中小企業診断士 過去問
令和元年度(2019年)
問58 (企業経営理論 問8)

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問題

中小企業診断士試験 令和元年度(2019年) 問58(企業経営理論 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

コンピュータのソフトウェアやコンテンツなどのデジタル化された情報財は、製品開発費などの固定費が占める比率が( A )く、製品 1 単位を追加的に生産するためにかかる費用が( B )い傾向があるという特性を有している。
こうした情報財の特性は、製品市場での競争状況や、その状況に基づく競争戦略に影響を与える。特に重要なのは、複数の企業が同様の情報財を供給して、コモディティ化が生じる場合、たとえ当該市場が成長段階にあったとしても、企業間での競争が激化して、最終的には( C )の水準まで価格が低下してしまう点にある。
そのために、デジタル化された情報財では、その特性を勘案した競争戦略によって、コストリーダーシップや製品差別化を実現することで、コモディティ化に伴う熾烈な価格競争を回避すべきだとされる。例えば、パソコンのオペレーティング・システム(OS)の場合、支配的な地位を確立した企業は、ユーザー数の多さが当該製品の便益の増大につながる( D )などを背景として、持続的な競争優位を獲得してきた。

文中の空欄 A ~ C に入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
  • A:高  B:低  C:機会費用
  • A:高  B:低  C:限界費用
  • A:高  B:低  C:固定費
  • A:低  B:高  C:機会費用
  • A:低  B:高  C:限界費用

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この過去問の解説 (3件)

01

問題文の空欄を埋めると以下のようになります。

コンピュータのソフトウェアやコンテンツなどのデジタル化された情報財は、製品開発費などの固定費が占める比率が高く、製品 1 単位を追加的に生産するためにかかる費用が低い傾向があるという特性を有している。
こうした情報財の特性は、製品市場での競争状況や、その状況に基づく競争戦略に影響を与える。特に重要なのは、複数の企業が同様の情報財を供給して、コモディティ化が生じる場合、たとえ当該市場が成長段階にあったとしても、企業間での競争が激化して、最終的には限界費用の水準まで価格が低下してしまう点にある。

よって項番2が正解となります。

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02

情報財に関する問題です。

文中に入るべき語句を個々に検討します。

A・・・ソフトウェア等の性質を考えれば、製品開発費の比率が高いか低いかがわかると思います。

「高い」ですね。

B・・・固定費が高く、追加的生産量は変動費なので、変動費が高いか低いかを考えます。「低い」ですね。

C・・・企業間の競争により、収入である価格がどこまでの低下することを容認できるかを考えます。企業としては1個の製品を追加で売って得られる収入(限界収入)よりも製品1個追加時の費用の増加額(限界費用)が高くなると販売をしないでしょうから、ここは「限界費用」です。

選択肢1. A:高  B:低  C:機会費用

Cが異なりますので誤りです。

選択肢2. A:高  B:低  C:限界費用

正解です。

選択肢3. A:高  B:低  C:固定費

Cが異なりますので誤りです。

選択肢4. A:低  B:高  C:機会費用

すべて異なりますので誤りです。

選択肢5. A:低  B:高  C:限界費用

AとBが異なりますので誤りです。

まとめ

情報財に関する問題でした。本問の問題文の内容を知識として理解しておくとよいと思います。

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03

情報財のコスト構造に関する問題です。本問は難易度が低く、ボーナス問題レベルの内容です。必ず正答しましょう。

 

空欄で問われているように、情報財の特徴としては以下のようなものがあります。

製品開発費などの固定費が多くかかる

大量生産する際のコストが安い(限りなくゼロに近い)→モノが存在する物財と対比すれば、分かりやすいです。解説のまとめを参照してください。

 

※なお、与件文中の「製品1単位を追加的に生産するためにかかる費用」とは限界費用の定義です。(空欄Cの答えを教えてくれています)

選択肢1. A:高  B:低  C:機会費用

冒頭の解説より、「A:高 B:低 C:限界費用」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢2. A:高  B:低  C:限界費用

冒頭の解説より、「A:高 B:低 C:限界費用」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

選択肢3. A:高  B:低  C:固定費

冒頭の解説より、「A:高 B:低 C:限界費用」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. A:低  B:高  C:機会費用

冒頭の解説より、「A: B: C:限界費用」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢5. A:低  B:高  C:限界費用

冒頭の解説より、「A: B: C:限界費用」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

空欄BとCについては、動画配信のコストを考えてみましょう。

 

若い世代の方ではピンとこないかも知れませんが、以前はVHSテープやDVDまたはブルーレイといったメディア(モノ)に複製して市場に流通していました。

 

現在では主に、動画をデータとして配信することで市場に流通しているため、製品1単位を追加的に生産するためにかかる費用(=限界費用)は極めて低いです。電気代程度のコストで無限に複製できるため、限界費用はほぼゼロに近いです。

 

※見落とされがちですが、限界費用には複製コストだけではなく、流通コストや販売コストも含まれます。動画配信では、流通コストや販売コストもほぼゼロになります。(モノではないため配達の必要がなく、販売員を介することもなく瞬時に顧客の元に届く)

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