磁的方法による議決権の行使を認める制度を設けていないので、( A )までに招集通知を発送する必要があります。」
甲氏 :「分かりました。ところで、今回の株主総会でも、昨年と同様、3 年前まで当社の取締役であった乙氏が、「自分を取締役に選任しろ」という議案を株主提案として提出してくると聞いています。どのような点に注意した方がよいでしょうか。」
あなた:「御社では、定款で株主提案に関する何らかの規定は設けていますか。」
甲氏 :「いいえ。定款では特に規定は設けていません。」
あなた:「( B )」

会話の中の空欄Aに入る記述として、最も適切なものはどれか。
  • 株主総会の日の 1 週間前
  • 株主総会の日の 2 週間前
  • 原則として株主総会の日の 1 週間前ですが、定款で 1 週間を下回る期間を定めた場合にはその期間の前
  • 原則として株主総会の日の 2 週間前ですが、定款で 2 週間を下回る期間を定めた場合にはその期間の前

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

株主総会の招集手続きについては、取締役会不設置会社、取締役会設置会社、公開会社で異なります。
取締役会不設置会社では、1週間前(定款で短縮可能)までに招集通知が必要で、書面・電磁的方法・口頭のいずれでも可能です。
取締役会設置会社では、1週間前(短縮不可)までに招集通知が必要で、書面・電磁的方法のみ可能です。(口頭は不可です)
公開会社では、2週間前(短縮不可)までに招集通知が必要で、書面・電磁的方法のみ可能です。(口頭は不可です)

本問のX社は公開会社ではなく、取締役会を設置しているため、取締役会設置会社に該当します。よって、1週間前(短縮不可)までに招集通知の発出が必要です。また、書面による議決権の行使や、電磁的方法による議決権の行使を認める制度を設けていないため、書面で発送する必要があります。

1→上記より、正解です。

2→2週間前までは公開会社です。よって誤りです。

3→取締役会設置会社では、1週間前までに招集通知の発出が必要で、短縮することはできません。よって誤りです。

4→2週間前までは公開会社です。また公開会社であっても短縮できません。よって誤りです。

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02

【基礎知識】

株主総会の招集通知の期限を整理すると、以下のようになります。株主総会の日の何日前かをまとめています。

原則的には2週間前までということになりますが、書面・電磁的方法での議決権行使の定めがない場合で、非公開会社の場合は1週間前までになります。

             非公開会社           公開会社

        取締役会設置  取締役会非設置

書面・電磁的方法での議決権行使

 定めあり        2週間前まで          2週間前まで

 定めなし    1週間前まで    1週間前まで    2週間前まで

       (定款の定めで短縮可) 

【選択肢評価】正解は総会前1週間です。

今回の対象会社は書面・電磁的方法での議決権行使はなく、非公開会社となりますので、1週間前となります。

選択肢1. 株主総会の日の 1 週間前

正解です。

選択肢2. 株主総会の日の 2 週間前

上記説明より、不適切です。

選択肢3. 原則として株主総会の日の 1 週間前ですが、定款で 1 週間を下回る期間を定めた場合にはその期間の前

上記説明より、不適切です。

選択肢4. 原則として株主総会の日の 2 週間前ですが、定款で 2 週間を下回る期間を定めた場合にはその期間の前

上記説明より、不適切です。

参考になった数9

03

株主総会の招集通知に関する問題です。過去問題でも繰り返し問われている論点であり、ボーナス問題です。

 

与件文の記載は一通り確認が必要ですが、中小企業の殆どは「非公開会社」であり、取締役会の設置の有無程度しか違いがありません。

 

そうなると、選択肢は株主総会の日の「1週間前」という選択肢がある2つに絞られます。

 

なお、定款の定めについて述べている選択肢がありますが、取締役会を設置していない会社の場合は「1週間を下回る期間」に短縮することも可能です。

選択肢1. 株主総会の日の 1 週間前

冒頭の解説より、正解の選択肢となります。

選択肢2. 株主総会の日の 2 週間前

株主総会の日の2週間前までに招集通知を発送する必要があるのは、公開会社の場合であり不適切な選択肢です。

選択肢3. 原則として株主総会の日の 1 週間前ですが、定款で 1 週間を下回る期間を定めた場合にはその期間の前

与件文で取締役会設置会社であることが明記されており、取締役設置会社は定款で1週間を下回る期間を定めることはできないため不適切な選択肢です。

選択肢4. 原則として株主総会の日の 2 週間前ですが、定款で 2 週間を下回る期間を定めた場合にはその期間の前

株主総会の日の2週間前までに招集通知を発送する必要があるのは、公開会社の場合であり不適切な選択肢です。

 

※本選択肢では、定款の定めについての記述については考慮する必要もなく不適切であると判断できます。

まとめ

【補足】

 

昨今では郵便の配達スケジュールが従来より1~2日遅くなっていますが、それでも「株主総会の日の2週間前までに招集通知を発送する」というのは、かなり余裕があるスケジュールです。

 

何故、そのような余裕を持たせたスケジュールなのか?を考えると、公開会社では株主の数が多く、様々な事情をもつ株主がきちんと対応できるように配慮する必要があるためです。(株主総会当日に別なスケジュールが設定されていると、株主総会を優先する場合はリスケしなければならないことも考えられます)

 

なお、非公開会社でも取締役を設置している場合は口頭での招集通知は不可ですが、これも取締役会(取締役3名以上で設置可能)という関わる人が多くなると合議制できちんとした手続きを踏まなければいけなくなるためです。

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